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被災家屋解体進まず 南相馬再編16日で1年 放置車両多数、農地再生や水道復旧途上

2013-04-15 13:29:36 | 日記
転載 福島民報より
被災家屋解体進まず 南相馬再編16日で1年 放置車両多数、農地再生や水道復旧途上
 東京電力福島第一原発事故に伴い、南相馬市小高区全域と原町区の一部に設定されていた避難区域が再編されてから16日で1年を迎える。区域内の人口は1万2800人に上り、国と市は住民の帰還を目指している。しかし、倒壊の危険性がある家屋の解体は進まず、住宅地の環境悪化が懸念される。津波被害を受けた農地再生のスピードも上がらず、上下水道など生活基盤の復旧も始まったばかりだ。古里への道のりは依然として遠い。

■所有者不在
 「隣の住宅が倒れてきたら逃げようがない。不安だよ」。避難指示解除準備区域に再編された南相馬市小高区。東日本大震災と原発事故から2年が経過し、住民の間では、こんなひそひそ話が交わされている。
 同区は地盤の軟弱な地域が多く「倒壊の危険性のある家屋は数知れない」(市関係者)という。避難区域のため、環境省が市の行った判定結果を基に建物の撤去を進めている。しかし、この1年で解体・撤去したのは52棟にとどまっている。所有者が避難しているため所在がつかめず、取り壊しの同意を得ることが難しい状況が続いているためだ。
 風雨も加わり、時がたてば、さらに家屋の劣化は進み地域の環境は悪化する。戻る家がなければ古里に帰ることは難しい。同区出身で福島市に住む男性(57)は「環境省は取り組みは遅い。住民との協議も真剣に進めているのか」といら立つ。

■傷痕消えず
 避難区域内の沿岸部の農地では除塩や整地、がれき撤去が進みつつあるが、さびついて動かない車が目立つ。環境省が持ち主の所在を確認できず、撤去に時間がかかっている。「3・11」の傷痕が放置され続けている。
 同省によると、市内の避難区域内の農地や河川などには約640台の放置車両があり、3月までに撤去したのは129台にとどまっている。約500台は野ざらしだ。

■復旧38%
 南相馬市は避難区域内で平成25年度中の上下水道の全面復旧を目指している。しかし、3月末現在、小高区の上水道の復旧率は38.3%止まりだ。地盤の弱い同区では水道管の損壊が激しく、新たに管を設置する前段階の地下の状況確認に手間取っている。
 区域再編が行われた1年前、下水道が使用できず避難区域内には仮設トイレが設置され、一時帰宅の住民や復旧工事の作業員が利用した。下水の復旧は大きく進まず、トイレが撤去される見通しはない。小高区内では合併浄化槽で下水処理を行っている地域が多い。合併浄化槽設置には集落単位で意見をまとめる必要があり、住民の避難が続く現状では協議は進まない。

■黄色信号
 避難区域内で本来なら昨年7月に始まる予定だった国直轄の除染作業は、一部の公共施設を除きいまだに始まっていない。目標とする25年度内の完了に「黄色信号」がともっている。
 小高区中部から東部にかけての複数箇所で、仮置き場設置に住民の理解が得られていないことが影響している。
 環境省の関係者は「総論賛成、各論反対の傾向だ。自分の地域に仮置き場ができることを了承する住民は少ない」と打ち明ける。

背景
 南相馬市小高区の全域と原町区の一部が指定されていた警戒、計画的両区域は平成24年4月16日、空間放射線量に応じて3区域に再編された。放射線の積算量が年間20ミリシーベルト以下で住民の早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」、年20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下の「居住制限区域」、年50ミリシーベルト超で5年後も20ミリシーベルトを下回らないとみられる「帰還困難区域」だ。政府は指示解除準備区域の住民の早期帰還を目指している。同市の人口は1日現在、6万4356人。このうち旧警戒区域から避難している住民は11日現在、全人口の5分の1に当たる1万2833人に上る。

( 2013/04/14 09:12 カテゴリー:主要 )

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