夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

うちの奥さん・・。

2005-02-18 15:26:44 | 定年後の思い
今から十六年前でした。
お茶事を気の許す仲間同士で行っていた頃でした。

ある時『テニスを少しやってみようかなぁ・・』と言いました。
これには、私の方がびっくりしました。
家内は小学校から短大までの学生期間、スポーツらしい部活に所属した事がなかったのでした。
もっとも、家内の妹、弟、母は、スポーツ大好きで、国体に出た位で、家内だけが取り残されていました。

『いいじゃ、ないの・・ラケット、どうするの・・』と私は言った。
『クラブにあるから・・買わなくても、大丈夫だって・・』
よくよく訊いてみると、短大時代の友達が近くに越してきて、テニスに誘われたらしい。

『習うからには、ラケットぐらい、きちっとした物を買ったら・・』と私は言った。
『必要になったら、安い物を買いますから・・』と家内は明るく言った。


それから三ヶ月が過ぎました。
初級クラスの入門コースから、少し上になったらしい。
まずテニス・シューズ、ラケット、テニス・ウェアのトレーナーのピンク、黄色、黄緑色が増えていきました。

テニスから帰ると、白紙の画用紙を取り出し、マジックでコートの図面を書き、
『球出しからボールがこうくるでしょう・・そうしたら、こうふうにラケットの角度で返す・・かなぁ・・』と家内はマジックで書いている。

『相手からのボールを素直に返せば・・』と私は言った。

『うう~ん。違うのよ・・』と家内は考え込んでいる。
これがA型の典型だなぁ、と私は理解した。
自分が納得しない、と先に進まない。

その点、私はB型であるので、ボールがきたら、打ち返せば良い。その時の思い込みで動けば良い、と考える人である。

それから、半年が過ぎました。
中級になったらしく、
『コーチに相談したら、今のラケットでは駄目らしいの・・』と言った。
結果として、ラケット、シューズそしてトレーナも高級化になりました。

ある時、『チューブって、知っている・・』と家内は言った。
『三年前頃、いいって俺、褒めていたじゃないの・・』と私は言った。
『それ欲しいなぁ・・』と家内は言った。

家内が音楽CDが欲しい、と言ったのは初めてでした。
私の方は、レコード、カセット、CD等で2,000枚を超えていましたので、
『どんな曲だった・・』
『テニスのクラブでよく掛かっているの・・』と家内は言った。
『じゃ、最新盤をとりあえず、買ってくるから』
私が47歳で家内が42歳の時でした。

それから、家内の音楽はTUBEでした。
外で着れなくなったテニスのトレーナーで家の中を動いていました。
掃除、洗濯、料理している時、TUBEの前田の声が部屋中に鳴り響いていました。
平日の時はともかく、私の休みの時も、相変わらずでした。

♪もう一度 二人戻れるなら
♪抱きしめる跡が残るほど
♪君を離さないよ
♪十年先でも
♪ラブストーリー最後は君と

休みの時でも朝から晩まで、14枚のTUBEのCDをひっくり返しながら聴いていました。
『俺、ちょつと散歩に行って来るから』と家内に言った。

遊歩道を歩きながら、A型でも・・ああかょ・・女は物狂いの時もあるし・・と思った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする