幽霊パッション 第二章 水本爽涼
第八十四回
『食べ残しとか、食べものの好き嫌い、なんて、悠長なことは云ってられません。死んじまいますからね。まっ、僕には関係ない話ですけどね』
「ははは…。君は死んでるんだからな」
上山が笑い、幽霊平林も陰気に笑った。上山はレンジで温めたコンビニ弁当を食べ始めた。
『今の話のあとだからですよ』
「…かもな」
上山はその後、黙々と食べ続けた。その姿をただ見ているのもなんなので、幽霊平林は一端、外へと壁を透過して出た。
『今の話のあとだからですよ』
「…かもな」
上山はその後、黙々と食べ続けた。その姿をただ見ているのもなんなので、幽霊平林は一端、外へと壁を透過して出た。
十五分後、もういいだろう…と思った幽霊平林は、ぐるりと上山の家を一周、飛んだあと、壁を透過して部屋へと戻った。
『もう済みました?』
「んっ? ああ…。ご覧のとおりだ」
上山の座るテーブルの上には、すでにコンビニ弁当は、なかった。
『じゃあ、続きをやりますか、課長』
「ああ、そうだな。それにしても、君は金がかからんから、いいよな」
『はい、幽霊にお足は、いりません』
「ははは…、上手いこと云うなあ。しかし、そのとおりだ」
上山は妙なことに納得し、笑いながら頷(うなず)いた。
「さてと…。ああ、第一点が宗教感、で、民族と軍隊が二点、三点か。…要は、君が、この三点をケース・バイケースで念じると。まあ、こんなところだな。これ以上、複雑にすれば、君が困るしな」
『ええ、それはまあ…。出来るだけシンプルにお願いします』
「次に、手順と場所だな。ソマリアのどこに現れるかだ。正確な場所へ現れることが出来るのかい、君?」
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