パレスホテル高層化案に変更要請、宮内庁が皇居内眺望に配慮
皇居わきに立つパレスホテル(東京都千代田区)が、現在の地上10階から23階建てへの建て替えを予定していることがわかり、宮内庁が計画の変更を要請している。
皇居内にある宮内庁病院の窓が客室から見えるようになるためで、同庁は「天皇陛下や皇族方も入院されるだけに、プライバシー保護への高度な配慮が求められる」と訴えている。
パレスホテル側が同庁などに示した計画によると、建て替えにより、同ホテルの高さは現在の約30メートルから約100メートルになる見込み。
来春から工事を始め、2011年秋に完成、12年春に営業を再開する予定だ。
同ホテルと宮内庁病院との距離は約200メートル。病院の2階には皇室専用の御料病室が2部屋あり、最近では01年11月に皇太子妃雅子さまが愛子さま出産のため、02年12月に天皇陛下が前立腺の組織検査のため、昨年6月に三笠宮寛仁さまがアルコール依存症治療のために入院されている。
今はホテルの最上階に立っても樹木に遮られて病院の屋根付近しか見えないが、建て替え後は、高層階のバルコニーから御料病室の窓が見えるようになるという。
宮内庁が昨年末以降、計画変更を再三申し入れてきたのに対し、ホテル側は「10階以上のバルコニーに特殊なスモークガラスを使ったスクリーンを設けて、病院の方向が見づらくなるよう配慮する」などと回答。しかし、同庁は「ホテルからのぞかれかねないという意識は消えない」と反発、病院の近くに両陛下が使用されるテニスコートもあることから、「警備上の問題も生じる」としている。
パレスホテル広報室は「まだ計画を公表できる段階ではなく、コメントを控えたい」と話している。 (2008年5月9日15時02分 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080509-OYT1T00440.htm
皇居わきパレスホテルは、高層化で高さを現状の30mから100mにする計画があるとのことです。パレスホテルの件を含めて皇居周辺の建築物の高さ制限はどうなのかということに関して、東京都に問い合せてみました。建築物の高さの話ということで、担当部署は都市景観保全などを担当する部署になり、当然、ここでは ホテルの高層化による問題「皇居への配慮」や「警備上の問題」は管轄外のようでした。(これが縦割り行政?) 皇居周辺「景観保全」という観点からのお願いをするしかなく、皇居周辺の建物の高さについて再考していただけるようお願いはしたのですが、それに加えて、例えばこういう考えはどうかとお話してみました。
建築物高さ規制に関して、京都市が昨年9月にスタートさせた新景観政策の中にこういうものがあるのです。眺望景観から考えた高さ規制で、「眺望を阻害する場合、建築物の高さやデザインを規制する」。この京都の場合のように、景観を見るために建物の高さ制限をすることが考えられるならば、景観を見えなくするために高さを制限するという考えもありではないでしょうか、と。
もちろん、この問題を景観という点からしか考えられないことについては、強く違和感を感じます。ホテルの高層化に伴う問題「皇居への配慮」や「警備上の問題」など、これらはいったい誰がどこで検討すべき問題なのでしょう? ここで疑問ですが、この件、国の重要施設である皇居の周辺環境に関しての決定権は、皇居のある場所である地方公共団体の「都」にあります。国側(宮内庁)は「都」にお願いする以外にこれに関知することはできないのでしょうか?
・・そうだとしたら、地方(東京都も名目は地方)は、思ったよりもかなり大きな影響力を持っているものですね。
〈参考〉
新景観政策スタート |
高さ、デザイン規制強化 (京都新聞07 09 01・一部抜粋) |
歴史的な京都の町並みを保全するため、市街地のほぼ全域で建築物の高さや
デザイン規制を強化する京都市の「新景観政策」が一日、施行される。
高さ規制を現行基準より一ランク引き下げるほか、和風の住宅デザイン基準も
新たに導入し、屋上の広告看板を全面禁止するなど屋外広告物の規制も強める。
大都市で全市的に景観規制を強化する前例のない取り組みがスタートする。 高さ規制は市街地の約三割で強化する。従来の五段階規制を六段階に再編し、
最も高い四十五メートルを三十一メートルに引き下げ、市中心部の幹線道路沿いの
「田の字地区」などで適用。ビルやマンションなど最高でも十階程度に抑える。 デザイン基準の見直しでは「美観地区」「建造物修景地区」など従来の
一種から五種の段階別規制を撤廃し、新たに「歴史遺産型」「岸辺型」など
十二の類型を設けた上で、七十六の地域別に細かく再編、拡大するほか、
山ろく部などで自然との調和を求める「風致地区」も範囲を広げる。 また、鴨川河川敷からの五山送り火の眺めなど三十八カ所の視点場を設定し、
眺望を阻害する場合、建築物の高さやデザインも規制する。
屋外広告は屋上設置と点滅照明による装飾を禁止するほか、
面積の縮小や設置場所の高さ引き下げなどの基準も見直す。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/special/07sinkeikan/070901.html |
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