水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分析ユーモア短編集  <48>  巡りあわせ

2019年01月17日 00時00分00秒 | #小説

 物事や人が上手(うま)い具合に噛(か)み合って接触することを巡りあわせ・・と表現する。この巡りあわせ・・という事象を分析すれば、様々(さまざま)な状況があり、その状況のそれぞれに違った漢字が割り当てられていることが分かる。巡り逢(あ)わせ・・なら親しい人と人が出会う状況、巡り遇(あ)わせ・・の場合は、バッタリと出会う状況、巡り遭(あ)わせ・・ともなれば、悪い出来事に遭遇(そうぐう)した状況、巡り合わせ・・は、人以外の物に出会う状況などと、それぞれ使い分けられている。もう少し簡単なら国語の点数も上がるのに…と学生が思うようにもなる訳だ。^^
 とある教授と学生の会話である。
「それが、どういう訳か、出会わないんですよっ!」
「すれ違い・・なんてことはっ?」
「いや、それが妙なことにタイミングがズレまして…」
「プラスとプラス、あるいはマイナスとマイナスなんだな、君達のこういう関係はっ!」
「はあ? …どういうことでしょう?」
「つまり、君達は磁石(じしゃく)の極(きょく)なんだよ」
「… 極?」
「ああ、磁石のっ!」
「… ?」
「分からない人だなっ! マイナス極とマイナス極、プラス極とプラス極の磁石を近づければ、どうなる?」
「… 近づけません」
「そう!! つまり、それなんだよ。君達の巡りあわせはっ!」
「はあ…。そういうものでしょうか?」
「ああ。そういうものなんだよ、巡りあわせ・・って奴(やつ)はっ!」
「はあ…」
 訊(たず)ねた学生は、一方的に教授に押され、なんとなく得心(とくしん)した。
 巡りあわせ・・を分析すれば、男女差とは別に、人にはプラス極とマイナス極がその時々(ときどき)で生じることが窺(うかが)える。^^

                                


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