「魚離れ」と最近よく言われていますが、今年の「水産白書」にはその危機感が如実に出ているようです。
魚離れと言えば、子供たちの話というのはもう昔話なんですね。この10年で30代、40代でも魚介と肉の摂取量が逆転し、50代以上でも魚介類の消費が減っているそうです。
確かに外食が多くなると魚を食べる機会が減ってくるかなぁ、とも思いますが、魚大好きの私にはちょっと理解できない現象です。
更に追い討ちを掛けるようなことが「水産白書」には書かれています。
「かつてなかったような水産物輸入競争が発生しています。その結果、国際価格が上昇し、我が国の輸入業者が価格競争についてゆけず他国にとられてしまういわゆる「買い負け」が起きています。」
その原因としては、「13億の人口をかかえる中国が魚介食材を世界中から輸入し始め、既にその量は世界水産物消費の3分の1を占め、更に増加し続けている。また米国では健康志向の高まりから需要が増え、EUでも海鮮料理がブームになっている。」というのです。
先日は、黒マグロや鰻の稚魚の保護から漁獲規制をかけるというニュースもありました。
遠洋で取れ、食物連鎖のピラミッドの頂点にいるマグロや鯨といった大型の魚を食べるのは牛肉を食べるのと大差がないように思えるのでこの時代にあっては控えるべきかなぁと思いますが、秋刀魚や鰯や鯛や鰊、、、といった比較的淡白なお魚は、お肉に比べると脂肪分が少なく、栄養価にも富んでいて健康によいですし、なんといっても日本食には欠かせない食材ですよね。
日本近海での漁獲高も減っていて、唯でさえ食料自給率が低い日本にとって、魚争奪戦はまさに危機的状況だと思います。
それにしてもなぜそんなに日本人は魚を食べなくなってきたのか?大日本水産会調査によるアンケート結果が先日新聞に掲載されていました。
「日頃の食事で魚介料理より肉料理をなぜ好むか」という質問に対して、「同居する家族が魚介類を好まないから」という回答が一番多かったそうです。また、同居する家族の中で一番魚を好まないのはやはり子供たちのようです。
味覚は小学校まででほぼ決まってしまい、その後の食生活は幼少の時の味覚が基準となっているなんて話を聞いたこともあります。だとすると、今の30代、40代が幼少のころだった30年前はちょうど経済発展の真っ只中でファーストフード、洋食レストランがたくさんオープンし、金銭的にも食事にお金をかけられるようになったことで牛肉や高級食材が普通に食べられるようになった時期にあたります。その頃、味覚を形成した世代がまさに今の30代、40代なのですから魚離れが高年齢化してきているのも納得できるようにも思います。
「魚料理より肉料理を好む理由」
- 同居する家族が魚介類を好まないから
- 肉より割高
- 魚介類は調理が面倒
- 魚焼きグリルを洗うのが面倒
- 自分が魚介類を好まない
- 調理法を知らない
また魚離れのアンケート結果で気になったのは、「調理が面倒、グリルを洗ったりするのが面倒」という理由は、一人暮らしをしているとそういう風に思うこともありますが、料理を作る楽しさ、手料理の美味しさは、そういった面倒をかけてこそ生まれてくると思うのですが、、、、これが今の日本の食生活の現実のようです。
こういったアンケートを見ていると「食べ物を頂くときに感謝し、拝むこころ」や「食材を生かして美味しく頂く」といった日本の食文化が、毎日の食事からして抜け落ちてきているという悲しい現実があるように思います。
現に社食で同僚と食事をしていても「社食が美味しくない」といった文句だったり、自分で選んで注文した食べ物を無神経に残したり、何も考えずにガツガツ食べている様子を見ているとなんだか悲しくなってくることもあります。
ただその一方で「子供たちにはもっと魚を食べさせたい」と思っている母親も増えてきているというアンケート結果もあるようです。
文化というのは一人ひとりが普段の生活の中で守って行かないとどんどん崩壊していってしまうと思うので、私も普段の食生活をもっと大事にして行こうと思いました。