(連載)少子化を考える2 (「しんぶん赤旗」2002年12月14日掲載)
(2)男女がともに子育てするには?
子育ては男女がともにという意識は着実にひろがっています。男性も子どもの世話や教育にかかわるべきだと考える人は、20代、30代では男女とも95%余。男性も育児休暇をとったほうがよいと回答した人も、20代は男女ともに約8割です(2000年総理府調査)。
しかし、現実はどうでしょうか。厚生労働省の調査によれば、昨年、生後六カ月の赤ちゃんをもつ父親の四人に一人が、週六十時間以上も働いています。育児休暇の取得率は、女性もようやく半数を超えたところで、男性はなお0・42%です。30代の育児、家事などの時間は、女性が5時間6分、男性が33分。「男女がともに子育て」にはほど遠く、女性は、第1子の出産をきっかけに3分の2が仕事をやめています。
1981年に、ILO(国際労働機関)で、子育て中の男女が家族的責任を果たしながら差別を受けることなく働くために、政府が果たす責任をあきらかにした「家族的責任条約」(第156条約)が採択されました。“男女がともに子育て”は国際的にも当たり前の流れになっています。
ヨーロッパでは、70年代に北欧諸国ではじまった育児休業制度が休暇後の現職復帰の保障、所得保障の拡充、両親がそれぞれ休暇をとる方向ですすんでいます。あわせて労働時間の短縮も着実に前進しています。低出生率だったフランスでも、第2子からの家族手当(20歳まで)、妊娠4ヶ月から産後3ヶ月までの乳幼児手当て、養育のために退職したときの養育手当などの手厚い制度の拡充とともに、週35時間労働を定めてから出生率が向上しています。
日本でも95年にこの条約を批准し、女性、労働者の切実な要求の高まり、たたかいのなかで育児休業制度の充実も少しずつすすみました。しかし、その一方で、長時間・過密労働の横行などリストラ、人減らしのもとで、職場の状況はいっそう悪化しています。労働基準法の女子保護規定の撤廃で、女性の残業、深夜業が横行し、子育ての困難が広がっています。
最近政府が発表した「少子化対策」では、男性の働き方の見直しや、育児休暇取得の目標を定め、男性10%、女性80%をめざすなどをうちだしています。
厚生労働省の意見募集(6月)に30代を中心に寄せられた少子化対策に必要な施策は、保育・学童保育の整備とともに、職場環境の改善(有休・育休の確実な取得、残業の削減、出産や休暇時の職場の理解など)が上位でした。
この声にこたえて、長時間労働でしばりつけて当たり前、リストラ・配転は当たり前という、人権も家庭も無視した企業のあり方を抜本的に改め、これを協力に推進する法整備もふくめた国の施策が問われています。
(2)男女がともに子育てするには?
子育ては男女がともにという意識は着実にひろがっています。男性も子どもの世話や教育にかかわるべきだと考える人は、20代、30代では男女とも95%余。男性も育児休暇をとったほうがよいと回答した人も、20代は男女ともに約8割です(2000年総理府調査)。
しかし、現実はどうでしょうか。厚生労働省の調査によれば、昨年、生後六カ月の赤ちゃんをもつ父親の四人に一人が、週六十時間以上も働いています。育児休暇の取得率は、女性もようやく半数を超えたところで、男性はなお0・42%です。30代の育児、家事などの時間は、女性が5時間6分、男性が33分。「男女がともに子育て」にはほど遠く、女性は、第1子の出産をきっかけに3分の2が仕事をやめています。
1981年に、ILO(国際労働機関)で、子育て中の男女が家族的責任を果たしながら差別を受けることなく働くために、政府が果たす責任をあきらかにした「家族的責任条約」(第156条約)が採択されました。“男女がともに子育て”は国際的にも当たり前の流れになっています。
ヨーロッパでは、70年代に北欧諸国ではじまった育児休業制度が休暇後の現職復帰の保障、所得保障の拡充、両親がそれぞれ休暇をとる方向ですすんでいます。あわせて労働時間の短縮も着実に前進しています。低出生率だったフランスでも、第2子からの家族手当(20歳まで)、妊娠4ヶ月から産後3ヶ月までの乳幼児手当て、養育のために退職したときの養育手当などの手厚い制度の拡充とともに、週35時間労働を定めてから出生率が向上しています。
日本でも95年にこの条約を批准し、女性、労働者の切実な要求の高まり、たたかいのなかで育児休業制度の充実も少しずつすすみました。しかし、その一方で、長時間・過密労働の横行などリストラ、人減らしのもとで、職場の状況はいっそう悪化しています。労働基準法の女子保護規定の撤廃で、女性の残業、深夜業が横行し、子育ての困難が広がっています。
最近政府が発表した「少子化対策」では、男性の働き方の見直しや、育児休暇取得の目標を定め、男性10%、女性80%をめざすなどをうちだしています。
厚生労働省の意見募集(6月)に30代を中心に寄せられた少子化対策に必要な施策は、保育・学童保育の整備とともに、職場環境の改善(有休・育休の確実な取得、残業の削減、出産や休暇時の職場の理解など)が上位でした。
この声にこたえて、長時間労働でしばりつけて当たり前、リストラ・配転は当たり前という、人権も家庭も無視した企業のあり方を抜本的に改め、これを協力に推進する法整備もふくめた国の施策が問われています。