フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

夏の花

2008-07-14 02:18:01 | Weblog
夏がくれば思い出す。原 民喜の『夏の花」平仮名を使わないで書いた詩にこの人の怒りを感じる。赤い花かと思っていたら、黄色い花のことだった。奥さんの墓前に捧げた鎮魂の花のことだった。それが,原爆投下と重なって、大きな大きな鎮魂花になる。人は,本当に怒ると泣いたり,わめいたりしないモンなんだね。淡々と硬質に柔らかい表現はしなくなるんだね。黄色い花を黄色い花とそのまま書くように感情を削ぎ落として感情の中にある感情で書くのだろうか。表面的には,淡々としていてよく分からないけど噛み締めると
この人の悲しみと怒りがしみ込んでくる。ちょっとしたことで「あっわかった」といえるような、なんとも深い本でした。
コメント
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