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水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

SFユーモア医学小説 ウイルス [41]

2023年02月22日 00時00分00秒 | #小説

「モレヌグッピーじゃなく、モレヌピラニアの方がよかったか?」
「ははは…所長、それはいくらなんでも…」
「いや、そういう意味じゃないんだ。発明、発見にも匹敵する新薬なら、研究費は付くだろっ?」
「なるほど…。治験も完璧な薬効があり、副作用も完璧になければ、第三相くらいで足踏みせずに早く承認されますよねっ!」
「そうなんだよ。君もタマには真面(まとも)なことを言うじゃないかっ!」
 海老尾は、タマにかいっ! と切れて思ったが、口には出せず笑顔で暈(ぼか)した。
「新型コロナも下火になってますが、これで終息するんでしょうか?」
「馬鹿を言っちゃいかんよ、君。ウイルスが、そんな軟(やわ)なもんかっ!」
「ですよね…」
「インフルエンザの性質ならまだしも、コロナウイルスは益々、強くなるだろう」
「ワクチン二回打っても感染する時代ですからね…」
「いや、その程度なら、まだ多くが助かるからいいんだ。問題は罹患(りかん)しただけで死に至る変異ウイルスが現れた場合だ…」
「怖いですね…」
「怖いってもんじゃない、これはもう、世界中がパニックだよ、君っ!」
「そうならないためにも、研究の成果が求められる訳ですね」
「研究の成果は、やはり財源から予算を回してもらわんと…」
「やはり、話はソコへ行きますか…」
「ああ、行くんだ…」
「ともかく、僕達が成果を挙げることが、まず第一ですね」
「そうすりゃ、家康公も関が原に向け、重い神輿(みこし)をお上げになるかっ、ははは…」
「はい! まずは先発の東軍諸将のように戦果を家康公に報告しないと…」
「海老尾君、頑張ろう!」
「はいっ!」
 海老尾は、どのように頑張ればいいのか分からなかったが、返事だけは頑張った。

                   続


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