がんに克つ

父のがんを治すためにがんを研究しました。がんは意外と簡単に治ることを知ってもらえたら、亡き父も喜んでくれると思います。

青汁の飲み方

2024-03-03 09:07:30 | 健康・病気

以前、本ブログの「青汁の効能」という記事で、がん治療に青汁が有効であることをご紹介しましたが、最近、『青汁は有毒である 安全なのみ方』(清水桂一:著、銀座クッキングスクール出版局:1962年刊)という本を見つけました。

物事に功罪両面があるのは当然であり、青汁に対する批判的な見方も知っておいて損はないので、今回はこの本の内容をご紹介します。なお、著者の清水桂一氏は、科学者ではなく、料理研究家です。

清水氏の「青汁は有毒である」という主張の主要な部分を抜き書きすると、おおよそ次のようになります。

1.青汁をぐっと一息にのみこむのは、害がある。のみ方としては、一口づつかむようにしてのむべきである。だ液のまじらぬものは、消化吸収の第一段に於いて落第している。

2.生野菜は、たべるなら、少量でなければいけない。大量にたべては、有害である。

なお、その証拠として、長寿国として有名なフンザや太陽の恵みを受けたインドネシアの料理、および日本の料理本の古典などを紹介し、いずれも野菜を生で食べることが少ないことを指摘しています。

3.青汁というのは、生野菜としては、到底たべられない程の大量を、押しつぶして、そのアクの多い、ゆでて捨てる部分だけをのんでいるのだ。害がなければ、不思議である。

4.青汁を一度でも口にした人は、如何にまずいものであるかを知って居るだろう。まずいものを、死ぬまでたべたら、大変である。青汁を、続けてのんでいたら、短命になると、私は、考えている。

これらの指摘は、とても論理的で、特に青汁をぐっと一息にのみこむなという意見は、一理あるなと感心させられます。

ところで、日本に青汁を広めた医学博士の遠藤仁郎(えんどうにろう)氏は、生涯青汁を愛飲して97歳の天寿を全うされたそうです。

したがって、青汁を飲み続けると短命になるという主張は、間違っている可能性があるようです。

一方、青汁は有毒であると主張した清水桂一氏は、72歳で病死されています。

同じく料理研究家のバーバラ寺岡さんも、『生野菜は男も女もダメにする』(日東書院:1987年刊)という本で、生野菜は有害であると論じていますが、やはり72歳で病死されています。

料理研究家が推奨する食事は、味覚を重視しているので、結果的に健康を害する場合があるということでしょうか?

いずれにしても、青汁を愛飲した人が長生きして、青汁を飲まなかった人が70代前半で病死している以上、青汁が有毒であるとする清水氏の主張は、そのまま受け入れることはできないようです。

ただし、青汁を飲んで体調を崩す人がいるのは事実なので、最後に漢方医の見解をご紹介しておきましょう。

『漢方研究』(月刊漢方研究:1975年10月号)という雑誌に掲載された「漢方療法と食養生」(伊藤清夫:著)という記事には、次のように書かれています。

「たとえば青汁療法であるが、私はたくさんこれで失敗した患者をみている。いわゆる陰虚証によいハズがない。」

つまり、体質によっては青汁が有害な場合もあるというのが漢方医の見解ですから、心当たりのある方はご注意ください。

ちなみに、『漢方の診かた治しかた』(寺師睦済:著、福村出版:1966年刊)という本によると、陰虚証とは、「新陳代謝機能の極度に沈衰しているタイプで、栄養わるく痩せて元気なく、血行もわるく手足が冷え、脈も沈弱で、いわゆる虚弱無力体質の持主」だそうです。

もし、自分の体質がよく分からないという場合は、効果が実感できない健康法は長く続けないようにするのが賢明だと思われます。

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糖尿病の治し方

2024-02-04 08:41:57 | 健康・病気

前回はビワの葉療法で糖尿病が簡単に治ることをお伝えしましたが、ビワの葉が手に入らない場合でも大丈夫なように、今回は『病人救済の記録 難病は癒る』(海老塚四郎兵衛:著、明玄書房:1959年刊)という本から別の治療法をご紹介します。

この本の著者の海老塚四郎兵衛氏は、6歳のときに腸チフスに罹って以来胃腸が弱く、15歳で心臓弁膜症、17歳で湿性肋膜炎を患い、脊柱曲り、肩こり、頭痛、下痢に苦しみ、21歳のときには体重がわずかに37.5kg程度しかなかったそうです。

その頃、陸軍薬剤監の石塚左玄氏が食養によって万病を治すということを耳にし、その診療所を訪ねたところ、石塚氏は海老塚氏の皮膚の色と爪の色を診ただけで、海老塚家の食事の内容を立派に指摘し、「これは白米病だから白米を廃さなければ治らない。そうして自分の教える食物を摂取したならば、こんな胃腸病は1か月を出でずして治してやる。」と断言されたそうです。

そして、白米をやめて、半搗米(はんつきまい=精米の度合いが5割程度の米)に胡麻塩をすってかけ、味噌汁・沢庵漬とともに食べるように言われたので、その食養生を実行したところ、1か月もしないうちに下痢は止まるし胃痛は治り、5年間苦しんだ病気が簡単に全治してしまったのだそうです。

なお、石塚左玄氏の食養生の詳細については、本ブログの記事(「食養道の「憲法」」等)を参考にしてください。

その後、海老塚氏は健康に日々を送っていたのですが、壮年になって体重が増えすぎてしまい、それを見た友人から玄米を食べるよう勧められたことがきっかけで、56歳から玄米食を始めたところ、体重は適正値に戻り、健康状態も良好になったそうです。

海老塚氏は教養豊かな人だったので、玄米食がなぜ健康に良いのかを徹底的に調べ、ついに、正食法について講演をしたり、病気に苦しむ友人や知人を救うようになり、多くの経験を積んで『病人救済の記録 難病は癒る』を出版するに至ったのでした。

さて、前置きが長くなりましたが、海老塚氏は糖尿病について、「私の経験では余りに簡単に治ってしまいます。」と断言し、西洋医学の問題点を次のように批判しています。

1.糖尿病というものは、人間が不正食をやったために、体の機械の一部が破損して糖分が尿の中に出る病気であるから、不正食を止めて正食を摂り、体の機械を治すことによって、初めて全治する。

2.しかし、医者のやる糖尿病の治療というのは、ただ糖の出ない食事を摂らせておいて尿のみを検査し、尿中に糖の出ないのを唯一の医療と心得て、不正食を強いている。

3.不正食をしたために起った病人に、更に不正食をやらせるので、中年以後の人は高血圧となり、心臓麻痺や脳溢血で倒れるのである。

海老塚氏は、以上のことを糖尿病の患者に説明し、玄米と野菜、海草、貝類、果実等を摂取する正食法を指導するとともに、漢方の大家・荒木正胤氏に患者を紹介し、患者に適した漢方薬を処方してもらうことにより、多くの糖尿病患者を救ったそうです。

確かに、海老塚氏の指摘は正論で、私も以下の4冊の糖尿病関連書籍を読んでみましたが、西洋医学の専門家には「正食」という概念がなく、血糖値のみを問題にし、海老塚氏が言うところの「不正食」である白米や肉を平気で推奨しているので、糖尿病患者が増え続けているのも無理はないと感じました。

『毎日おいしい糖尿病レシピ』(吉田洋子:監修、成美堂出版:2015年刊)
『血糖値を体型別治療でどんどん下げる』(松葉育郎:著、技術評論社:2017年刊)
『順天堂医院が教える毎日おいしい糖尿病レシピ415』(河盛隆造・高橋徳江:監修、学研プラス:2019年刊)
『おいしい かんたん 作りおき 糖尿病レシピ12週間』(中尾俊之・金澤良枝:監修、ナツメ社:2023年刊)

なお、漢方薬は体質と症状に応じて使い分ける必要があるため、漢方医の診断が必要ですが、代表的な漢方処方が『だれにもわかる漢方治療の実際』(荒木正胤:著、岩崎書店:1958年刊)という本に次のように書かれているので、よかったら参考にしてください。

【糖尿病に対する代表的な漢方処方】

漢方薬
適応症
白虎加人参湯 多尿、ロ舌がカラカラにかわいて、皮膚もカサカサしている場合
八味地黄丸 やせて、臍下に力なく、精力が減退し、便秘の傾向があり、多尿で、多少のロ渇もある場合
当帰芍薬散 肥満して、ロ渇もあり、疲労しやすく、性欲減退し、尿量が少ない場合

この本では、インスリンの注射では糖尿病は治らないことを指摘し、正食法を断行して漢方の手当てをすれば、比較的かんたんに根治できると明言しています。

正食法の内容については、砂糖は禁止し、玄米・菜食を実行し、分量もへらしますが、果物、植物性の油、豆類、海藻類、牛乳、かるい魚類、適量の酒類をもちいることはさしつかえないそうです。

そして、糖尿病にはハリ、灸の効果が絶大なのですが、ハリの治療は、病気の程度によって使用するツボが一々ちがうので、灸(脾兪と足三里に米粒大を10~15壮)を継続して、漢方薬を併用することが、もっともかんたんで効果があるのだそうです。

最後に、これは私が知人から直接聞いた体験談ですが、血糖値を下げるのには小豆カボチャが有効だそうです。

調べてみると、『化学的食養雜誌』(化学的食養會:1913年7月刊、第69号)という雑誌に掲載されている「化學的食養法と天源淘宮術(承前)」(山本勝:著)という記事に、次のようなことが書かれていました。

明治38年8月に、糖尿病を患っていた著者の山本勝氏が、前述の石塚左玄氏に糖尿病に対する食養法を尋ねたところ、「今日唯今より肉玉子の如き邪味は一切断ち、小豆粥と南瓜とを塩からくして食え」と言われたそうです。

そこで山本氏は、小豆とカボチャを塩からく煮て、10日、20日、1か月と食べ続けたところ、腹力も増し、便通も宜く、気分もやや爽快を覚えるようになり、尿中の糖量も次第に減少してきたのだそうです。

したがって、正食法に漢方と小豆カボチャを組み合わせれば、糖尿病も簡単に治療できるのではないかと思われるのです。

なお、健康の基本は栄養、運動、休息の3つですから、適度な運動を毎日続けることも忘れないようにしてください。

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万病にビワの葉

2024-01-07 08:52:42 | 健康・病気

今回は、生薬のご紹介の最終回です。

本ブログでは、ビワの葉を使ったがん治療法を何度かご紹介してきましたが、実はビワの葉はがん以外の病気にも有効で、そのことを、後に医学博士となった福島鐵雄氏が『日本及日本人』(政教社:1927年10月刊、秋季増刊号)という雑誌に寄稿しています。

それは、「河野大圭禅師の枇杷葉療法の紹介と其科学的研究 皮膚を通して行ふ青酸療法 萬病一元治療の可能性と其原理及實際」という記事で、腸チフス、百日咳、肺結核、胃潰瘍、盲腸炎、腎臓炎、肝臓炎、糖尿病、リウマチ、中風、小児科病、婦人科病等、ありとあらゆる病気について治癒した患者の実例を挙げています。

この記事に登場する河野大圭禅師は、静岡県浜松市にある定光山金地院の住職で、祖先から伝わったビワの葉療法を独自に完成させ、難病に苦しむ人々を20万人以上救ったとされるキリストのような人物です。

救われた患者の一例をご紹介すると、林長三郎さんは、歌舞伎役者として有名な中村鴈治郎さんの長男で、彼自身も役者になったのですが、肺病および痔疾のために医師から不治の病として見放されたところを、河野禅師の施療を受けてより3か月にして全治し、舞台に復帰することができたのだそうです。

また、特に糖尿病については、河野禅師の弟子の松村八次郎氏が「糖尿病の如きは、門弟の私でも何でもない」と語る様子が紹介されていて、ビワの葉療法が非常によく効くようです。

なお、福島氏は、河野禅師がビワの葉の表面に経文を墨で書いて施術する様子を見学しますが、その後、ビワの葉を加熱した際に発生する青酸が皮膚から吸収されて薬効を生じることに気づき、ビワの葉を使わない「青酸療法」でも同様の効果を挙げられることを確認したそうです。

さて、ビワの葉療法の施術の方法ですが、これについては『家庭で使える薬になる植物』(佐藤潤平:著、創元社:1961年刊)という本に書かれている内容がより詳しいので、こちらから引用させていただきます。

1.ビワの葉の青い厚い葉(特に新芽より古い葉がよい)の表面を歯ブラシのようなものでこすって毛やよごれを去る。(洗わないこと)

2.光沢のある表面をこげない程度にあぶり、これを1枚ずつ両手に持って、葉表のほうを臍の下にあて1か所を10回ぐらい強く押してはなし、またほかに場所を移して同じ所を10回ぐらい押しもむ。

3.このようにして腹全体に行なうが、腹だけで約6~7分かかる。押しもみというのは、葉を皮膚に直接密着して、押しもむようにして腹をなでるのである。臍下丹田と「水落ち」の所を入念に押しなでるのである。

4.葉は腹だけで5~6枚取り替える。取り替えるごとに2枚すり合わせ、毛をとってあぶる。

5.腹の治療が終わったら、背骨の上と、その両側、腰、お尻などを押しもむ。背中は腹より面積が広いから、10分から15分間ぐらい行なう。

6.最後に、病気のある局所をやる。腎臓病や胃腸病の場合は全体療法を繰り返す。

これは、実行するのが大変そうですが、これで医者から見放された難病が治るのなら、やってみる価値はあると思います。

また、簡略化された方法を、本ブログの「ビワの葉療法と酵素」にご紹介していますので、よかったらこちらも参考にしてください。

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腎臓炎にニワトコ

2023-12-03 09:08:57 | 健康・病気

『新漢方療法』という本に掲載されている投稿記事から、生薬の意外な効果をご紹介しています。

今回は、「ニワトコ」で姉の腎臓炎を根治した岩瀬文子さんの体験談です。

岩瀬さんの姉は、ちょっとした風邪が元で、突如40.8℃という高熱を発し、複数の医師を招いて診察してもらっても原因が分からず、その後、北大病院内科にて腎臓炎と診断されたのですが、その時には25日も経過していたので、心臓の疲労が甚しく、そのため身体は衰弱し、視力まで衰えて人の顔も分からないようになってしまったそうです。

医師の指示で塩気や肉類を禁じられたので、栄養になるものは絶対にさけ、ただ牛乳と小豆や瓜の汁ばかり摂取したのですが、両手両足はもとより顔まで水腫(みずばれ)し始め、10日後には腹膜炎を併発してしまいました。

医師は、いよいよ危しと首を捻って、食塩注射をしたものの吸収せず、非常に不規則な脈であったので、お覚悟なさいと言っただけで、そのまま帰ってしまったそうです。

その時、たまたま隣家の人が見舞いに来て、「医師に見放されたのだから、私が最後の特殊の療法をお知らせいたしましょう。そして必ず責任をもって治してさしあげましょう。」と言ってくれたのです。

その治療法とは、まず心臓強壮剤として鶏卵1個に2、3滴の醤油を入れ、これを2日に分けて服用することで、これによって今まで苦しかった呼吸が急に楽になったそうです。

次に、植木屋より取り寄せたニワトコの皮を煮て、5合の水から3合に煎じたのを1合づつ2時間おきに3回服用すると、急に大量の小便や大便が出て、お腹の方も誠に楽になり、岩瀬さんの姉は危機を脱したそうです。

その後は心臓や腹膜の氷袋も取り外して、豆腐に1割の麦粉を入れたものを今まで冷やしていたところに貼付すると、黄色に変じて邪熱を吸収してくれたので、度々取りかえたところ、7時間後には37.5℃になり、12時間後には平熱の36.7℃となりました。

食事は、2日間は玄米のスープと野菜のスープだけとし、3日目よりは半搗米のお粥と軟らかい野菜を食べ、ニワトコの煎汁は1合程づつ1日に3回服用しました。

すると、5日後には800グラム程も小便が出るようになり、10日後には腹も普通の人の腹のように小さくなり、自然と頭も軽くなり、一旦失明した眼も見えるようになって、1か月後には立って動けるようになるまで回復したそうです。

なお、『薬用植物事典』(村越三千男:著、福村書店:1954年刊)という本によると、ニワトコは、生薬名が「接骨木」(せっこつぼく)、および「接骨木花」(せっこつぼくか)です。

また、『北方植物園』(朝日新聞社:1968年刊)という本によると、ニワトコに接骨木という字を当てるのは、花のせん汁や材の黒焼きが骨折の治療に効果があるからだそうです。

そして、『薬用植物ト其実際的応用治療』(村越三千男:著、新教社:1942年刊)という本には、「接骨木は腎臓炎に特効のある物で、その花と木を煎じて服みますと、軽い腎臓炎なら二十日間位で治ります。」と書かれているので、ニワトコが腎臓炎に有効であることは広く知られていたようです。

以上、3回にわたって『新漢方療法』で紹介されている生薬の意外な効果をご紹介しましたが、この本にはこれ以外にも以下のような体験談が掲載されているので、よかったら国立国会図書館デジタルコレクションというサイトにログインしてご覧ください。

・肺結核を「にんにく」で根治した体験談
・坐骨神経痛を「にんにく」で根治した体験談
・喘息を「寒天の赤砂糖湯」で根治した体験談
・百日咳を「おおばこ」で根治した体験談
・脚気を「夏みかん」で根治した体験談
・胃腸病を「げんのしょうこ」で根治した体験談
・盲腸炎を「はこべ」で根治した体験談
・湿疹を「きはだ」で根治した体験談
・蓄膿症を「どくだみ」で根治した体験談
・痔瘻を「ふきの葉」で根治した体験談
・切れ痔・乳房のしこりを「桐の実」で根治した体験談
・子宮内膜炎を「おおばこ」で根治した体験談
・月経不順を「萬年青」で根治した体験談
・水虫を「糠油」で根治した体験談

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リウマチにかのこ草

2023-11-12 08:30:19 | 健康・病気

『新漢方療法』という本に掲載されている投稿記事から、生薬の意外な効果をご紹介しています。

今回は、養父のリウマチを「かのこ草」の入浴剤で治した山中久太郎さんの体験談です。

山中さんの養父は、若い時から非常に頑健で、かつて医薬の味を知らないといって、それを自慢にしていましたが、7~8年ばかり前(60歳頃?)に慢性リウマチにかかり、それからは常に膝関節と腰部の疼痛に悩まされていたそうです。

ことに冬になると、時々急性リウマチを併発して非常に苦しみ、いつも2~3日間は食事もとれず、長い夜を一睡もせず苦しみ明かすことさえ度々だったそうです。

そのため、医薬はもとより、温泉、灸、マッサージ、その他各種の民間療法など、およそ人のよいということはほとんど聞き洩らさず試みてみたのですが、何一つこれといって効果の認められたものはなかったのでした。

そんな折、山中さんが数年ぶりで実家に帰省した際、前年、母親が神経痛を病んで医師の注射を30数本も試みたのに、更に効果がなく当惑していた時、神奈川県から来ていた雇人が、郷里で栽培しているかのこ草は、煎じて入浴すると身体が温まるので、冷え性の人などに愛用されているから、神経痛のような冷えから起こる病気にはきくかも知れないと教えてくれたので、早速それを送ってもらい入浴したところ、ただの1回で驚く程疼痛が減退して、1週間ばかり続けた結果、全く快癒して、その効能の顕著なことに驚き喜んだということを聞きました。

幸い、まだ残りの薬草があったので、山中さんはそれをもらって帰ったのですが、ちょうどその翌朝、養父が起床の際、ちょっと足を踏み違えて膝関節を痛め、例の急性リウマチを起こし、歩行はおろか立ち上がることさえできなくなったので、早速その薬草を煎じ、醤油樽に入れて患部を浸したところ、間もなく痛みが薄らぎ歩行もそろそろできるようになったのだそうです。

それで、今度は風呂を立てて入浴させたところ、2週間ばかりのうちに、足掛け8年にもわたってあれ程執拗に悩まされた難病が奇跡的にもすっかり全治して、それ以来1回も再発したことはないのだそうです。

その後、山中さんはかのこ草を自宅で栽培して親類や知人に配り、実際に使用してもらったところ、いずれも効果は確実で、かのこ草の入浴剤が神経痛やリウマチに特効があることを確信したそうです。

さて、薬草の用法ですが、まず11月頃にかのこ草の根を堀り取り、よく洗って土を落とし、むしろのような物に広げて充分に乾燥させた上で貯えておきます。

そして、必要な時に取り出してこれを細かく刻み、およそ400gを布袋に入れ、4~5リットルの水を加えて半分の量になるまで煎じ詰めます。

この煎汁を風呂水に混ぜて入浴するのですが、入浴回数は1日4~5回、入浴時間は10分ないし15分が適当だそうです。

1回立てた風呂は2~3日間用いて新しいものと代え、1週間も連続して行なえば大抵の難症も根治することができるそうです。

なお、『薬用植物事典』(村越三千男:著、福村書店:1954年刊)という本によると、かのこ草は、生薬名が「纈草根」(きっそうこん)で、鎮痙薬として、特に一般神経衰弱、神経過敏、ヒステリー、不眠症等に賞用されたそうです。

ただし、これは内服薬として用いた場合の効能ですから、入浴剤としての効能は医学界には知られていないようです。

最後に、『内外植物原色大図鑑 第二巻』(村越三千男:編並画、植物原色大図鑑刊行会:1933年刊)という本にかのこ草の絵があったので、よかったら参考にしてください。

かのこ草
【かのこ草】(村越三千男:編並画『内外植物原色大図鑑 第二巻』より)

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