「生協の白石さん」という本を今、読んでいる。東京の郊外にある、緑あふれる大学で、学生達は「白石さん」というファンタジー、つまり素性、正体、そして性別をも明かさないネット上の”生協職員の白石さん”に質問・意見・要望を一言カードに書いて投稿するのです。
白石さんは、どんな質問にも真面目に答えてくれるのです。ここにその一例を。
「どーやったら、鈴木さんとつきあえますか」という質問に対して、鈴木さんは
「当方の職員に”鈴木さん”という人がいます。その鈴木さん宛という仮定でお答えします。鈴木さんは若く見えて魅力的な人なのですが、二児の母、しかも上の子は高校生とのことです。この障壁、一朝一夕では越えられないと思われます。どうにもならないこと、人生にはいくつかあります。どうぞ気を落とさずに。」
誰かから、答えにくい質問を投げかけられた時や、ちょっと行き詰まった時、心にじんわりしみる白石さんの回答が、新鮮に感じられます。