きまぐれ雑記

日常の出来事と私の好きなものを思いつくままにゆっくり記していきます

2015-07-11 20:01:54 | 観劇・伝芸
兵庫県立芸術文化センターで敦を観てきました。



タイトルの敦は作家の中島敦の事。

中島敦の作品は現在は教科書にも取り上げられているそうですが、私が学生時代には学んだ記憶が無くて、10年前に世田谷パブリックシアターで上演されたこの作品でその存在を知りました。

この舞台は敦の短編小説「山月記」と「名人伝」を野村萬斎さんが構成と演出・主演を務めて舞台化したもので、4人の敦が物語を進行してゆく形で展開されます。

随所に狂言の語りや技法が取り入れていてこれが作品にマッチしているのが素晴らしいですし、「名人伝」で使われている映像演出も物語をよりわかりやすくする上で効果的で楽しめました。

そして亀井広忠さんの大鼓と藤原道山さんの尺八が作品に寄り添っているのが心地良かったです。

2つの作品の根底には「私とは何か」「生きるとは何か」「死ぬとは何か」というテーマがあって観る者に問いかけてくる印象があり、「人の一生は何もなさないならば、とても長いが、何かをなすにはあまりにも短い」という言葉が心に残りました。


余談ですが、前回この作品を観た時に何故か安部公房の「赤い繭」だと思った記憶があるのですが、今回も「赤い繭」を読んだ時の感覚が蘇ってきました。不思議です。
コメント
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