代役アンドロイド 水本爽涼
(第190回)
「運送? …って、タクシーとか? それは無理だろ。あれでどうして、営業許可とか手続きが大変なんだぜ。書類申請でアンドロイドじゃ一発、駄目だろ?」
『運送じゃないわよ。うん、そうねって言ったのよ』
「ははっ・・なんだ、そうか。で?」
『いくつかあるけど、怪(あや)しまれないのだと…限られるわね。NPOやNGO、海外協力隊だと少し大きく構え過ぎだし、かといって家庭教師じや、しょぼいじゃない?』
「ああ、そりゃまあ、そうだな…」
保は沙耶の考え、すなわち、入力したデータによりプログラム解析された結果を、もう少し黙って聞こうと思った。
『まずNPOからだけど、Non Profit Organizationの略で非営利組織、で、NGOはNon Government Organizationの略で非政府組織ね。1998年にNPO法人という認証制度が始まったから、申請すれば認証してもらえるの。認証された民間団体の数は2万近くらしいわ』
「個人でも活動出来るのか?」
『ええ。ある人は最初、一人で純粋に活動してたんだって。勧められて法人化した途端、スタッフの中からボランティアの趣旨の非営利主義を忘れ、お金儲けに走る人が出て、人が信じられなくなって一切の活動を止(や)めたそうよ』
「ふ~ん、そうなんだ。俺なんか、軽く考えてたがな。何やるにしても大変だな」
『まあ、活動できなくもないけど、海外はね。保も研究室があるから無理でしょ? あっ! それに、私のメンテナンスもあるから完全にアウトか…』