「帆・HAN」28号を紹介する。
佐藤よしみさんの個人誌で不定期刊。全6頁。
短歌「海へ、ふたたび」30首と
連載「琉歌(うた)の見える場所」(17)が載る。
指先を舐めてページをめくらんとして罪びとのごとく戸惑う(「海へ、ふたたび」)
なぜ<罪びと>か。この作品はコロナ禍の暮しを映している。
私ごときもたまにはスーパーで買い物をする。
食材と共に買わされたお店の袋を開くときにどうしても、
マスクをずらしてでも指を舐めたくなる。
コロナ警察が何よりも怖いから、周囲を見てすばやく
こっそりとマスクをずらし、指を舐めマスクを戻す。
あら、不思議。あんなに開かなかったビニール袋が
あっさりと口を開くのだ。
一応、指濡らし用のタマコロみたいなモノが
置いてあるのだが、あんなもん既に乾燥してるし
誰もが指先をつけているわけで、逆に怖いわ!
「琉歌(うた)の見える場所」(17)では
辺野古の埋め立てに沖縄本島南部の土が使われることへの
怒りが描かれている。本島南部は沖縄住民がじわじわと
米軍に追い詰められていった土地である。
考えさせられたという他はない。
ここで何度か書いていると思うが佐藤よしみは
田島邦彦が率いた同人誌「開放区」に創刊まもなくから終刊号まで
およそ30年間、所属していた大先輩である。
私が創刊した「蓮」でも創刊から終刊までお付き合いいただいた。
大袈裟ではなく私の恩人である。
お目にかかったこともお話したこともないけれど。