2020年6月14日 / 08:05 / 2時間前更新
◎◎ アングル:中国、学校再開後に生徒の「心の病」深刻 自殺者も
Reuters Staff
[上海 11日 ロイター] -
◆◆ 中国では、新型コロナウイルス対策のロックダウン(封鎖)解除に伴って学校に戻ってきた生徒の間で、家族との関係に悩んだり、学習の遅れにいら立つ事例が見受けられる。教師やスクールカウンセラーが明らかにした。
★★★ 国内メディアで若者の自殺に関する報道が相次ぎ、ロックダウン後に生徒が抱える不安は政府にとっても重要な問題の1つに浮上してきた。中国社会ではこれまで、自殺などの問題は一種タブー視されてきたが、学校や地方政府が前例のない生徒のメンタルヘルス(心の健康)対策まで打ち出すようになっている。
珠海市の閻武副市長は、先月の全国人民代表大会(全人代)で「学校再開とともに幾つかの心が痛む事案が起きている。若い生徒のメンタルヘルスの発育を促すことが重要かつ緊急であることが浮き彫りになった」と述べた。
全人代では少なくとも4人の代表が、生徒が心理的に求めていることにもっと関心を向けるための提案を行った。
■■ 上海浦東新区のLi Guohua副区長は5月、独立系経済メディアの財新に、上海のある地域では今年これまでに小学校と中学校の生徒14人が自殺しており、過去3年で見た年間人数を既に上回っていると語り、しかも「それは氷山の一角にすぎない」と警鐘を鳴らした。
●● 国営メディアの健康時報も7日、過去3カ月で18人の生徒がビルから飛び降りたと伝え、生徒のメンタルヘルスにもっと注意をするべきだとの専門家の発言を引用した。ただ中国で政治的・社会的に微妙な問題ではよくあることだが、この記事はすぐに削除されている。
<ストレス対応学習>
◑◑ ロックダウンの緩和とともに生徒がオンライン授業から教室に復帰し始めたのは今年の3月だ。当時、広東省の厚生委員会と、ある大学が、小学生および中学生122万人を対象にインターネットで実施した調査によると、全体の10.5%が精神的に何らかの問題に苦しんでいる可能性がうかがえた。
4月終盤には教育省が各学校に生徒のメンタルヘルスに配慮するよう指示するとともに、勉強の重圧を和らげるために学習カリキュラムの修正を開始。それ以降、12カ所近くの地方政府が具体策を公表し、安徽省は一部の試験を廃止した。
◐◐ 新型コロナ感染の中心地だった武漢市や、海南省、上海市などはストレスや悲しみに耐える力をつけるための「生活教育」という授業を新たに導入した。
ある授業では生徒を2つのグループに分けて英語に翻訳する時間を競わせるが、一方のグループにはずっと難解な問題が与えられる。これを、高ストレス状況についての討議のきっかけにするという。この授業を行っている教師は「狙いは生徒たちに、ストレスを感じるのが自然であり、いかに対応するかで違う結果が生まれると知ってもらうことだ」と説明する。
※※ この授業は、逆に何かストレスが溜まりそうです。
★★★ また上海のある高校のスクールカウンセラーは「ロックダウン後の学校再開は、子どもたちにとって普通の冬休み明けとは全然違う」と強調し、生徒から勉強の重圧や今後の学習計画についての相談が殺到して仕事が増えたと打ち明ける。現在は、生徒からの要望をきっかけに、毎週少なくとも2家族とオンラインで話し合いをしているという。
○○♡ このカウンセラーは「コロナが子どもたちに、生活に起きた変化への向き合い方を教えてくれると期待している。人生は困難に満ちあふれている」と付け加えた。
(Winni Zhou and Brenda Goh記者)
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