参議院選の結果をうけて、小沢氏率いる民主党が、今、何をしたいのか、何をしようとしているのか、注視してゆく必要があると思います。
小沢氏「反米」への変節 ワシントン・古森義久
小沢一郎氏はオオカミの皮をかぶったヒツジなのか-。
テロ対策特別措置法の延長に反対する民主党の小沢代表の態度をめぐり、米国の日本専門家たちの間では辛辣(しんらつ)で活発な議論が続いている。「全米アジア研究部会」(NBR)という民間研究機関の日本関連論壇サイトで米側関係者たちが実名を出しての熱い論議を展開しているのだ。
「小沢氏は結局、日本が安全保障上では国際的になにもしないという年来の態度を『国連優先』という響きのよいスローガンで隠しているだけだ。国連が現実には安保面できわめて無力なことはあまりに明白ではないか」
だから小沢氏はオオカミを装ったヒツジだ、と説くのはもう30年来、日米関係を報道してきたベテラン・ジャーナリストである。
「小沢氏は民主党内になお存在する日本が防衛問題で行動をとることにはすべて反対という旧社会党勢力を離反させないためにテロ特措法に反対するのだ。湾岸戦争当時、小沢氏ほど自衛隊海外派遣など安保面での対米協力を強く主唱した日本の政治家はいない」
これまた数十年間、日本研究を重ねてきた学者の言である。
このふたりの論者はさらに小沢氏がとにかく自民党政権を揺さぶり、自分たちが政権を取るという目的のためには、たとえ自分自身の年来の主張を変えてでも、反米や反国際協力の姿勢をとるようだ、という疑念を表明する点でも共通していた。
国防総省元日本部長のジム・アワー氏の批判はより辛辣である。
「小沢氏は北朝鮮のミサイル脅威や台湾海峡の有事、あるいは中国の野心的な軍拡という事態に対し国連が日本の安全を守ってくれるとでもいうのか。テロ特措法による日本の自衛隊のインド洋での給油活動は日米同盟への貴重な寄与だけでなく、アフガニスタンで国際テロ勢力と戦う多数の諸国による国際安保努力への死活的に重要な協力なのだ。その停止は日米同盟と国際安保活動の両方からの離反ともみなされ、日本自体の安全保障にも大きな損失となる」
確かに米国政界でもアフガンでの治安維持活動への支持は広範である。イラクでの米軍の活動に反対する民主党側の大統領候補バラク・オバマ上院議員や慰安婦問題で日本を批判したトム・ラントス下院議員も、日本のインド洋での後方支援を国際テロ撲滅やアジア安定への枢要な貢献だと礼賛した。
共和党側でも大統領選に立つルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長は、日米同盟を通じての日本の安保協力強化の意義を強調し、もしアフガンでの作戦が失敗すれば、同国は再びテロリストの楽園になるだろうと警告した。慰安婦決議の日米関係への悪影響に配慮して下院外交委員会が超党派で採択した対日同盟感謝決議も、日本のインド洋での活動への高い評価を特記していた。
だから小沢氏の反対には米国側の超党派の反発が起きることは確実である。
しかもアフガンでのテロ撲滅作戦にはきわめて広範な国際参加がある。程度に差こそあれ、北大西洋条約機構(NATO)を主体に合計三十数カ国が関与する。私自身もカブールを訪れ、ルーマニアやイタリアという諸国の将兵が治安維持に加わっているのを目撃して、この活動の国際性を実感させられた。しかもその活動は国連安保理決議1386で認められているというのが一般の解釈である。
アワー氏はさらに小沢氏がトーマス・シーファー駐日米大使との会談をすべて報道陣にさらしたことを「外交儀礼に反する米国への非礼」と批判し、小沢氏が政権奪取という目前の政治的動機によって基本政策までを変えてしまうようにみえる点を非難した。
この2点は相互に無関係とは思えない。いまの日本で米国大使をあえて粗雑にあしらい、「反米」を演出することは一面、児戯めいていても、国内の一部にはアピールするのだろう。
小沢氏といえば、1990年代はじめ、日米経済摩擦にからむ日本市場の開放でも、湾岸戦争がらみの自衛隊海外派遣でも、日米関係重視という立場から米国の望みや悩みに最も理解を示す政治リーダーとして日米双方で知られていた。野中広務氏あたりからは「売国」に近いレッテルを張られたほどだった。そんな対米関係重視派がいまや反米パフォーマンスを売りにする。日本の政治とはそんなものなのか。
(2007/08/25 08:02) (Sankei Web)
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070825/usa070825000.htm
自民党時代の小沢氏の、アメリカとの関係を考えあわせると、
今回のテロ対策特別措置法への小沢氏の姿勢が、政権を得たいがための単なる手段なのかそうではないのかは、
日本全体の問題としてしっかり注視していかねばならないと思います。
自民党にも多々、問題はあります。新農相の補助金不正受給の話などは、良い機会として自民党内を自浄し、きちんとしてゆくことが、後々自民党のためになることであり、しっかり対応してゆくべきです。
民主党はさっそくこの問題を非難しています。が、問題があるのは、自民党ばかりではありません。
小沢代表の訴え棄却 週刊現代の隠し資産記事めぐりhttp://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070810/jkn070810022.htm (Sankei Web)
鳩山氏「捜査見守る」 青木愛参院議員陣営の公選法違反事件 http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070830/skk070830004.htm (Sankei Web)
人を非難するならば、民主党は自分の落ち度も率先して正していくべきでしょう。
また、自民党のこの問題について、大変熱心で、かしましい報道をしている新聞やマスコミは、
民主党小沢代表の莫大な隠し資産問題についても、議員としての資質にかかわる横峯議員の問題についても、姫井議員の見過ごせないスキャンダルについても、あまり熱心に取り上げているようには見えません。
このような新聞・TVの偏向姿勢 〈反政府(日本)―親野党・親特定国〉 は、今に始まったことではありませんが、情けないで済まされない、重大な問題です。
新聞、報道が、かつて尊敬を得てきたのは、いかなる場合でも、公平、中立の立場から、事実を伝えようという、理念理想の元にあったからで、政府(日本の代表)反対のためになら、なんでもよしというような報道姿勢は、一体、いつから、どこからはじまったのでしょうか?(もしかすると、このことも、野党を支持している労組と関係があるのでしょうか?)
今回の、社会保険庁の現場での労組の失態は、国民を窮地に追い込みました。それを、社会保険庁の労組、自治労を基盤とする民主党は、100%政府の失態に置き換え、(もちろん、政府に大きな責任はあります) 政府を攻撃するばかり。もっとも国民を無視したのは、彼らではなかったのでしょうか。
数日前に発足したばかりの新内閣に仕事が山積みなのは、誰が見ても明らかです。少なくとも今は、新政府が、仕事をどのような方向で進め、どのようにこなしていくのかを、見守り見極める時間を持つことが、国民もマスコミにも必要なことでしょう。
また、報道の方には、常に一定の勢力の利益に流されることのない報道を、強くお願いしたいと思います。