しんぶん赤旗 2012年12月30日(日)
官邸前行動2012 原発ゼロ 草の根から世論動かす
“自民党には負けない。安倍首相、これから毎週おつきあいください”
「全原発即時廃止」「再稼働反対」を訴えて毎週金曜日、首相官邸前で続けている首都圏反原発連合(反原連)の抗議行動は12月28日に37回を数えました。これに呼応するデモや抗議行動は、全国各地100カ所以上に拡大。原発ゼロを求める新しい草の根の共同が広がっています。(高橋拓丸)
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子どもに親の姿を
(写真)首相官邸前の車道を埋め尽くし、大飯原発再稼働反対を訴える人たち=6月29日
原発を推進する自民党の安倍晋三首相が政権の座についてから、最初の行動になった28日。雨まじりのいてつくような寒さのなか、「再稼働反対」「原発廃炉」のコールが首相官邸に突きつけられました。
1歳の子どもを抱き、小学校3年生の子の手を引いて参加した東京都新宿区の横関彩子さん(43)は「ずっと原発を推進してきた自民党が政権をとって『原発ゼロは現実的でない』とかいって、とても好戦的。だから、何もしないではいられない。子どもにも親の姿を見せたいし…」といいます。
反原連のミサオ・レッドウルフさんは、官邸に向かって訴えました。
「(安倍首相)これから毎週お付き合いください。好きなようにさせないぞ」
300人から空前規模
反原連有志の呼びかけで官邸前抗議行動が始まったのは、3月29日。参加者は約300人でした。
反原連有志がインターネットのツイッターを中心に参加を呼びかけてきた抗議行動に火をつけたのは、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働強行でした。
民主党の野田佳彦首相が記者会見で「再稼働」を表明した6月8日には、4000人が集まり、「再稼働反対」の声をあげました。同15日には1万2000人に。
「しんぶん赤旗」は第1回の行動から報道を続け、1万2000人の行動を1面トップで紹介。行動を黙殺してきた大手メディアに「1万人が見えないのか」「まともなのは赤旗だけか」の声が広がり、メディアも取り上げざるをえなくなりました。
再稼働さえしてしまえば抗議行動もなくなるという政府や財界の思惑とは反対に、参加者は万単位で増え続け、10万、20万人規模へと成長しました。全国から「このためだけに東京に来ました」「自分もぜひ声をあげたかった」と駆けつけるようになりました。
7月29日に開かれた国会大包囲行動にも、全国から20万人の参加者が集まりました。
(写真)多彩な表現で「原発なくせ」と訴える人たち。左は志位委員長と笠井衆院議員=12月29日、国会正門前
時間守り非暴力で
官邸前抗議行動の特徴の一つは、デモなどに無縁だった人たちに参加が広がったことです。反原連は、非暴力で、終了時間を厳守し毎週繰りかえす、自作のプラカードを持ち寄り原発反対の思いを訴えるなど、誰でも安心して参加できる行動を貫いてきました。
小さな子どもを連れた家族も安心して参加できるようにファミリーブロックも設置。虫よけやお茶、玩具なども充実させました。
共同し成功へ
官邸前行動には、日本共産党の志位和夫委員長や笠井亮衆院議員らが参加し続け、「原発即時ゼロ」こそもっとも現実的で可能性があることなど、その時々にこの行動の大義と展望を明らかにし、激励してきました。
全労連や全日本民医連、新日本婦人の会、日本民主青年同盟はスタッフを出すなどして、官邸前行動を一緒に成功させるために努力してきました。
来年も続ける
「2013年も金曜日は抗議の日!」。反原連は「厳しい冬を迎えても、私たちは抗議の声を上げることをやめるわけにはいかない」と訴え。3月10日には巨大デモも計画しています。
4段階で政党評価
広がった世論を国政に反映させるため、11月の「反原発1000000人大占拠」など、総選挙を視野に入れた活動を続けてきた反原連は、「全原発即時廃止プロジェクト」を展開。各政党の原発政策を「脱原発(即時)」「原発維持・推進」など4段階で評価し、「しっかり各政党の姿勢を見極めてください」と訴えるフライヤー(ビラ)とポスターを製作。抗議行動で配布すると「家族にも見せたい」などと評判になりました。市民の行動がつくりだした新しい選挙への関わり方です。
呼応して全国でも
(写真)国会正面前で「原発なくせ」「いますぐなくせ」と訴える官邸前抗議行動の参加者=11月30日
この行動は、高まる世論や「原発をなくす全国連絡会」など草の根の運動とも呼応して、「原発ゼロ」を政治の焦点に押し上げる役割を果たしました。
政府が行ったパブリックコメント(意見公募)でも「即時原発ゼロ」が8割以上。野田首相も、国民は原発に依存しない社会の早期実現を望んでいると認めざるをえなくなりました。ところが「2030年代に原発ゼロを可能とする」とした民主党の新エネルギー戦略は、当面の原発再稼働を容認するなど重大な問題を抱えていました。抗議行動では「即時停止の声が圧倒的だ」「国民の声を受け止めろ」などの怒りが相次ぎました。
財界はこの案にさえ猛反発。日本経団連の米倉弘昌会長が野田首相に電話で「承服しかねる」と直接苦言を呈するなどしました。この動きは原発推進の大本がどこにあるかを明らかにしました。
反原連は9月25日に経団連会館(東京都千代田区大手町)前で緊急の抗議行動を行い、ここでの抗議はその後も毎月行われるようになりました。
官邸前抗議行動に呼応して金曜日の行動が全国各地に広がり、11月には46都道府県118カ所(本紙調べ)で取り組まれるところまで発展しました。
官邸前行動2012 原発ゼロ 草の根から世論動かす
“自民党には負けない。安倍首相、これから毎週おつきあいください”
「全原発即時廃止」「再稼働反対」を訴えて毎週金曜日、首相官邸前で続けている首都圏反原発連合(反原連)の抗議行動は12月28日に37回を数えました。これに呼応するデモや抗議行動は、全国各地100カ所以上に拡大。原発ゼロを求める新しい草の根の共同が広がっています。(高橋拓丸)
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子どもに親の姿を
(写真)首相官邸前の車道を埋め尽くし、大飯原発再稼働反対を訴える人たち=6月29日
原発を推進する自民党の安倍晋三首相が政権の座についてから、最初の行動になった28日。雨まじりのいてつくような寒さのなか、「再稼働反対」「原発廃炉」のコールが首相官邸に突きつけられました。
1歳の子どもを抱き、小学校3年生の子の手を引いて参加した東京都新宿区の横関彩子さん(43)は「ずっと原発を推進してきた自民党が政権をとって『原発ゼロは現実的でない』とかいって、とても好戦的。だから、何もしないではいられない。子どもにも親の姿を見せたいし…」といいます。
反原連のミサオ・レッドウルフさんは、官邸に向かって訴えました。
「(安倍首相)これから毎週お付き合いください。好きなようにさせないぞ」
300人から空前規模
反原連有志の呼びかけで官邸前抗議行動が始まったのは、3月29日。参加者は約300人でした。
反原連有志がインターネットのツイッターを中心に参加を呼びかけてきた抗議行動に火をつけたのは、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働強行でした。
民主党の野田佳彦首相が記者会見で「再稼働」を表明した6月8日には、4000人が集まり、「再稼働反対」の声をあげました。同15日には1万2000人に。
「しんぶん赤旗」は第1回の行動から報道を続け、1万2000人の行動を1面トップで紹介。行動を黙殺してきた大手メディアに「1万人が見えないのか」「まともなのは赤旗だけか」の声が広がり、メディアも取り上げざるをえなくなりました。
再稼働さえしてしまえば抗議行動もなくなるという政府や財界の思惑とは反対に、参加者は万単位で増え続け、10万、20万人規模へと成長しました。全国から「このためだけに東京に来ました」「自分もぜひ声をあげたかった」と駆けつけるようになりました。
7月29日に開かれた国会大包囲行動にも、全国から20万人の参加者が集まりました。
(写真)多彩な表現で「原発なくせ」と訴える人たち。左は志位委員長と笠井衆院議員=12月29日、国会正門前
時間守り非暴力で
官邸前抗議行動の特徴の一つは、デモなどに無縁だった人たちに参加が広がったことです。反原連は、非暴力で、終了時間を厳守し毎週繰りかえす、自作のプラカードを持ち寄り原発反対の思いを訴えるなど、誰でも安心して参加できる行動を貫いてきました。
小さな子どもを連れた家族も安心して参加できるようにファミリーブロックも設置。虫よけやお茶、玩具なども充実させました。
共同し成功へ
官邸前行動には、日本共産党の志位和夫委員長や笠井亮衆院議員らが参加し続け、「原発即時ゼロ」こそもっとも現実的で可能性があることなど、その時々にこの行動の大義と展望を明らかにし、激励してきました。
全労連や全日本民医連、新日本婦人の会、日本民主青年同盟はスタッフを出すなどして、官邸前行動を一緒に成功させるために努力してきました。
来年も続ける
「2013年も金曜日は抗議の日!」。反原連は「厳しい冬を迎えても、私たちは抗議の声を上げることをやめるわけにはいかない」と訴え。3月10日には巨大デモも計画しています。
4段階で政党評価
広がった世論を国政に反映させるため、11月の「反原発1000000人大占拠」など、総選挙を視野に入れた活動を続けてきた反原連は、「全原発即時廃止プロジェクト」を展開。各政党の原発政策を「脱原発(即時)」「原発維持・推進」など4段階で評価し、「しっかり各政党の姿勢を見極めてください」と訴えるフライヤー(ビラ)とポスターを製作。抗議行動で配布すると「家族にも見せたい」などと評判になりました。市民の行動がつくりだした新しい選挙への関わり方です。
呼応して全国でも
(写真)国会正面前で「原発なくせ」「いますぐなくせ」と訴える官邸前抗議行動の参加者=11月30日
この行動は、高まる世論や「原発をなくす全国連絡会」など草の根の運動とも呼応して、「原発ゼロ」を政治の焦点に押し上げる役割を果たしました。
政府が行ったパブリックコメント(意見公募)でも「即時原発ゼロ」が8割以上。野田首相も、国民は原発に依存しない社会の早期実現を望んでいると認めざるをえなくなりました。ところが「2030年代に原発ゼロを可能とする」とした民主党の新エネルギー戦略は、当面の原発再稼働を容認するなど重大な問題を抱えていました。抗議行動では「即時停止の声が圧倒的だ」「国民の声を受け止めろ」などの怒りが相次ぎました。
財界はこの案にさえ猛反発。日本経団連の米倉弘昌会長が野田首相に電話で「承服しかねる」と直接苦言を呈するなどしました。この動きは原発推進の大本がどこにあるかを明らかにしました。
反原連は9月25日に経団連会館(東京都千代田区大手町)前で緊急の抗議行動を行い、ここでの抗議はその後も毎月行われるようになりました。
官邸前抗議行動に呼応して金曜日の行動が全国各地に広がり、11月には46都道府県118カ所(本紙調べ)で取り組まれるところまで発展しました。