平清盛は謀反に加わった者を逮捕した
蓮浄
俊寛
新大納言・成親
山城守・基兼
式部大輔・正綱
平半官・康頼
宗半官・信房
新平半官・資行
らが捕らえられた
西光はこの事を聞いて、馬を走らせ、後白河法皇の御所・法住寺へ向かった。平家の侍どもが道で行き合い「西八条へ清盛殿がお召しだぞ、さっさと参れ」と言ったので、「後白河法皇に奏上することがあるのだ。それからすぐ参ろう」と言った
だが、平家の侍どもは西光を馬から引きずり落とし、縛ってぶら下げて西八条へ参った。西光は事の首謀者だったので、特に強く縛って中庭に引きずり据えた
清盛は立ち上がって
「この私を滅ぼそうとする奴の、なれの果ての惨めな姿だな。奴をここに引き寄せろ」と、縁の際に引き寄せさせ、その顔をむずむずと踏みなから言った
「お前らのような卑しい者を、後白河法皇が召し使い、任ぜられるはずのない官職を与え、父子とも身分不相応な振る舞いをするとは思っていたが、過失のない天台座主を流罪に処し、天下の大事を引き起こし、おまけに平家一門を滅ぼそうという謀反に加担した奴、ありのままに申せ」
西光は顔色を変えず、悪びれず、
大笑いして申す
「清盛殿こそ身分に過ぎた事を言われる。他人の前ではいざ知らず。西光の前でそんな事は、とてもじゃないけれど言えないはずだ
あなたは平忠盛の子で14歳までは朝廷に出勤できず、藤中納言家成の辺りに出入りをしていた
大将軍に命じられ海賊三十余人を捕らえた褒美に四位に上ったことさえ身分に過ぎたことと、当時の人々はみな口々に言っていた
殿上での交わりを嫌われた平忠盛の子が、太政大臣にまで成り上がったことこそ過分
私は侍階級から受領や検非違使になったが、それは先例がある。どうして私が身分不相応なのか」
清盛は
「そいつの首をすぐ簡単に斬るなよ。よく縛っておけ」と言われ
松浦太郎重俊が清盛の命を受けて、西光をさまざまな手段で痛めつけ尋問した
西光はすっかり自白した
★間もなく西光は口をさかれ、五条西朱雀で斬られた
★嫡子・前加賀守・師高は尾張井戸田に流されていたのを、討たれた
★次男・師経は獄に入れられていたが、獄から出され、六条河原で斬られた
★その弟師平と家来3人も斬られた
取るにたらぬ者が出世し
関わりあうべきでない事に関与し
過失のない天台座主を流罪にし
現世の幸せは尽き
山王大師の神罰仏罰をたちどころに受けて、こんな目にあったのだった