FoE Japan主催の『内モンゴル砂漠緑化ツアー』に行ってきました。
中国に緑化活動に行くのはこれで2回目になります。前回は、重慶市(中国内陸部 長江沿い)で緑化活動を行ったのですが、重慶では過度な農地化により丸裸になった山に果樹などの植林を行いました。ですので、砂漠での植林は今回が初めての経験でした。
今年の3月頭に北海道のキロロスキー場にバックカントリースキーに行った際、オフピステを滑るのに雪崩の危険がないかどうかを雪の層をみて判断するのですが、真っ白の雪の断面に黄色い断層があるのを発見し、中国内陸部で発生した黄砂がなんと北海道まで飛来してきていることに強い衝撃を受けました。
以前から砂漠緑化活動には興味があったのですが、この雪の中の黄色い断層を見て、「これは何とかしないとまずい」という想いが強くなり、今回参加することにしました。
FoEが活動している地域は、中華人民共和国で砂漠化が進む地域 内モンゴル自治区のウルスンやカンチカといった町周辺の村(ダチンノール村、ウリゴンボトグ村など)です。
砂漠化の現状については、FoEのHome Page(http://www.foejapan.org/desert/index.html)が詳しいですので参照ください。
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4/27(日) GWで混雑する成田を飛び立ち 中国 瀋陽空港へ。オリンピックの直前で建設ラッシュに沸く瀋陽から観光バスでウルスンへ向かいました。
初日は、移動のみで明日からの植林に期待を膨らませつつ、砂漠化が進むウルスンにある宿舎に泊りました。ウルスンは自給自足的な生活が残っていて、トイレは青空トイレ、馬が鋤を引いて畑を耕しているようなどこか牧歌的な雰囲気がある素敵な町でした。
電灯が殆どないので夜は満点の星空を堪能しました。日本とは少し星座の位置が異なりますが、北斗七星やおとめ座など本当に綺麗な星空でした。
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4/28(月) 昨晩の就寝が早かったせいか5時過ぎに目が覚め、外に出るともう既に地元の方は農作業や食事の準備などを始めていました。砂漠地帯は昼夜の温度差が大きいのでこの時期でも朝の気温は10℃ぐらいまで下がり寒かったのですが、日課になっているヨガを内モンゴルのおいしい空気をいっぱい吸いながら1時間ぐらいやると身体もポカポカしてきて、気分もすっきりして「よーし、緑化するぞ~!」っと気合が入ってきました。
緑化する砂漠化地帯へはジープで移動したのですが、砂地の悪路を走破する「パリダカールラリー」さながら上下左右前後、ありとあらゆる方向に身体が、そして頭が振られ、腰でバランスを取りながら進むこと1時間ぐらいでようやく初日の活動地に到着しました。
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初日の活動地 ダチンノール村(http://www.foejapan.org/desert/datin/index.html)は、第1期緑化地域(2001年~)で7年前は草木が殆ど生えていない砂漠地だった所ですが、7年間の植樹の甲斐あって、ポプラの木が防風の効果を発揮し、砂の固定化も進み、草も大分生えてきていました。
7年前に植林を始める前の写真と現在の写真をFoEのHome Pageで見ることができますが、活動の成果が目で見える形で現れていることにすごく感動しました。
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初日は地元の子供たち(モンゴル人)と共同作業ということで、日本人一人に子供が1人~2人ついて作業をしました。内モンゴルは、中国領ですがモンゴル人が一番多く住む地域だそうです。
既に植えられていたポプラの間に松、サジー、ニレの苗木を植えていきました。子供たちとは、大きなジェスチャーでなんとか会話?しつつ行ったのですが、子供たちの純粋な目と進んで仕事をやる姿に心が顕れる想いがしました。
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午後は、植林したところより更に奥まで散策しに行ったのですが、まだ緑化を行っていない地域に出ると「これぞ砂漠!」という景色が一面に広がっていました。左上の写真の手前の緑は、植林されたポプラの木ですが、このポプラの木を挟んで片側が広大な砂漠で、反対側は少しづつ草木が生えていて、とても対照的でした。緑化活動がいかに有意義なものかを物語っていました。
下の写真は、ポプラの木を植えたことで落ち葉が溜まり、腐葉土ができていました。ここが上の写真のような砂漠だったというのですから驚きです。
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内モンゴルで砂漠化が進んでいる地域は、もともとは草原や森だったそうです。遊牧民族だったモンゴル人が定住化させられ農業や牧畜に従事するようになり、開墾による木の伐採と過放牧により やぎ や 羊 が根こそぎ草を食べつくしたことによって砂漠化していったそうです。
ですので、もともとは草原や森であった場所なので地下水も豊富にあり、一旦砂の移動を止めることができれば自然に草が生えてくるようです。
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3日目(4/29)に大青溝自然保護区という原生林が残る貴重な公園に行ったのですが、周辺地域が砂漠化する中でそこは、上の写真のようにニレの木やモンゴリナラなどの高木、アンズ、クワ、サンザシなどの中低木が生い茂る森(冷温帯落葉広葉樹林)でした。こんなにも豊かな森が砂漠化するなんて、、、、信じられないですが、人間が自然に与える影響の大きさに息が詰まるような想いがしました。
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4日目(4/30)は、典型的な農牧民が暮らすウリゴンボトグ村での植樹だったのですが、お昼は村長さんの家でご馳走になり、農民の暮らしを拝見でき、とてもいい体験でした。田畑を耕し、牛、羊、鶏、豚といった動物たちと共に暮らす生活をしています。
しかし砂嵐の季節では、強風で舞い上げられた砂で目を開けることもできなくなり、農作業も困難になります。
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ゴーグル、マスク、帽子、耳かき、目薬、、、ツアーのしおりに持参するように書かれていた砂嵐対策グッズですが、ほんとに必要なのかなぁ、、っと少し疑っていたのですが、この日の砂嵐の凄さは半端ではなかったです。ゴーグルにマスク姿でようやく目を開けて息を吸うことが出来ましたが、叩きつけるような風で立っているのもやっとという状態でした。
そんな強風吹き荒れる砂地獄の中での植樹は、過酷としか言いようがないものでした。こんなに過酷な状況の中で生活している地元住民の苦労を想うと何とかしてあげたいという気持ちでいっぱいになりました。
地元の方々は、遠方から来た私達日本人を歓迎してくれ、屈託のない笑顔で接してこられたのがすごく印象的でした。地元の人たちと労苦を共にすると言葉は通じなくてもお互いハートが熱くなるような気がしました。