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水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スビン・オフ小説 あんたはすごい! (第百九十ニ回)

2011年01月04日 00時00分01秒 | #小説

 あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    第百九十ニ

「…でしたら、これからが大変だということですな、そのニラレバは」
「ははは…そうです。マーボ豆腐のように甘辛い話になれば困りものですがね」
「塩山さんも上手いこと云われますなあ。マーボ豆腐のように甘辛いか…。ははは…。どちらでもない中間・・を狙われる訳ですな?」
「中間と中華料理の中華ですか? これも上手い!」
 この日の監視室は、さながら中年おじさんと老人の拙(つたな)いダジャレ合戦の様相(ようそう)を呈(てい)し、笑いが絶えなかった。
 いつものパターンでA・N・Lで軽い朝食を取ったから空腹ではなかったが、妙に身体が、けだるかった。やはり昨夜、熟睡できなかったからか…とも思えた。禿山(はげやま)さんに送られて監視室を出ると、私は部長室へ向かった。課長の時とは、ここが大きく違うのだ。というのも、課長席は社員達と同室だから、必然的に多くの視線を気にせねばならない。そこへいくと、部長室は他人の目がないから極楽だった。私は部長室に入ると席には着かず、背広上衣だけを椅子にかけ、応接セットの長椅子で横になった。そして、しばらく微睡(まどろ)んだ。いや、微睡んでいたのだろう。それからどれぐらいの時が流れたのか、記憶にはない。突然、携帯のバイブが震動し始め、私は目覚めた。携帯のバイブがなければ、私はまだ眠っていたに違いなかった。電話は煮付(につけ)先輩からだった。


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