夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

災い転じて

2015年10月15日 | 音楽


古いLPレコードを引っ張り出して聴いてみる
スクラッチノイズというのか、雑音が出るものの全体の音質はいい、少なくとも安価な再生装置で聴くCDよりはるかに世界が広がる

デジタル化は避けて通れないほどの便利さを実感させてくれた
アナログレコードを探し出して聴きたい曲に目見当で針を落とす面倒は、デジタル機器に全てのコレクションを格納して瞬時に検索できることに置き換えられた

便利だが味気ない、、、お目当てのLPジャケットのイメージを頭に探す、レコード盤を引っ張り出してターンテーブルに載せて
そこから出てきたスティール・ギターの音色に感動した、ビリー・ヒュー・レンだった

第二次大戦、日本軍の爆弾で左手指を失った彼は、革巻き手袋にセットされたバーを器用に使って演奏する
左手指が自由に使えないことは、左手のカッティングを不可能にしバーの角度を可変するスラントに影響する

そうした不自由をカバーするためにペダル・スティールを使ったりもする
が、カッティングしない奏法は流麗なコードワークを生む大きな要素となってファンを魅了する

ほとんど聴いていなかったLPレコードを聴いて感動したのはここにあった
そう「災い転じて福となす」とはこのことだ

往年のファンならあっと驚く1974年の映像があった
マイラ・イングリッシュの脇にサニー・チリングワースが、そしてビリー・ヒュー・レンがいる

出てくる音が想像できるだけに感動も大きい
グイグイとグルーヴを牽引するスティールとそれを牽制するようなサニーのギター

しかし初めて見たサニーのライブは、驚くべきグルーヴを繰り出していた
抑圧と解放という矛盾がそうしたグルーヴを創出する秘密なのか、と思うくらいに

達人たちの午後のひととき
楽しんでいる、余裕がある

かくありたい






"Anapau" - "Mele Hawaii Blue Dolphin Room 1974

Mele Hawaii Blue Dolphin Room 1974

"Alekoki" - Mele Hawaii Blue Dolphin Room 1974