昨年文化勲章を貰った田辺聖子の
書いた、小倉百人一首 を読む
今からおよそ800年前に藤原定家が
京都嵯峨小倉山の別荘で、屏風に写した
和歌で百人の作者がいることから
小倉百人一首と呼んでいる。
第一首から第百首まで現代文で分かり
易く、歌を詠んだ背景や、作者の人物評
などを解説している。
古典ものは言葉が難解で、その世界に
入りにくかったが、この本を読んで
第一首の天智天皇の歌から始まり
第百首の順徳院の時代までの
約550年間の歴足がよく見えてくる。
奈良飛鳥時代の蘇我一族の専横政治に
中臣鎌足(藤原鎌足)とともに、蘇我入鹿を
討ちクーデターを起こし大化の改新を
成し遂げ、天皇政権を奪い返した中大兄皇子
(天智天皇)の歌から始まり、
武家政権である鎌倉幕府に兵をあげ敗れ
隠岐島へ島流しになった後鳥羽上皇と
佐渡へ島流しにあった順徳院の親子の
歌で締めくくっている。
一首二首が天智天皇と持統天皇の
親子の歌で始まり、99首と100首が
後鳥羽上皇と順徳院の親子の歌であるのが
不思議に思う。
あたかも天皇家の盛衰の歴史を見るようである。