まつや清の日記 マツキヨ通信

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福島原発「トリチウム汚染水」請願に賛成討論!

2020年12月18日 | 市政

支援交流「虹っ子」(代表 小笠原学)、浜岡原発を考える静岡ネットワーク(代表 鈴木卓馬)、原発なくす静岡の会(代表 林 克)の3グループからの請願で、請願紹介議員が内田隆典議員とまつや。「トリチウム汚染水」の現状についてもっと具体的に把握してほしいという想いと県漁連が断固反対している現状を理解してほしいと賛成討論を組み立てました。結果としては、40対4で否決されました。残念!

 

トリチウム汚染水の海洋放出に慎重な判断を求める意見書提出を
求める請願・賛成討論    緑の党 松谷 清

 ただいま議題となっております「トリチウム汚染水の海洋放出に慎重な判断を求める意見書提出を求める請願に緑の党としえ賛成の討論を行います。
 委員会審議を傍聴しましたが不採択とする理由として共通していたご意見は国の判断を見まもる、委ねたいという点でありました。
 「トリチウム汚染水」の海洋放出問題は、国が海洋放出を決定しようとしたことに、全国漁連、福島県漁連の絶対反対の表明がなされ、決定を先送りにしている段階です。請願の趣旨は、全国の自治体議会において反対、あるいは慎重な判断を求める意見書が採択され地方から「海洋放出の白紙撤回」の流れを作りだしてほしいというものであります。まさに自治体議会の見識と力量が求められるものであります。その意味において、委員会での不採択の決定は大変残念であります。
 改めて、「トリチウム汚染水」について考えてみたいと思います。
 まず、「トリチウム汚染水」とは何か、ということであります。トリチウムとは三重水素で陽子1個と中性子2個から構成される水素の同位元素で半減期、12.32年の放射性物質でベータ崩壊しヘリウムに代わります。宇宙線が地球の空気にぶつかったときに生成して自然界にも水の形で存在します。原子力発電所においては、沸騰水型でも発生しますが、特に加圧水型原子炉において、冷却水において添加しているホウ素(B)やリチウム(Li)が中性子を吸収することで生成します。トリチウムのベータ―線は、人体への影響は少なく、ヒトの体に蓄積されることはないとされています。排出濃度基準は原子力施設ごとに定められていますが、福島第一原発は年間22兆ベクレルです。ただ、周辺のサブドレン、地下水バイパスなどの排出においては1500ベクレル/ℓとしています。
 福島第一原発においては、事故により核燃料がむき出しとなり水で冷やし続ける以外に対処方法がなく、その過程でトリチウムが大量に発生しますがフランス製多核除去装置ALPSでは除去できずトリチウムを含む汚染水が大量に生成され、現在、原発施設に2020年3月段階でタンク979基汚染水は119万㎥となっている現状にあります。トリチウム汚染水といわれる所以であります。
 この海洋への放出に反対する理由は5点あります。
 第1は、トリチウム汚染水が、トリチウムだけでなく半減期1570万年というヨウ素129、半減期28.9年のストロンチウム90、半減期21万8000年のテクネチウムなど放出できる告示限界濃度をはるかに越える放射性物質を含む汚染水であるからです。AIPSで、トリチウム以外は除去されるといわれてきましたが、何のことはないALPSが十分に機能していないという事実が明らかになりました。現在、タンクにためられた水の979基119万㎥の7割が、トリチウム以外の62の放射性物質が混入しており、濃度が全体として排出基準を上回っています。基準値の1倍から5倍が32%、5倍から10倍が19%、10倍から100倍が15%、100倍から最大で2万倍が6%という無茶苦茶な汚染状態にあります。
 2年間をかけてこの放射性物質をALPSによって除去するといっていますが、事故から10年がたとうとしているのに除去できなかったALPSの機能が改善するんだろうか、大変疑問がある点です。まずは除去してからの海洋放出議論でなければなりません。
 第2は、分離できないトリチウムは人体に影響はないということは科学的に検証されているのか、という疑問があるからです。119万㎥のなかにトリチウムが持つ放射線量は860兆ベクレルで、事故前の基準値以内で年間2.2兆ベクレルでしたので390倍になります。泊原発や玄海原発周辺での白血病やがん死亡率の増加が指摘され原因を含め評価が専門家の間で分かれており再検証が必要です。DNAを構成するする水素と置き換わった場合にはトリチウムがヘリウムに壊変しDNAが破損されることが指摘されています。薄めればいいというような量の問題ではありません。
 第3に、では海洋放出以外の現実的手段が原子力市民委員会から提案されている点であります。その一つが10万㎥という大型タンクを敷地内の800m×800mという広さの土捨て場に建設すれば1日150㎥として48年分の汚染水を貯蔵できると指摘されていることです。アメリカのサバンナ・リバー・サイト核施設の汚染水処理で用いられた「モルタル固化処分案」でも対応ができ同じ土捨て場に処分するとすれば18年分が保管できます。敷地内の土捨て場については経済産業省の小委員会で議論もされているのに海洋放出ありきで事態が進められようとしているのです。
 第4に、これが最大の反対理由でありますが、福島県の漁連の皆さんが、これまで試験操業をしながら放射能測定行いながらようやく流通に福島県産魚介類が動き出してきているこの折に、このような海洋放出がなされたら、福島県の漁業者は、実質被害、風評被害を受け壊滅的打撃を受けるという点です。昨年の水揚げ量は。3600t、震災前の14%程度です。流通が広がらない理由に一つに東京・築地、今は豊洲が受け入れて異なことがあります。だからこそ、福島県漁連だけでなく岩手県、宮城県、茨城県、千葉県、東京都の6都県の134の漁協のうち回答のあった42のうち9割が海洋放出に反対を表明し、85%が福島県以外の漁協に意見を聞くべきであると回答しています。当然ながら、全国漁連が絶対反対を表明し、我が静岡県漁連も断固と反対を表明しております。福島県内59自治体で41の自治体が「反対または慎重な判断」を求めています。
 第5に、そもそも2041年~51年の廃炉作業の完了を目指す計画自体が現実的なのかという根本問題があります。海洋放出の最大の理由は、敷地内タンク貯蔵量の限界が137万㎥で2年後に満杯になるとして、タンクの存在が廃炉作業の支障になるというものであります。廃炉作業自体が幻の計画といわざるを得ません。通常の原発でさえ廃炉、燃料デブリを取り出す作業に30年はかかるのに、この未曽有の事故で燃料デブリを取り出すのに最低でも100年はかかる、あるいは取り出せず半永久的に現在の状態で保管せざるを得ない、これが現実で、廃炉計画の根本的な見直しが必要であります。この状況で海洋放出を急ぐ必要はないという点です。
 以上が海洋放出に反対で請願に賛成する理由であります。是非とも本会議場に参加されている議員の皆さんに、委員会の決定は不採択でありますが、静岡県漁連が断固として反対している現状に鑑み、賛成をしていただきたいことを切にお願いして賛成討論を終わります。