「赤餅」
主な伝承地域 金砂郷地区ほか
主な使用食材 もろこし粉、きなこ、砂糖
歴史・由来・関連行事
「赤餅」は、赤もろこしの粉でつくる、赤色をした餅のことである。鎌倉時代ごろ、阿弥陀寺中興開基安養上人が、「赤餅」の原料であるもろこしの種を生国である現在の群馬県より坂東市長須の地に持ち帰り伝えられたといわれている。利根川が大雨により洪水になると川に面したほとんどの作物が水害により不作になってしまうなか、身の丈が高いもろこしだけは水害を避けられた。米が現在のようにあまりとれていなかったため、もろこしでつくった「赤餅」が食べられるようになったと考えられる。
もろこしは、イネ科の1年草で、夏になると穂がなり、秋の収穫の時期になると、赤紫色に変化する栄養価の高い穀物。これを粉にしてつくったのが「赤餅」で、もろこし粉がないとつくることができない。稲や小麦が育ちにくい地域でも育てられることから、利根川、那珂川(なかがわ)、久慈川流域の農村地帯など、よく水害が起こる地域で栽培されていた。しかし、現在では土地改良により水田がつくられるようになり、つくる人が限られ、安定してもろこし粉を手に入れることが難しくなっている。
いまよりも天候などに左右され米が満足につくれなかった時代に、「赤餅」はお腹をふくらませるための主食代わりに食べられていたほか、農作業の合間のおやつとしても親しまれていた。
食習の機会や時季
昔は、もろこしが収穫できる秋によくつくられていて主食代わりに重宝されていたといわれるが、現在では、もろこし粉が希少なため、食べる機会が少ない。
飲食方法
もろこしの粉をお湯でよく混ぜ合わせたら、直径5cm、厚さ1cm程度のだんごをつくり、沸騰させたお湯の中に入れてゆでる。この時、火が通りやすいよう、中央をへこますと良い。赤の発色が良くなっただんごが浮いてきたら、すくい上げ、あんこやきなこなどをまぶしていただく。もろこし粉でつくる餅は冷めるとかたくなってしまうので、温かいうちに食べた方が良い。かたくなってしまった場合は、再度ゆでて柔らかくしてから食べる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
もろこし粉の入手が難しい現在では、子供たちの中でも食べたことがあるのはごく少数。そのため、学校で地域の食文化を伝える料理授業を実施する中で、「赤餅」がつくられている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/akamochi_ibaraki.html より