◆日米韓首脳会談を最も必要としているのは韓国
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日米韓首脳会談が、25日に開かれる見通しだ。オランダ・ハーグで24、25日に開催される核安全保障サミットに合わせてのことで、安倍晋三首相と朴槿惠・韓国大統領が就任して初めての直接会談となる。
韓国が歴史問題で日本を非難し続け、日韓関係が冷え込む中で、安全保障上の懸念が増すと判断したオバマ米大統領が仲介した形だ。日朝政府間協議の再開などの日朝接近で、韓国側の危機感が高まったことや、安倍首相の「河野談話は見直さない」という発言も影響したと見られる。
朴大統領はこれまで、第3国との首脳会談の場で、わざわざ歴史問題を持ち出して日本を批判する「告げ口外交」を続けてきた。その体面もあり、今回の会談が、国民感情を損なわないような形式になるよう神経をとがらせている。
一方で、3月に行われた韓国国民を対象にしたアンケートでは、「日韓首脳会談を開くべき」という意見は過半数に達している。韓国にとって死活問題なのは、70年も前の歴史問題ではなく、現実に直面している北朝鮮の核兵器なのだ。
韓国は自国の防衛について米軍の協力を前提にしており、有事の際には、在韓米軍だけでなく在日米軍が日本の基地から支援することも必要としている。
しかし、18日付産経新聞によれば、昨年の日韓両政府の非公式協議で、日本人の対韓感情があまりにも悪ければ、朝鮮半島で有事が起きた際に日本は米軍が基地を使うことを認めない可能性もあると、日本側が指摘した。そうした対応が取られる可能性は非常に低いものの、日本側の発言を理解した瞬間、韓国側は凍りついたという。日韓関係を改善しなければならないのはむしろ韓国の側なのだ。
この期に及んで、もし朴大統領が日米韓首脳会談で、慰安婦への賠償や謝罪を求めるようなことがあれば、一国の元首として失格と言わざるを得ない。朴大統領は再三再四「歴史問題を解決することが未来志向だ」と言ってきたが、事実無根の言いがかりで結局、自国の未来を危うくしていることを自覚すべきだ。もちろん安倍首相も、日本を貶める「河野談話」の見直しは憲法改正の必要条件であるという認識のもとに、安易な謝罪は決してすべきではない。(居)
◆米提督「中国の軍拡」を批判 日本は危機感の薄いASEANに改革を迫れ
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インドネシアが主催する「ジャカルタ国際防衛会合」が、19日から20日の日程で開催された。オーストラリアや日本など50数カ国の政府関係者や専門家が集まり、中国の東シナ海進出や海洋の安全保障などについて話し合いが行われた。
同会合でハリス米提督は、クリミア問題にふれて、アジアで起きている領土争いについて懸念を示し、「中国の失地回復主義の傾向」を強く批判した。清朝時代の領土回復を画策する中国は、東シナ海や南シナ海にある島の領有権の根拠を歴史に求め、軍拡を背景にした外交により、周辺地域を不安定化させている。ハリス提督は、これに強い危機感を表し、領有権争いの行き着く先が「アジアのクリミア化である」と指摘した(英紙フィナンシャル・タイムズ 19日付電子版)。
こうした中国の軍拡に対して、アジアの一部の国はすでに防衛体制を構築し始めている。
インドは、この10年間で軍事費を3.5倍に増やしており、特に海軍の増強が目覚ましい。この軍拡に関して、インドのガガンディープ・バクシ少将は、21日付米誌ディプロマットのインタビューで、「インドの軍拡は、中国の軍事的台頭に向けられたもの」と発言。「中国の軍事予算は、実際よりも過小評価されている」と指摘した上で、「インドは日本やベトナムとの間で、戦略的な協力をより深めていく必要がある」とした。
また、中国と南沙諸島の領土問題を抱えるフィリピンは、1990年代に一度米軍を撤退させたものの、中国の脅威が強まる中、このほど新たに米軍の基地使用に合意した。今回の合意により、米軍の人員や艦艇の配備が増加する見通しだ。フィリピンの憲法では、「外国軍の駐留を認めない」という条項があり、憲法違反の可能性も指摘されているが、政府は米軍の駐留について「憲法違反に当たらない」と発表。4月のオバマ大統領との会談で最終合意する予定だ。
このような中国を牽制する国がある一方で、ASEAN諸国全体で見ると、経済的に中国依存を強めており、安全保障上の危機感が薄い状況だ。ミャンマーやカンボジア、ラオスは中国の顔色をうかがい、強い態度で臨めないでいる。フィリピンは、南沙諸島の領土問題を国際司法裁判所に提訴したが、同じく領土問題を抱えるマレーシアは、提訴する姿勢を見せない。対中姿勢に温度差があるASEANは、南シナ海の領土問題に対処する行動規範が策定できず、機能不全の状態だ。
中国は、ウイグルやチベットを強奪し、人権弾圧を繰り返すなど、政府が主導して非人道的な行為を行っている。ASEANは中国と経済的な関係があったとしても、安全保障や領土問題で、中国に妥協してはならない。日本は、すでに中国の本質を見抜いている国と連携を取りながら、対中防衛で遅々として連携が進まないASEANに改革を迫り、そのリーダー役を引き受けるべきだ。そのためにも、自国の経済や国防を強化しなければならない。(慧)
◆台湾で学生が立法院占拠 中国への統一阻止に立ち上がる人々
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台湾と中国が昨年6月に結んだサービス貿易の自由化協定をめぐり、台湾で馬英九政権に反発する動きが広がっている。18日夜からは、1000人以上の学生が、立法院(国会)の委員会で与党・国民党が同協定の審査通過を強行採決したことに抗議し、議場の占拠を続けている。
問題となっている「サービス貿易協定」は、サービス分野で中台双方の参入規制を緩和する目的で結ばれた。しかし、協定の調印が密かに上海で行われたことや、事前に内容が国民に十分説明されていなかったことで、野党・民進党と市民団体が反発していた。
政府は当初予定していなかった公聴会の開催などで事態の収拾を図ったが、「中国企業に雇用を奪われる」などと危惧する野党の審査妨害に対し、与党・国民党が強行採決に乗り出したことで反対運動に火がついた。
学生たちは立法院占拠の模様を、インターネットの動画配信サービス「ユーストリーム」を通じて世界に生中継しており、ツイッター上では「この台湾を助けてください」というメッセージを拡散している。
学生たちの行動は一見過激にも見えるが、支持する動きもあり、元総統候補の蔡英文・前民進党主席や文部省も占拠している学生を支持している。
今回の問題の背景には、このサービス貿易協定が、中国の台湾統一を進める動きだと警戒する、台湾の人々の警戒心がある。
台湾は1949年の分断直後から中国と激しく対立してきたが、馬政権になってからは対中融和にカジを切り、投資や貿易などの経済交流を急ピッチで進めてきた。このほど行われた、中台間の閣僚級会談は、政治対話への大きな一歩と言える。
習近平・中国国家主席は、「中華民族の偉大な復興」を掲げて、香港やマカオの返還で進めた「一国二制度」を台湾にも適用したい考えだ。台湾統一は、中国の悲願でもある。共産党指導部は、中国抜きでは台湾経済が成り立たなくなるよう工作を進めることで、台湾が中国との政治対話を拒めなくなるような状況をつくってきた。
台湾は民主主義や法の支配、人権の尊重や自由主義経済などの体制を確立している。中国の独裁的な政治体制や覇権主義、自治区での人権侵害などを見れば、中国にすり寄ることがいかに危険か、改めて考えるべきだろう。馬総統は中国による台湾懐柔に反対する国民の声をしっかりと聴き、これを機会に、親中政策を見直すべきである。(HS政経塾 横井基至)