『現代強健法の真髄』(大津復活:著、大同館書店:1918年刊)という本をご紹介しています。今回は第6回目です。
◆二木(ふたき)式腹式呼吸法
二木式腹式呼吸法は、医学博士の二木謙三氏が提唱した呼吸法です。二木博士は幼少のころから病弱で、頭痛、虫歯、胃弱、便秘や下痢、皮膚全体の湿疹、腎臓炎、筋肉炎、神経衰弱などに苦しんでいたそうです。
博士は、16、7歳のとき、身体を強くしたいと思っていたところ、偶然、平田篤胤翁の『志都乃石室』を知り、
「無念無想で居れば、何にも病気に罹らぬ。本当に元気が内に充ちて居れば、病気は来らぬ。病は精神から起るから、精神を鎮める事が大切である。そして精神を鎮め、元気を内に充実するには、息を吸うて、臍の下から足の方に力を入れて呼吸すると、是だけで総ての病気が癒(なお)る。」
との記事に共鳴し、腹式呼吸を始めたそうです。すると、次第に体調が良くなり、知らぬ間に病気が治っていたそうです。
二木式腹式呼吸法を実行する場合、姿勢は自由で、立っていても、座っていても、寝ていても可能です。座ってやる場合を例にやり方を説明すると、以下のようになります。
1.両膝を少し開いて正座し、背骨をまっすぐにし、肩の力を抜いて、両手を膝の上に置く。
2.腹を前に出すようにして息を吸う。このとき、腹を指で押してみて、固くなるように息を吸う。
3.息を止め、精神を落ち着けてから、腹を凹ませながら静かに息を吐く。
4.吸うときよりも吐くときに注意して力を入れ、かつ、長く、そろそろと息を出すことが大切。
5.吐く息は少々残るようにする。すなわち、八分入れて八分出すようにする。
6.呼吸は基本的に、鼻から吸って鼻から出す。
7.この呼吸法をやっていない場合でも、できるだけ腹の固さを維持するように心掛ける。
なお、呼吸の回数は自由ですが、疲れる前にやめるようにしてください。また、急にやると腹筋が痛くなる場合があるので、普段運動していない人は、徐々に回数を増やすようにしてください。
次回は、岡田式静坐法についてのお話です。