遠藤 周作 「深い河(ディープ・リバー)」 を読んで
私のヨガの先生がよく「周ちゃんのお墓参りにいってくる」と言っていたので、周ちゃんって誰だろうと思っていたら遠藤周作さんと生前親しい仲だったらしいのです。
で、遠藤周作さんの作品は読んだことがなかったので「深い河(ディープ・リバー)」を読んでみたところ、その世界観にすっかりはまってしまいました。
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「生と死とがこの河では背中をあわせて共存している」、、、、
全てを包み込む母なる河 「ガンジス河」を舞台にして、人間の生と死、愛、こころ、輪廻転生、そして宗教とは何か、という壮大なテーマを堅苦しくなくみごとに描いている。
「ヒンズー教徒のためだけではなく、すべての人のための深い河…」
宗教、文化、人種を超え、同じ地球という星に住む人間として、全ての生物、全ての自然、全ての人種とどう向き合っていくのか、そんな深い作者の想いが根底にある作品だと思いました。
「神は色々な顔を持っておられる。ヨーロッパの教会やチャペルだけでなく、ユダヤ教徒にも仏教の信徒のなかにもヒンズー教の信者にも神はおられると思います」
「私はヒンズー教徒として本能的にすべての宗教が多かれ少なかれ真実であると思う。すべての宗教は同じ神から発している。しかしどの宗教も不完全である。なぜならそれらは不完全な人間によって我々に伝えられてきたからだ」
私が、ヨガを通じて感じたことは、まさに宗教とは何か?ってことでした。
「さまざまな宗教があるが、それらはみな同一の地点に集り通ずる様々な道である。同じ目的地に到達する限り、我々がそれぞれ異なった道をたどろうとかまわないではないか」
満天の星を見て、宇宙に思いを巡らした時、いろいろな道はあるけれど、その通じる先はみな同じなんだろうなぁ、、、と。
そう、結局は私たちが想い悩んでいる想いも喜びも心弾む気持ちもみな同じ。だからこそ、
「…仏教のいう善悪不二でして、人間のやる所業には絶対に正しいと言えることはない。逆にどんな悪行にも救いの種がひそんでいる。何ごとも善と悪とが背中あわせになっていて、それを刀で割ったように分けてはならぬ。分別してはならぬ。…」
ということだと思うのです。
こんなにも心にダイレクトに響く小説を読むのは初めてでした。
そして、インドに行ってみたいという気持ちがますます大きくなったのでした。