幽霊パッション 第二章 水本爽涼
第二十四回
「マヨネーズなんだ…」
「はっ? …もう一度、お願いします」
「だから、マヨネーズだったんだよ」
「…、細粒物質が、ですか?」
「ああ、細粒物質が、だ」
「ははは…、ご冗談でしょ。で、なかったら、何かの間違い、としか思えません」
「いや、上山君。これは事実なんだよ…」
滑川(なめかわ)教授の声が荘厳さを増した。
「マヨネーズって、あのマヨネーズなんですよね?」
「そうそう、あれだよ、あれ!」
「食べるやつ、ですよね? サラダなんかに使う…」
「ああ、それそれ!」
「まさか! …」
「いや、本当なんだ。あっ! 誤解しちゃ、いかんぜ。飽くまでも、細粒物質が、だぜ。その成分がマヨネーズと、まったく同じだってことだよ」
「ははは…、嘘でしょ?」
上山は俄(にわ)かに信じられず、そう云った。
「君に嘘を云っても仕方なかろうが・…」
「ええ、…そりゃ、まあ」
「細粒物質を分析した結果、マヨネーズと同じ成分が検出されたと、こう云った方がよかったようだのう、ははは…」
「そりゃ、そう云ってもらえば、妙な話ですが、それもアリかな? と、得心、出来ますから…」
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