G8サミットを目前にし、G8環境大臣会合に向けたFoE主催の国際市民フォーラム「バイオ燃料・森林減少防止は気候変動対策となるか?~先進国の役割と責任」に参加してきました。
2日間に渡って、非常に難しく、複雑な問題に対して白熱した議論が交わされました。私自信、知らないことも多数あり、とても勉強になったと同時に問題の深刻さ、複雑さから「これは生半可な問題ではないなぁ、だからこそ緊急にどうにかしないとまずい!」と強く思いました。
自分の頭を整理する意味でも、話しあわれた内容を列挙しておきたいと思います。
なおこのフォーラムを受けて、主催団体からG8環境大臣に向けて大会宣言が出ています。詳細は、下記を参照ください。
FoE HomePage:http://www.foejapan.org/news/doc/080416.html
●1日目『バイオ燃料は気候変動対策か?』
- バイオ燃料が、ブームとなっている。
- EUは、2020年輸送用燃料の最低10%をバイオ燃料で賄うことを目標に掲げ、アメリカは2022年までに20%以上、日本も2010年までに0.7%賄うとしている。
- インドネシア、マレーシア、ブラジルなどの生産国も増産に乗り出している。
その一方でこうした過熱気味のバイオ燃料に対して、持続可能性への懸念が指摘されている
- エネルギー収支上無意味
- 土地利用の競合
- 生物多様性の消失
- 社会的影響
そういった批判をうけて見直しを行う動きもある。
- ドイツは、バイオ燃料使用車増加計画、エタノール比率の引き上げ中止
- イギリスは、2010年以降のバイオ燃料政策決定にバイオ燃料による間接影響などの見直し
懸念される熱帯雨林の減少の例として、インドネシアにおけるパーム油農園を紹介された。
- 現存する熱帯雨林の10%がインドネシアに存在し、
- 生物多様性からも熱帯雨林はとても貴重である。
にも関わらず、熱帯雨林が広がるインドネシアにおいて、
- バイオ燃料政策(インドネシア政府)として大規模農地化、森林の農園への転換、非生産的森林の植樹を進めている。
その結果、
- 森林伐採
- 伐採林と劣化林の農園への転換
- 森林火災、土地火災
- 泥炭地の排水汚染
- 農薬問題
- 先住民との対立
が発生している。
特に泥炭地の農園化、泥炭地の破壊はいろいろな問題を引き起こしている。
- 泥炭地は、食物遺骸が有機質土を形成したもので地球全体で泥炭地は二酸化炭素換算で 2,000Gトン のCO2を固定していて、
- 地球全体で、泥炭地からの年間排出量は 3Gトン以上で、地球全体の化石燃料からの排出の11%にも相当する。
- バイオ燃料として泥炭地で生産されたパーム油の燃料は、化石燃料使用から排出される二酸化炭素の3~10倍を排出し、温暖化を緩和するどころか、温暖化の促進に寄与していることになり、
- 新規パーム油農園の50%以上が泥炭地に計画されている現状を考えると
- 森林減少や火災の要因にもなる泥炭地におけるパーム油農園等の開発は、即停止するべきである。
こういったバイオ燃料の需要を考える際には、地球上の限られた土地への需要ということも考える必要がある。
土地への需要に対する問題点としては、
- 需要逼迫する食料生産
- 紙の需要と植林の拡大
- 油糧、燃料作物の拡大
などがあり、
- 生態的な土地利用の制約
- エコロジカルフットプリント
- 生物多様性への影響
- 蓄積炭素への影響
- 水資源への影響
- 社会的土地利用の制約(地域社会、原住民への影響、安全保障問題など)
を充分に考慮する必要があり、問題は複雑で多岐に渡っている。
つまり、
- 生態的にも社会的にも土地利用への圧力を緩和する努力が急務である。
- 不公正な土地利用、食料配分は社会に深刻な問題を引き起こす可能性がある。
- 限られた土地の利用は、食料生産、安全な水資源の確保を最優先とする必要がある。
- バイオ燃料による僅かな温室効果ガス削減に投資するより、気候変動により悪化する食糧、水の安全保障リスクの増大に備えるべきである。
こういった内容について、プレゼンと質疑応答、パネルディスカッションが行われました。
そして、最後にG8環境大臣会合への提言(大会宣言)を行いました。
二日目は、『森林減少による炭素排出と気候変動』について、初日に引き続き喧々諤々し、議論を深めました。