水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スビン・オフ小説 あんたはすごい! (第百九十六回)

2011年01月08日 00時00分01秒 | #小説

 あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第百九十六
「そうか…。いや、私も少し疲れているようだな。つまらんことで呼びたてたね。すまん、もう戻っていい…」
「プロジェクトで奔走(ほんそう)されてましたから、かなり疲れが溜(た)まっておられるんだと思います。少し、お休みを取られれば…」
「んっ? ああ…。そうも云ってられないが、まあそのうち、ゆっくりさせてもらうよ」
「はい! それじゃ私は、これで…」
 児島君は何事もななかったことに気をよくしたのか、少しテンションを上げて出ていった。彼の手前、疲れだと云ってみたものの、私の心の内では消えた十日間のことで頭が一杯だった。十日間が消えたのは私だけなのか…と思うと、決裁も進まなかった。その時、お告げの声がした。
『なにも悩まれることなどありません。ほんの十日ほど地球時間を早めてみただけです。ただ、あなただけは以前の時空の中で動いています。それは、あなたがすでに霊能力者だからです。普通一般のお方とあなたは少し違うのですよ。だから、あなただけは除外したのです。現に、こうしてあなたは私と話が出来る。塩山さん、あなたはもう、地球を救う世界でただ一人のすごいお方なのですよ』
「云っておられることが、よく分かりません」
『そのうち、すべてが分かりますよ、近いうちにね…』
 ふたたび大異変が起き、私は翻弄(ほんろう)されるのかと思うと、少し不安になった。大臣の話だけでも充分、翻弄されている私だった。


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