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<地理的表示(GI)保護制度> 登録番号 102. えらぶゆり

2021-04-06 07:05:38 | 農産品

 登録番号 第102号 えらぶゆり
  
 特定農林水産物等の区分 第12類 観賞用の植物類 切花(ゆり)

 特定農林水産物等の生産地 鹿児島県大島郡和泊町及び知名町

 登録生産者団体
 (1)沖永良部花き専門農業協同組合
 (2)あまみ農業協同組合

 特定農林水産物等の特性 沖永良部島などに自生していたテッポウユリから繁殖・育種された、ほのかな香りを持つ純白の花色で、葉の形が丸みを帯びているゆり。香りが強すぎず凛とした姿から冠婚葬祭に向くと評価され、年末年始の正月花、春彼岸の墓参りなどに欠かせない花となっている。

 地域との結び付き 沖永良部島は、隆起珊瑚礁の島で、年平均気温22℃と温暖な気候が、生育適温が15~25℃の「えらぶゆり」の栽培に適しており、明治32年、自生しているゆりを発見した英国人の助言により、山野に自生するゆりを海岸畑に植えたのが栽培の始まりといわれている。

*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/i102.html より

 

 えらぶゆりの物語
 やわらかな香りを漂わせ、凛として咲く真っ白な花、えらぶゆり。

 花言葉は「純潔」「威厳」

 欧米では古くから、純白の百合は、春を告げる花「イースターリリー」、聖母マリアのシンボル「マドンナリリー」と呼ばれ愛されていました。明治期、シーボルトによって欧米にもたらされた日本の百合はまたたくまに人気となり、多くの球根が日本から輸出されました。そして、実は、そのほとんどが、鹿児島の遥か南の海に浮かぶ小さな島、沖永良部島生まれの「erabulily~えらぶゆり~」だったのです。

 それは100年以上昔のこと、島を訪れた貿易商アイザック・バンディング氏が、沖永良部に自生する白い百合に目をとめました。「この球根を大切に育ててください。必ず私が買い取りに来ますから」そう言い残して帰国した彼の言葉を信じて、島の農民は大切に百合の球根を育てました。そして数年後、約束通り島を再び訪れたアイザック氏は、農民たちが驚くような価格で百合の球根を買い付けたといいます。これがえらぶゆりの始まりといわれています。

 塩害に強く、島の赤土で良く育つ百合の球根の栽培は、瞬く間に島中に広がり、やがて、多くの商社が島に球根を買い付けにやってくるようになりました。最盛期には、横浜の倉庫がえらぶゆりの球根で一杯になったほどだったといいます。

 2度にわたる世界大戦や目まぐるしく変わる世界経済、そして蔓延するウイルス病など幾多の苦難に見舞われながらも、島の人々は、たゆまぬ努力でこの花を守り続けてきました。

 いかに横浜ぬ波荒さ遭てぃもヤリクヌ 百合は捨つるなよ 島ぬよぅ宝 
                           (民謡「永良部百合の花」より)

 100年の時を超えて守り継がれてきたえらぶゆり。この島の宝を100年先に受け継ぐために、島では今、新品種の開発や、更なる生産技術の向上など、様々な新しい取り組みがすすめられています。

 

 えらぶゆり品種紹介
 ひのもと
 えらぶゆりを代表する品種です。気品高く、大きく開花するのが特徴。長く日本中で多くの人に愛されてきました。

 プチホルン
 その名の通り、小さく可愛らしい花姿が特徴です。小輪なので、アレンジメントにも最適です。

 凛(りん)
 より愛される「えらぶゆり」を目指して開発された新品種。花が上向きで葉も立っていて、スマートな草姿が特徴です。

 白星(しらほし)
 凛同様、近年開発された新品種。おしろいのように白い花色と、丸みを帯びた花弁をもつ、やわらかな草姿が特徴です。

*http://erabuyuri.com/wps/  より

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<地理的表示(GI)保護制度> 登録番号 73.  浄法寺漆

2021-03-08 08:30:29 | 農産品

 登録番号 第73号 浄法寺漆
 
 特定農林水産物等の区分 第38類漆類、荒味漆、生漆 

 特定農林水産物等の生産地 岩手県全域、青森県三戸郡、八戸市、十和田市、秋田県鹿角郡小坂町、鹿角市、大館市
 
 登録生産者団体 岩手県浄法寺漆生産組合
 
 特定農林水産物等の特性 硬化後の強度が非常に優れているうえに、安定した品質を有する漆。透明度、硬化時間、粘度等のバリエーションも豊富であることから、漆芸家や塗師、文化財修復職人などの需要者から高く評価。国宝や重要文化財など日本を代表する建造物の修理・修復に使用。

 地域との結び付き 江戸時代に盛岡藩が漆の生産を奨励して以来、国内最大のウルシ原木資源を継承。伝統的な技法を習得した漆掻き職人により生産されてきた国産漆の約7割を生産する一大産地。(平成27年実績)

*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/i73.html より

 

 「浄法寺漆」は、硬化後の強度が非常に優れているうえに、安定した品質を有する漆(1)です。透明度、硬化時間、粘度等のバリエーションが豊富といった特徴があるとともに、耐久性にも優れていることから、漆芸家や塗師、文化財修復職人などから高く評価されています。
 「浄法寺漆」は、日本の文化や歴史を支える素材として、古くから国宝や重要文化財など日本を代表する建造物の修理・修復に広く使用されてきました。

 「浄法寺漆」は、生産地内において、漆液の採取を主たる生業とする「漆掻き職人」が採取します。
 「増量等を目的として意図的に異物を混入させていないこと」「浄法寺漆以外の漆を混入させていないこと」を出荷規格で定め、荒味漆(2)や生漆(3)として出荷されます。

 「浄法寺漆」の生産地では、江戸時代(4)に盛岡藩(5)がウルシの木の栽培を奨励して以来、長年にわたり、ウルシにとって最適な生育環境を整えることに努めてきた歴史があります。
 明治期(6)以後、伐採後に芽吹く萌芽を管理することで適正なウルシ林として再生する新たな管理方法にも取り組んでおり、浄法寺漆を生むウルシ林を現代に至るまで守り続け、国内最大のウルシ原木資源を継承しています。

 2015年現在、日本のウルシの栽培面積は326ha、その約85%にあたる278haを岩手県が占めています。
 生産地では、岩手県浄法寺漆生産組合を中心に、行政や、漆生産者などの関係者が一体となって、ウルシの木の植栽・育成のほか、漆掻き(7)の技術伝承に取り組んでいます。地域には、伝統的な漆掻きの技術を習得した専業の職人が20名ほどおり、職人それぞれの個性や技術を活かした豊富なバリエーションの漆を生産しています。
 優れた漆掻き技術とウルシ林を引き継ぐことで、「浄法寺漆」の生産地は、平成27年現在、国内で流通する国産漆の7割を生産しています。

 (1)漆:木製品に使用される天然樹脂塗料です。日本では漆を塗った木製品を「漆器」と呼び、古来より伝わる工芸品等に広く利用されているほか、接着剤としても利用されてきました。日本で使用される漆は、ウルシ科のウルシノキ(Poison oak)から採取した樹液が使われますが、タイやミャンマーでは、ブラックツリーから採取した樹液を加工したものが使用されています。
 (2)荒味漆:木からかいたままの漆を指します。
 (3)生漆:荒味漆から不純物を取り除いた精製以前の漆の液のことを指します。
 (4)江戸時代:1603年~1867年。日本の時代区分の一つで、江戸(現在の東京)に幕府が置かれていた時代を指します。徳川家康を初代将軍とし以後徳川将軍家を中心とした藩政政治が行われました。
 (5)盛岡藩:江戸時代の幕藩体制下の行政区分の一つ。陸奥国(むつのくに)北部(現在の岩手県中北部から青森県東部)の地域(領地)が南部氏に与えられ、同氏が盛岡藩の領主(藩主)として治めていました。当時は全国におよそ250の藩があり、将軍を頂点とする江戸幕府のもと、各地で支配行政(幕藩体制)が行われていました。
 (6)明治時代:1868年~1912年。日本の時代区分の一つ。日本が幕府による封建制から近代化に移行した時代です。
 (7)漆掻き:ウルシノキの幹に傷をつけて,滲み出してくる樹液を特有の金べらで掻き取る方法です。

*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/73.html より

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<地理的表示(GI)保護制度> 登録番号 66.  岩手木炭

2021-03-01 09:06:42 | 農産品

 登録番号 第66号 岩手木炭
 
 特定農林水産物等の区分 第40類 木炭類 黒炭
 
 特定農林水産物等の生産地 岩手県
 
 登録生産者団体 一般社団法人岩手県木炭協会
 
 特定農林水産物等の特性 炭質が硬く火持ちが良い。炭素割合は概ね90%(全国規格75%以上)と高く、燃焼時の煙や炎、臭いが最小限に抑えられ、燃焼後に残る灰も少ない。その品質は高く評価され、平成18年度から参加している農林水産祭において、農林水産大臣賞や林野庁長官賞を現在に至るまで毎年受賞。
 地域との結び付き
 岩手県は、森林資源が豊富。特に、「ナラ」等の広葉樹が多く、古くから木炭の生産が盛んで、大正元年には、木炭生産量日本一の地位を確立。その後も、昭和30年代に、「岩手窯」「岩手大量窯」を独自に開発にするなど、地域で木炭産業を守っている。

*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/i66.html より

 

 「岩手木炭」は、岩手県内産の原木を使用して生産された黒炭です。
炭質が硬く火持ちが良いのとともに、炭素割合が高いことから、燃焼時の煙や炎、臭いが最小限に抑えられ、燃焼後に残る灰が少ないことが特徴です。
 炭全体が均等に炭化し割れが少ない「岩手木炭」の品質は、全国でも高く評価されており、平成18年度から参加している農林水産祭では、農林水産大臣賞や林野庁長官賞を毎年受賞しています。

 「岩手木炭」は、岩手県産の「ナラ」又は「クヌギ」を原木として使用します。
 原木を岩手県が独自に開発した岩手窯、岩手大量窯で時間をかけて丁寧に製炭(1)し、出来上がった木炭は精煉度(2)が8度以内の炭質であるものが選ばれ、「岩手木炭」として出荷されます。

 「岩手木炭」の生産地である岩手県は総面積の77%を森林が占めており、全国平均の67%を大きく上回っています。地域では木炭の原木となる「ナラ」などの広葉樹が多く、古くから木炭の生産が盛んな地域となっています。
 明治(3)初期には、製鉄が盛んな東北地方(4)の工業用木炭としての需要が大半でしたが、明治後期に東京への一般燃料としての出荷を伸ばし、1912年、「木炭生産量日本一」の地位を確立しました。

 1950年代以後、岩手県木炭協会の主導により「岩手窯」「岩手大量窯」を独自開発し、良質で安定した品質の木炭を生産可能にするとともに、製炭操作の作業性の向上も進めてきました。
 地域では、築窯技術の指導や講習会を開催して普及に努めるとともに、若手生産者の育成等も進めています。
 2016年の生産量は3,317トン、全国の生産量の31%を占めています。

 (1)製炭:生木を空気が入らない蒸し焼き状態にして炭を作る工程です。
 (2)精煉度:木炭表面の電気抵抗を0~9度の10段階で区分した炭化の度合いを示す指標です。一般的に木炭下部は精煉度が低くなるため、規格を満たすために一定部分が切り落とされ出荷されています。
 (3)明治時代:1868年~1912年。日本の時代区分の一つ。日本が幕府による封建制から近代化に移行した時代です。
 (4)東北地方の製鉄:1858年、日本の近代製鉄の先駆けとして、岩手県釜石市に溶鉱炉が建設され1880年まで操業されました。当時の製鉄燃料は木炭が使用されていましたが、経済性が悪いことなどから木炭を燃料とした製鉄は衰退し、以後コークス燃料に置き換わって行きました。

*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/66.html より

 

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<地理的表示(GI)保護制度> 登録番号 22. くにさき七島藺表(クニサキシチトウイオモテ)

2021-01-16 09:04:37 | 農産品

 登録番号 第22号   くにさき七島藺表(クニサキシチトウイオモテ)

 特定農林水産物等の区分   第41類 畳表類 七島イ畳表

 特定農林水産物等の生産地 大分県国東市、大分県杵築市

 登録生産者団体  くにさき七島藺振興会

 特定農林水産物等の特性 くにさき七島藺表の原料となる七島藺はイ草の5~6倍の強度を持ちまた、イ草の2倍以上耐焦性を持つ。そのため、柔道畳はもとより職人の仕事場や劇場の桟敷、炭鉱の住宅、北関東から東北にかけての囲炉裏を使った農家などでは欠かせない敷物だった。

七島藺の耐焦性データ(大分県農業技術センター)(PDF : 187KB)
七島藺の強靱性のデータ(大分工業試験場)(PDF : 203KB)
大分文理大学柔道場 (くにさき七島藺振興会)(PDF : 116KB)
高山陣屋の女中部屋(くにさき七島藺振興会)(PDF : 121KB)


 織り方の違い

 一般的なイ草の畳表は引目織りで織られ、一目に二本糸が入り目が揃って織り上げられるのに対し、くにさき七島藺表は青筵とも呼ばれ筵と同じ一目に一本の糸が入る目積織りのため畳目の間が荒く織り上げられる。その為、イ草の表のような均一な美しさではなく、ざっくりとした自然な風合いが感じられる。

イ草とくにさき七島藺表の織りの違い(くにさき七島藺振興会)(PDF : 186KB)


 色合いの変化

 くにさき七島藺表はクリーム色から飴色に変わりイ草表と違い艶が出てきて使うほどに味わいが増す。
近年、琉球畳と言われる縁の無い畳が増えてきているが、元は古民家などで見られる七島藺を使った縁無畳から来ていて、自然な風合いが好まれ関東圏を中心に人気が高い。

七島藺の色合いの経年変化(くにさき七島藺振興会)(PDF : 149KB)


 価格・相場

 畳業界紙である敷物新聞社の平成27年11月20日付けの相場表では、一次問屋である産地問屋の庭先渡し値が上物で15,000円となり、記事にもあるように高い人気が相場を上げている。この人気の元は先にも述べたように他のイ草表とは原料も、織りも全く違う畳表であるということだ。他の地域との産地間の競争も無く全く独自な風合いが評価されている。イ草表との比較は難しいがサイズと織りに使う糸から比較すると、本間麻引きというクラスに相当する。高級ブランドの国産イ草畳表の2~3倍程度の価格にも関わらずイ草には無い独特の風合いが喜ばれ、国産のくにさき七島藺表は非常に人気が高く、年間2,000枚程度の出荷が限界であるにもかかわらず、10,000枚程度の注文が寄せられている。

藺草・藺製品相場表(平成27年11月20日付け。敷物新聞社提供)(PDF : 272KB)
大分産地の状況(平成27年11月20日付け。敷物新聞社提供)(PDF : 244KB)

 地域との結び付き -

*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/22.html より

 

 「くにさき七島藺表」は大分県国東市産もしくは杵築市産の七島藺を原料として織り上げられた敷物で、一般的ない草の表と比べて、ざっくりとした自然な風合いがあり、5~6倍の強度と2倍以上の耐焦性を持つことが特徴です。そのため、昔から柔道畳、職人の仕事場や劇場の桟敷、囲炉裏を使う農家などにおいて欠かせない敷物でした。
 一般的ない草の畳表は、一目に二本の糸が入る引目織りで織り上げられるのに対し、「くにさき七島藺表」は青筵(あおむしろ)とも呼ばれるように、筵と同様一目に一本の糸が入る目積織りで織られるため、畳目の間が荒く織り上げられます。織り上げ作業は、高品質の表織りの出来る七島藺表の押さえの機構が二つ付いた半自動織機もしくは七島藺表専用として改良された全自動織機を用い、鮮やかな銀青白色で適当な弾力がある七島藺の原草を、製織用に裁断された長さ120cm以上で茎の太さにばらつきがないものを使うこととされています。
 「くにさき七島藺表」は使っているうちに、クリーム色から飴色に変わり、一般的ない草表と違い艶が出てきて味わいが増していきます。近年、琉球畳と言われる縁の無い畳が増えてきていますが、元は古民家などで見られる七島藺を使った縁無畳に由来しており、自然な風合いが好まれ関東圏を中心に高い人気があります。

 七島藺は、東南アジア原産のカヤツリクサ科の植物で、主に畳表の原料として使われます。日本に伝わった時期は良く判っていませんが、江戸時代以前、すでに琉球や薩摩藩では栽培から加工までが行われていたと考えられています。七島藺という名称は、我が国での発祥の地が薩摩藩のトカラ列島であり、当時住民が住んでいた島が7つあったところから名付けられました。豊後には1660年以降伝来し、栽培が奨励されたことから別府湾沿岸の地域に急速に広がりました。
 七島藺は、亜熱帯の植物のため高温で日照時間が長いほど生育が旺盛になりますが、一方で表皮が固くなりしなやかさに欠けるようになります。低温に弱く地下茎で冬を越すため、霜などで地面が凍結すると地下茎が損傷して、生育不良や出芽不良を招くことから、平均気温が15度以上で、0度以下の日が続かない温暖地が良いとされています。また、湛水状態だとベッ甲病という赤い斑点がでる病気に罹りやすいため、植え付け後は乾いた状態にしておくことが必要です。このように七島藺栽培には、日照時間が長く降水量が比較的少ない地域で冬場は霜が降りにくい気候が適しており、国東半島はしなやかな畳表を作るための七島藺栽培に最適な地と言えます。
 1750~1770年には各藩の保護奨励により生産が急増し、豊後は青筵の本場として幕末には300万枚におよび、豊後表の名で知られていました。1935年には生産面積1600ha、生産高650万枚に達しました。戦後も、1956年から1958年にかけて再び1500ha550万枚という全国一の生産を誇りましたが、その後、生産地の工業化政策、柑橘振興策等により急速に生産者が減少しました。
 そのような状況下で、2009年に大分県の製畳会社が特産品であった七島藺の産地消滅を防ぐための活動を開始し、生産者のみならず県、市、多くの協力者を得て2010年10月に「くにさき七島藺振興会」が設立されました。当時、生産者は高齢者を中心に5名のみと産地消滅寸前でしたが、その後新規就農者が増えるとともに平均年齢も大幅に下がり、産地復活に向けた活動が展開されています。振興会では、350年の伝統を守りつつ、七島藺のファンのすそ野を広げるための活動を実施するとともに、七島藺の文化を地域共有の財産として守り育てています。

*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/22.html より

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<地理的表示(GI)保護制度> 登録番号 10. 伊予生糸

2021-01-04 08:10:49 | 農産品

 登録番号 第10号 伊予生糸

 

 特定農林水産物等の区分 第42類 生糸類 家蚕の生糸

 特定農林水産物等の生産地 愛媛県西予市

 登録生産者団体 愛媛県西予市蚕糸振興協議会

 特定農林水産物等の特性 時間をかけて丁寧に繭から糸を引き出すため、蚕がS字状に吐いて作った糸の繊維のうねりがそのまま残り、嵩高となる。また、光沢があり、ふんわりと柔らかい風合いの糸。

 地域との結び付き 生の状態で冷蔵保存した繭を原料とする生繰り法により、テンション(張力)を抑えつつ低速で、かつ、多数の繭から繰糸する多条繰糸機を用いて生産する貴重な産地。

*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/i10.html より

 

「伊予生糸」は他の産地の一般的な生糸と比べて、白い椿のような気品のある光沢があり、体積当たりの重量が2/3以下と嵩高で、ふんわりと柔らかい風合いを有するのが特徴の生糸です。着物などに求められるシャリやコシ、ハリ、ふくらみなどの特性を備えており、織物にすると柔らかさと暖かさがあるうえ、着物では着崩れしにくく、帯なら締まり具合いが良いなど、別格とも言える品質を有しています。その品質が高く評価され、古くから伊勢神宮や皇室の御料糸として採用されています。

「伊予生糸」の特性は繰糸の方法と四国山系を源とする水に由来するとされています。
 国内の代表的な生産地では、加熱乾燥させた繭から繰糸する方法が採用されています。繭を加熱乾燥すると、中の蛹(蚕)は干乾びて蛾になって繭を破って出てくることはなく、乾燥状態なので繭にカビが生えることもありません。したがって、年間を通じて繰糸するには、一定の時期に大量に収穫した繭を長期保存できるこの方法が適しています。
 それに対して「伊予生糸」の生産は、「生繰り法」を採用している点が最大の特徴です。繭は昆虫が作った蛋白質なので、たとえ僅かでも熱にあたると硬く変性します。生糸本来の良さを活かすためには、生繭からひいた生糸の方が優れるという考えに基づき、「伊予生糸」は、あえて繭を加熱乾燥させず、生の状態で冷蔵保存(5℃~6℃、保存限度1年)したものを原料として糸を引き出す、昔ながらの「生繰り法」を採用しています。
 繰糸の作業は、四国山系をその源とする水を使い、多条繰糸機(たじょうそうしき)を用いて低速で行います。多条繰糸機は、糸の張力を抑えつつ低速で、かつ、多数の繭から繰糸することのできる繰糸機であり、他の生産地で使用されている自動繰糸機と比較して、手間がかかって生産効率が良くありません。しかし、このような繰糸条件により、時間をかけて丁寧に糸を繭から引き出すことで、蚕がS字状に吐いて作った糸の繊維のうねりがそのまま残ります。
これらの繰糸の方法によって、白い椿のような気品のある光沢があり、嵩高で、ふんわりと柔らかい風合いを有する生糸を生産することができるのです。
 さらに、繰糸の作業で使用する四国山系の水は石灰質を含んでおり、繰糸用水にすると生糸を糊状に覆っているセリシンという成分が溶け出しにくいため、特有の気品のある光沢があり、嵩高で、ふんわりと柔らかい風合いを有する生糸ができると言われています。

 愛媛県は、温暖な気候風土であり、四国山脈から流れ出る河川周辺に桑園に適した肥沃な土地が数多く有りました。また、水田にできない中山間地域の傾斜地も桑園として活用できたため、桑園の拡大につながりました。加えて、上蔟(じょうぞく:食桑をやめ営繭にかかろうとしている蚕を蔟(まぶし)に移す作業)等の繁忙期に人手を確保できる農村が点在していました。これらの、養蚕業が普及・定着する条件が揃っていたことを背景に、明治初期に始まった愛媛県の養蚕業は、昭和初期に全盛期を迎えました。当時の高い収益性も後押しして、各産地に製糸工場が整備され、地域の主産業となりました。
 しかし、国内の着物需要の減退と安価な外国産生糸の攻勢によりこの地域の養蚕業は次第に衰退して行き、現在では野村シルク博物館でのみ、昔ながらの再度多条繰糸機による製法や文化を守り、伊予生糸の生産が続けられ、需要者の高級志向に応えています。

*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/10.html より

 

 

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<地理的表示(GI)保護制度> 登録番号 8. くまもと県産い草

2020-12-30 07:02:26 | 農産品

 登録番号 第8号 くまもと県産い草

 特定農林水産物等の区分 第4類 その他農産物類(工芸農作物を含む) いぐさ

 特定農林水産物等の生産地 熊本県八代市、熊本県八代郡氷川町、熊本県宇城市、熊本県球磨郡あさぎり町

 登録生産者団体 八代地域農業協同組合、熊本宇城農業協同組合、球磨地域農業協同組合

 特定農林水産物等の特性 茎長が長く畳表の製織に適した熊本県優良指定品種(ひのみどり、夕凪、ひのはるか、涼風)を用い、伝統的な「泥染め」製法により光沢や色調を整えた良質ないぐさ。

 地域との結び付き 熊本県優良指定品種(ひのみどり、夕凪、ひのはるか、涼風)は生産地の生産者に栽培が限られている。泥染め行程はいぐさ栽培の歴史に合わせて効率的な製法技術として確立。

 *https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/i08.html より

 

 「くまもと県産い草」は、伝統的に行われている「泥染め」により高品質を長きに渡って保つことができるい草です。「くまもと県産い草」は基準化された栽培方法や品種の管理が遵守されているため、いぐさ内部の白い綿のようなものが網目状に張り巡らされたハニカム構造がしっかりと詰まった密度の高いものが出来上がり、い草が有する調湿性能や有害物質吸着性能が十二分に発揮されます。
 熊本県の八代市、氷川町、宇城市、あさぎり町で栽培されるいぐさが全国生産量の約9割を占めていることから、いぐさと言えば熊本県産が代表的なものとして認知されています。品種は、熊本県の優良指定品種である、ひのみどり・夕凪・ひのはるかが栽培・育成されています。ひのみどりは、畳表に加工した時に、表面がきめ細やかで織り目が良く通り、美しい高品質な畳表になります。ひのはるかは、ひのみどりより茎が長くなるため、端部の品位が優れた美しい畳表になります。一方夕凪は、いぐさの表皮が厚く、硬いので耐久性の優れた畳表になります。
 栽培が行われてきた歴史と共に伝統的に行われてきた製法が「泥染め」と言う作業で、刈取った直後のいぐさを、染土と呼ばれる天然土を水に適度な濃度に溶かして調製した液にまんべんなく浸漬します。いぐさ一本一本の隅々に泥が付着することで、全体に乾燥することができ、コーティングされた泥が葉緑素やいぐさの内部構造のダメージを抑えるため、光沢や色調を整えられた良質ないぐさができます。また、過度な乾燥を抑制し適度な湿度を保つことができるため、いぐさの品質を長きに渡って保つためにも重要な行程となります。

 全国一の生産量を支える源として、球磨郡水上村を源流とし八代平野部へと流れる「球磨川」や豊富な地下水などを背景として水田地帯が発達しており、豊富な水資源が全国一の生産量のいぐさ栽培を支えています。
 八代市、氷川町、宇城市、あさぎり町の気候は、いぐさの生育に非常に適しています。各地域に共通して、1~3月の冬場の水田が凍る寸前の気温の低下と夏場の気温の上昇がもたらす温度差が生じ、また5月の日照時間の長さと6月の日照時間の短さが対照的なことで、いぐさの茎長が長くなるとともに、高品質ないぐさを高い収量で栽培できます。茎長の長いいぐさを使用して畳表に製織すると、色合いの統一された美しい畳表に仕上がります。

 八代地方におけるい業の歴史は古く、1500年代に太牟田上土(あげつち)城主、岩崎忠久が領内の古閑淵前にいぐさを栽培させ、特別の保護のもとに奨励したのが、熊本県でいぐさの栽培が根付く始まりになったと伝えられています。明治維新前までは「お止草(おとめぐさ)」として太牟田・新牟田・上土・新開・下村の5つの村に栽培が限られていましたが、時代を追うごとに地場産業として定着し、八代地方を中心に宇城・球磨地方でも広がりを見せ、1970年には日本一の産地に成長しました。
 宇城地方は、八代地域に隣接しており気候や生育環境が似た地域として産地の広がりを見せましたが、飛び地である球磨地方では1966年頃からいぐさ栽培が始まりました。球磨地域における気候などの気象条件が、かつての大産地であった広島・岡山と似ていたことから、都市化等で栽培面積が減少傾向にあった広島・岡山の生産者からの生産技術を導入しながら、面積は少なかったものの高品質ないぐさの生産を目指し、産地として広がっていきました。

*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/8.html より

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