幽霊パッション 第二章 水本爽涼
第八十五回
『はあ、GPSのような正確な位置情報があれば可能です。それと、その地の現在の写真などがあれば、完璧ですね』
「そうなのか?」
『はい、ほぼまあ…』
幽霊平林の自信ありげな返答に、上山は計画を進められると確信した。
いつの間にか二人(一人と一霊)とも気分が高揚してウキウキしている。
「よし! 次は手順だが」
『現地では、まず身を隠して様子を窺(うかが)うのが無難でしょう。正確な場所に現れたとしても、そこの環境までは分からないですからね』
「そうだな…。君はいいが、私の方は即、射殺されるってことも考えられるからな。…まっ! それは、ないか。ははは…」
『はい、用心したに越したことはありません』
「手順を進めよう。で、身を隠したあと、君が念じると…」
『はい、出来るだけシンプルに念じます』
「そして、如意の棒だ。すると、効果は…」
『まず、国民の宗教感を消しますが、効果はメンタル面ですから外部には現れませんし、それを確認することは出来ませんから、時の流れを待って確認するしかないですね』
「ああ、そらまあ仕方のないところだな」
『はい…。あとは情報を吟味して、その場所へ正確に現れることです』
「それは私には出来んことだから、君の技術力に尽きるよ」
『技術力ですか。死んでから久しぶりに耳にする言葉です』
「そうだったな。君は田丸工業のキャリア組だったからな」
『いや~、キャリア組は関係ないんですがね』
「あっ! そんなこたぁ~どうだっていいんだ。腕を磨いといてくれよ、実行日までに」
『はい! 練習を重ねます。…なんかプロの選手になった気分ですね。試合の練習のような…』
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