振り駒で後手番に。佐藤五段はやはりと言うか、角換わりを目指して来ました。自分も棋聖戦第1局で負けていますし、一昨日の王位戦第4局でも先手が勝ったように後手勝率が低いのですが、避けるのは悔しいで、追従。もちろん、ただの意地ではなく、用意はありました。
棋聖戦第1局と同じ局面。その時は△同香と取りましたが、今回は△3七歩成。これはA級順位戦▲丸山-△郷田戦で指された手。二ヶ月前の棋聖戦第1局の段階では、あまり良くない手だと思っていましたし、郷田九段自身も後悔していた順なのですが、ちょっとした発見がありました。
▲3一と(▲2一にいた)と捨てた手を△同玉(△4二にいた)と取り(新手)▲3三香と打たせた局面。棋聖戦第1局とものすごく似ています。
違いは、△1三桂を先手の持駒にする代わりに△7六桂の一手が入っていることです。桂と1手の交換というわけ。桂を与えるのは大きいのですが、△7六桂が入るのも大きい。棋聖戦の苦い経験を生かして、発見した手順です。
▲3三香以下△8八歩▲3五桂△3三銀▲同歩成△同金▲7一角で図。△8九歩成▲同玉△8八歩▲7九玉と飛が入れば詰む形にして△2四香と飛を取りに行く。▲2五歩は打てますが△同香▲同飛に△3六角が絶好打。
▲5三角成とされますが、△4二桂で耐えています。図は、先手陣は両取りが厳しく収拾不能。「飛を渡せない」という条件があるので、後手玉に詰めろがかかりません。▲1五飛も△1四歩がピッタリ。△3六角が1八にも利いているので▲1八飛とも引けません。
この新手は研究会で試したわけではないので(研究会でやると、広まってしまい、自分が指す前に他の人に指されてしまう。という理由もありますが)不安はありましたが、うまく行きました。
矢倉は研究の将棋ではないので、先後どちらを持っても指す棋士が多いのですが、角換わり腰掛銀は研究が重要な将棋なので、先後どちらでも指す棋士はあまりいません。僕は後手でしか指していないように、今のところは後手チーム。先手チームがどのような対策を出してくるか。あっさりダメになっても驚きませんが、せっかく考えた手なので、少しは粘って欲しいですね(笑)
勝って二次予選決勝に進出。あと1勝で初の王将リーグ入りです。