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英国近況



イングランド、冬。
スコットランドでは雷を伴う降雪だったそうです。
ウェールズは今日からロックダウンではないが一段階厳しい規制に。


英国、12月2日。

新型コロナウイルスの死者累計が6万人に近づくなか(3日に6万を超え、4日には60617人に)、英政府は、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発している新型コロナウイルスのワクチンを世界で初めて使用承認した。

ボリス・ジョンソン英首相をはじめ、BBCの出演者らも、承認「世界初」をほとんど誇るトーンで話し、一方、ワクチン承認に慎重なEUの当事者、並びに米・感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士らは、英国の「早急な」判断を批判した。
ファウチ博士は昨日4日になって発言を「誤解を招いた」と謝罪したが。


このワクチンは開発まで10カ月しかかかっておらず、ワクチンとしては史上最も早く作られた。
通常は10年がかりなところ、各テストなどの段階を並行作業することによって時間を短縮したそうだ。それでもごく短い期間での開発だとは思うが。

英国は早期に承認できた理由として、他の国とは基準が異なること、また医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が、すでに3月の時点で、ワクチンの開発と並行して自主的な検討を始めた結果だと述べた。

当然、ワクチンの承認には、科学的な判断以外にも政治的な判断があるのだろう。
斜陽の英国が誇れる分野というのは少なくなってきたが、「学問」は未だ最前線であることを示す機会でもあったのかもしれない。
EU離脱を今月末に控えてフリーハンドを強調する旨もあっただろう。


昨日4日には、ワクチン生産拠点のベルギーからの第一便80万回分が英国に到着し、接種は来週火曜日(8日)から始まる。
まずは介護施設在住の高齢者と介護スタッフ、2番目が80代以上とNHS(無料の国民保険サービス)医療・介護スタッフから。
3番目のカテゴリーは75歳以上。
4番目が70歳以上と重い既往症の持ち主...と続く。

英政府はすでに、このワクチンを2000万人分である4000万回分(2000万人分x2回)注文しており、国内約50カ所の病院が準備体制を整えている他、大型会議施設などがワクチン接種センターになる予定。


英国にはNHS(国民医療サーヴィス)があり、医療は公平に無料である。接種の機会も公平に回って来る。
例えばわたしは8番目くらいの接種グループカテゴリーに入り、おそらくチャンスが巡ってくるのはまだまだ先の話だ。

ちなみに今年はインフルエンザワクチンも不足し、自費では接種できず、同じようにNHSからの招待待ちになっている。
先日、招待の前触れが届いたものの、いまだに日にちは確定していない。


ワクチンに関しては素人には独自で判断ができないが、(程度問題であるとしても)英国では権威権力が分立しており、ジャーナリズムも健全に機能していると思う。
多くの専門家が説明に駆り出され、さまざまな質問を受けているのは、わたしも熱心に視聴している。科学者の話、言葉の選び方や論の運び方など、いつもとても興味深く聞いたり読んだりしている。

わたしは自分なりの判断で、新型コロナにかかる危険性と、ワクチン接種の危険性を秤にかけて接種する。

ひとつ気になるのは、もしも失敗したら、まずどの地点で失敗と認識するのか、その際はどう方向転換するのか、プランBは何なのか、という提示がないことなのだけれども...BBCに質問してみようかな?


今後はクリスマスからお正月にかけて「ワクチンがあるから」と人々が弾けないように願うばかり。
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