(連載)少子化を考える 3 (「しんぶん赤旗」2002年12月21日掲載)
(3)重すぎる子育ての経済的負担
保育料で給料が
子どもが産めない理由には経済的な負担の重さがあります。「国民生活白書」(厚生労働省、2001年度版)でも、理想の数だけ子どもを持てない理由は男性も女性も「子どもを育てるのにお金がかかる」がトップです。他の調査でも「保育サービスが高い」「教育にお金がかかる」の項目が高位をしめています。
Aさんは1歳の子どもをもつお母さん。「できたら子どもは三人欲しいですね。でも無理だと思う。一番に考えるのは職場の理解とお金のこと」と言います。
3歳と1歳の2人の子を保育所に入れているBさんが支払っている保育料は月約4万円、3歳の子をもつCさんは無認可保育所に5万6千円の保育料を支払っています。
東京都が導入した認証保育所(国基準を緩和し、公立保育所の廃止をめざす)も、保育料は上限8万円とされ、施設ごとに自由に設定されています。その結果、延長料金が加算され、月12万円を超えるところもでています。
こうした状況下、「保育料でパート収入がほとんどなくなる」と言いつつも、仕事と子育てに多くの女性が懸命です。
世界一高い学費
文部科学省の「子ども学習費調査」(給食費、学校外活動費など含む)をもとに計算すると、幼稚園(3年間)から高校まですべて公立の場合、「学習費」は約506万円。小学校以外はすべて私立であれば959万円です。大学に進学すれば国立大学で約226万円(入学金と授業料4年分)、私立で約426万円が加わります。日本の学費は世界一高いといわれています。
一方、フランスでは大学の学費は無償。ドイツも原則無償。イギリスは98年から徴収が始まりましたが、年間21万8千円で日本の国立大学初年度納入金の4分の1程度です。アメリカでも学生の7割以上が通う州立大学の学費は日本の国立大より低く抑えられています。
日本と欧米のちがいをについて、千葉大学の三輪定信教授は「教育の成果は個人の利益とともに社会の利益になるという考え方が底流にあるから」といいます。
国際人権規約13条は、初等教育はもちろん、中等教育も高等教育も無償教育にしていくことをうたっています。しかし、日本はいまだにこの条項を保留しています。
三輪教授は「日本の憲法でも『等しく教育をうける権利』がうたわれ、教育基本法でも、経済的理由で差別されてはいけないと、国・自治体がサポートすることを義務付けています。この理念にたつことが大切」といいます。
家計にしめる教育費の負担は重く、新日本婦人の会の家計簿調査でも、40歳代は世帯実収入の14%を教育・育児費が占めています。にもかかわらず国の教育予算を削り、就学援助金制度を改悪することは、経済負担をいっそう深刻にするものです。
父母の生活実態にみあって安心してあずけられる保育料、だれでも教育をうける権利を保障する教育費に――国民負担の軽減を国と自治体が責任をもってすすめていくことが必要です。
(3)重すぎる子育ての経済的負担
保育料で給料が
子どもが産めない理由には経済的な負担の重さがあります。「国民生活白書」(厚生労働省、2001年度版)でも、理想の数だけ子どもを持てない理由は男性も女性も「子どもを育てるのにお金がかかる」がトップです。他の調査でも「保育サービスが高い」「教育にお金がかかる」の項目が高位をしめています。
Aさんは1歳の子どもをもつお母さん。「できたら子どもは三人欲しいですね。でも無理だと思う。一番に考えるのは職場の理解とお金のこと」と言います。
3歳と1歳の2人の子を保育所に入れているBさんが支払っている保育料は月約4万円、3歳の子をもつCさんは無認可保育所に5万6千円の保育料を支払っています。
東京都が導入した認証保育所(国基準を緩和し、公立保育所の廃止をめざす)も、保育料は上限8万円とされ、施設ごとに自由に設定されています。その結果、延長料金が加算され、月12万円を超えるところもでています。
こうした状況下、「保育料でパート収入がほとんどなくなる」と言いつつも、仕事と子育てに多くの女性が懸命です。
世界一高い学費
文部科学省の「子ども学習費調査」(給食費、学校外活動費など含む)をもとに計算すると、幼稚園(3年間)から高校まですべて公立の場合、「学習費」は約506万円。小学校以外はすべて私立であれば959万円です。大学に進学すれば国立大学で約226万円(入学金と授業料4年分)、私立で約426万円が加わります。日本の学費は世界一高いといわれています。
一方、フランスでは大学の学費は無償。ドイツも原則無償。イギリスは98年から徴収が始まりましたが、年間21万8千円で日本の国立大学初年度納入金の4分の1程度です。アメリカでも学生の7割以上が通う州立大学の学費は日本の国立大より低く抑えられています。
日本と欧米のちがいをについて、千葉大学の三輪定信教授は「教育の成果は個人の利益とともに社会の利益になるという考え方が底流にあるから」といいます。
国際人権規約13条は、初等教育はもちろん、中等教育も高等教育も無償教育にしていくことをうたっています。しかし、日本はいまだにこの条項を保留しています。
三輪教授は「日本の憲法でも『等しく教育をうける権利』がうたわれ、教育基本法でも、経済的理由で差別されてはいけないと、国・自治体がサポートすることを義務付けています。この理念にたつことが大切」といいます。
家計にしめる教育費の負担は重く、新日本婦人の会の家計簿調査でも、40歳代は世帯実収入の14%を教育・育児費が占めています。にもかかわらず国の教育予算を削り、就学援助金制度を改悪することは、経済負担をいっそう深刻にするものです。
父母の生活実態にみあって安心してあずけられる保育料、だれでも教育をうける権利を保障する教育費に――国民負担の軽減を国と自治体が責任をもってすすめていくことが必要です。