しんぶん赤旗 2013年4月2日(火)
論戦ハイライト
奨学金問題 宮本議員が追及
1日の衆院予算委員会で、奨学金を取り上げた日本共産党の宮本岳志議員。“サラ金と同じだ”と言われる実態が浮かび上がりました。
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低所得者が使えない 宮本氏
「無利子」充実させたい 文科相
日本政府は昨年9月11日、国際人権規約にある中等教育、高等教育の漸進的無償化条項の留保を撤回しました。「政権が代わっても順守する立場に変わりがないか」とただす宮本氏。下村博文文科相は、「当然の話」と答弁しました。
無利子奨学金事業費の財源を見ると(グラフ参照)、政府の貸し付けを減らして返還金増で貸与拡大を支えているのです。
日弁連の「全国一斉奨学金返済問題ホットライン」で「就職先がなく返済の見通しがない」など一日で453件の相談が寄せられたことを宮本氏は紹介しました。
宮本 低所得者を助ける制度が使えないのでは、本末転倒ではないか。
文科相 そういう問題点はある。無利子奨学金を充実していきたい。
一方で下村氏は、高校の無償化に所得制限を導入し、それを財源に給付制奨学金を導入していくと表明。宮本氏は「財源は別に設けるべきだ」と批判しました。
非情な取り立てやめよ 宮本氏
ローン会社ではない 文科相
「奨学金問題対策全国会議」の設立集会(3月31日)で告発された非情な取り立て。宮本氏が紹介しました(別項(1)(2)(3))。
宮本 これで「奨学金」と呼べる教育的な制度といえるか。
文科相 返還できる方からしっかり返還してもらうのは当然。
宮本 返せない人からも、本来なら返す必要がない人からも、非情な取り立てをしている。
宮本氏が「学生支援機構は『借金奴隷化推進機構だ』という声が上がっている」とただすと、下村文科相は「深刻に受け止めなければならない。ただのローン会社ではないのだから、それぞれの事例を把握して、適切に判断していくことを検討したい」と答えました。
日本学生支援機構は、年収300万円未満だと5年間の返還猶予を認めていますが、裁判に訴えると猶予を一切認めず、延滞金の減額もありません。“延滞利息の減額を認めるサラ金以上に悪質”との声があがっています。
非情な取り立てにあった女子学生の母親の「若者が、こんなに借金を背負っていて、日本に未来はあるのか」という言葉を紹介した宮本氏。給付制奨学金の導入と、有利子奨学金の無利子化、返済猶予の5年という期限の撤廃を求めました。
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奨学金、過酷な取り立て事例
(1)無利子・有利子奨学金約400万円を借りたが、就職氷河期で半年はフリーター、その後は契約社員で返済困難。延滞金が40万円にふくらんだ。(30代女性)
(2)無利子・有利子450万円を利用。過労でうつ病になり、退職。パートで月10万円程度の収入。5年の猶予期限が切れたが、返せる見込みなく、弁護士から自己破産をすすめられている。(30代女性)
(3)無利子で64万8000円を借りた。突然の心肺停止の影響で、身体障害者1級となり退学。医療費は100万円以上かかったが、日本学生支援機構から返還請求を受け、両親が計6万円を返還。免除を申請しても返済猶予を繰り返さないとできない、医師が回復の見込みがあるといっているので、すぐには免除できないと言って受け付けない。(東京の女子学生)