私・・・吉野朝灯があの男ライト・インメルマンと出会う一年以上前の話である
【AD2042年1月2日】
【惑星ヘリオポリス.惑都イオス.新統合軍士官学校医学課ヘリオポリス研修所】
【新統合軍ヘリオポリス対CBRNE対策医療研究所】
私は新統合軍士官学校医学課を卒業し、最前線に派遣される前。
ヘリオポリス研修所で研修を受けていました。
あの頃はまだ右も左も分からない新兵だった私は・・・・・
これからどんな風に勤務するのか?仲良くできる同僚ができるか?
不安と期待の両方を考えながら、衛生兵として必要な知識を取り入れていた。
将来立派な軍医になる。
衛生兵としての必要な知識を取り入れるのもそのためだ。
そんな日々を送っていた1月2日
同期のリサ・タフト共に隣街にあるオロファトシティに向かおうとした時に異変が起きる。
吉野朝灯「あれ何かしら?」
新統合軍衛生兵補.吉野朝灯.二等兵
リサ「検問のようね、警察だけでなく新統合陸軍の装甲車までいるよ。」
新統合軍衛生兵補.リサ・タフト.二等兵
吉野朝灯「ガスマスク装着・・・・何か起きたんだわ。」
オロファトシティに向かうハイウェイで、上下を塞ぐような検問に差し掛かった。
警察だけでなく、カービン銃を構えガスマスクを装着した新統合軍歩兵が展開・・・
二人は何か起きたのではないかと思い、検問所に近づく・・・・・
検問所に近づくとガスマスクを装着した兵士が近づいてきた。
カービン銃を持ちながら近づいてくるとなんとも言えない重苦しさに襲われる。
兵士は朝灯が乗っている席の方へ近づいてきて・・・・
「オロファトシティでCBRNEテロが発生している関係で、この先は通れません。」
吉野朝灯「CBRNEテロ?」
「現在、危険エリアになってますので引き返してください。」
吉野朝灯「ちょっと、詳しい説明を・・・・」
「引き返せ!」
吉野朝灯「なっ・・・・・・分かったわよ。」
行き先のオロファトシティにてCBRNEテロが発生したと言ってきた。
CBRNEテロとは・・・・・・・
化学 (chemical)
生物 (biological)
放射性物質 (radiological)
核 (nuclear)
爆発物 (explosive)
の頭文字からとった名称であり、NBCテロにとって変わる名称の事。
父が生まれる4年前、東京で地下鉄にサリンがばら蒔かれた事件があり・・・
その日を境にCBRNEに関する対応が変わったとよく聞かされていた。
私は衛生兵の端くれとして、戦場での医学だけでなく・・・・・・
CBRNEに関連する事も独学で学んでいた。
オロファトシティでのCBRNEテロについて興味があった。
陸軍兵士に説明を求めたけど引き返せの一点張り・・・
私は激怒して車の方へ向かった。
すると直後にやってきた一台のトラックが検問に捕まったわ
「ここから先は封鎖されている通ってはいけない!」
「バイオハザードが発生している引き返せ!」
「頼む、これから商品を・・・・」
「だから通るな!!これ以上、通らねば警告なしに発砲する」
どうやらオロファトシティに向かうトラックのようであり・・・
中身は商品を積んでいるようであり、何やら急いでいるようだ。
しかし
警備の歩哨は武器を構え、道を封鎖して声を強くして警告していた。
物凄く怖い顔、威圧感があり不快感がした。
同じ新統合軍の軍人と言えどもね・・・・
トラックの運転手はその行動に驚きそのままトラックに乗り・・・・
元来た道へ脱兎の如く・・・・帰っていた
運転手は恐怖で青ざめた顔をしていた。
私は車を走らせる直前に運転手の顔を見ていた。
物凄く可愛そうだと・・・・・
翌日
私は朝礼を終えた後・・・ヘリオポリス研究所CBRNE研究室で・・・・・
オロファトシティのバイオテロで使われたウィルスの研究に参加させてもらった。
研究員達が必死になってウィルスを研究しワクチンの開発している。
今回使われたバイオテロのウィルスは厄介であり・・・・
治療が難しいと言われている・・・・・
数多くの被害者が出ており・・・・
自治政府は対応に追われ、私たちはどうやら落ち着くまでに外には出られない。
困ったわ・・・・・・
森大尉「医療機関がパニックになっている、急いで特効薬の開発を急げ!」
新統合陸軍ヘリオポリス第2医療団.森忠悳.大尉
「はっ」
森大尉「各医療機関と連携しろ、軍だけの知識ではなんとかできない。」
あの名軍医 森忠悳大尉でされ、冷静さを失う程だ。
このままどうなってしまうのか、不安に感じるが・・・・・
もっと不安なのは、国民の皆だと思う・・・・
医療機関がパニックなってしまったら・・・・・
他の病気で苦しむ人が治療もしくは入院できない。
それがオロファトシティで起きている。
不安を取り除かなければ、経済的打撃・・・・
国民のストレスの堆積、悪いことばっかり・・・・・
他は・・・・・
吉野大樹『朝灯・・・・無事でいるか・・・・』
新統合宇宙軍吉野大樹.中将
吉野朝灯「無事よ、お袋とお姉ちゃん達は・・・」
吉野大樹『皆お前を心配していた、大丈夫かってな。』
吉野朝灯「心配ね・・・・・安心して私は軍人、そして衛生兵大丈夫よ。」
遠方の家族から心配される。
家族からしたら安心できない状況下だろう。
生きているかどうか、父は冷静な顔をしているが・・・・
体が震えている、かなり私を心配したんだなと分かる。
お袋もお姉ちゃん達も心配させてしまった・・・
親不孝だな・・・私・・・
吉野祐未「通信繋がったわ、どう無事?」
新統合宇宙軍吉野祐未大佐(ラウラ・ベルタリア)
吉野朝灯「無事よ、相変わらず変わんないわね。その姿、若いまんま」
吉野祐未「ゼントラーディ人は老けないからね、歳をとらないかも。」
吉野朝灯「はははは」
夜 お袋と通信する事が出来た。
お袋は今、可変戦闘機部隊のアグレッサー部隊の指揮官をしている。
現場は父と同じ活動圏なので、夫婦のずれはない。
ゼントラーディ人のためか、歳をとらない。
まぁ若いまんまだし、可変戦闘機乗りができる。
パイロット引退した父からしたら羨ましい事だと思う。
吉野祐未「現在、各方面は惑星ヘリオポリスからの船入港禁止しているわ。月面も入港禁止したと、月知事から発表が出たわ。」
吉野朝灯「そうなるのか・・・・まぁ当然の結果だよね、感染拡大になるし。」
吉野祐未「やはり私の言う通り・・・パイロット目指した方がよかったって、後悔している?」
吉野朝灯「ないない、そんなのはない。」
吉野祐未「だと思ったわ。」
お袋から伝えられたのは惑星ヘリオポリスから出港した船の入港禁止
地元月面や地球本国だけでなく、各移民船団や惑星なども入港禁止したらしい。
感染拡大を恐れての対応だろう・・・・
かなり物流面でも問題が出そうな予感がする・・・・
まぁ被害拡大を防いだ方がいいと思うけど・・・・
私とお袋の会話は二時間に及んだ。
一週間後
「防護隊発進!」
対CBRNE対策部隊が到着、感染域の封鎖と消毒・・・・
ワクチンの開発の協力などを行う予定・・・・・
かなりの部隊が到着したらしく、軍衛生部隊だけでなく・・・
民間の医療関係者らも参加しているとの事・・・・
私は訓練生なので見守る事しかできない。
いや
やることないだろう・・・・
私たちはまだ衛生兵として経験の薄い訓練生なのだから
リサ「私たちは完全に蚊帳の外だよね、渡されるのはデータばかり嫌になっちゃう」
吉野朝灯「仕方ないでしょ、私たちは感染症ではなく戦地での戦傷兵の治療。対CBRNE治療は後からのスキルアップ項目だし。」
リサ「そ・・・・そうだけどさ・・・」
吉野朝灯「もっとも私たちは非力な存在なのよ、下手に参加しても足手まといなだけだから。」
リサは反発してたけど、私たちにどうしようにも出来ない事。
対CBRNE対策の知識を持っていない。
変に介入したって邪魔なだけに過ぎないのだから・・・・・
しょうがないこと、認めたくないけどしょうがないこと
これが事実なのよ。
吉野朝灯「私だって悔しい、何も出来ない自分が憎く感じるわ。」
私が志願した衛生兵としての任務
今の状態、役割として発揮できない私が憎くなる。
そう感じさせられていた。
私は一体なんの為にここにいるのか?
何故ここにいるのか?何故何も出来ない・・・・
このような事実に胸が締め付けられてくる。
逃げ出したくなる。
苦しい思いで死にそうになる。
嫌だ嫌だ・・・・こんなのは嫌だ・・・
と・・・
こんな辛い事実から逃げ出してしまいたい。
当時、気持ちはまだ幼かった私からしたら耐えられない状況だった。
【一か月後】
事件から一ヶ月が経過した。
軍や民間の医療機関がウィルスのワクチンを完成させた。
被害者に逐次、ワクチンの投与を行い。
末期の被害者を除いて大半の方々が助かった。
吉野祐未『ビックニュースよ、惑星ヘリオポリスと地球本国などの各惑星や各移民船団の交通ルート規制は解除されたわ。』
吉野朝灯「・・・・・・・それはよかったよ・・・・・・・」
吉野祐未『嬉しいニュースなのに、元気ないのね。』
吉野朝灯「こっちでいろいろとあったからね、かなり辛かったから元気ないの・・・」
吉野祐未『そうなんだ・・・・・』
お袋から交通ルートの回復を聞かされた。
惑星ヘリオポリスから各惑星や各移民船団への行き来は事件前に復帰するそうだ。
私はお袋と通信した時、私が気がないようにみてたそうで・・・・
お袋は私の事をかなり心配してくれた・・・・
収拾に向かうまで私はかなり泣いたし精神が磨り減った。
そう見えても仕方がないだろう・・・・
お袋をまた心配させるなんて私はかなり親不孝者だよ・・・
と心の中で思った・・・・・
吉野祐未『とりあえず、研修終わったら月面に帰っておいで美味しい物 大樹や花梨.夕灯と一緒に食べに行こう。』
吉野朝灯「そうね・・・・・月に帰ったら、フランス料理のお店に行きたいな。前から行きたいお店があったの・・・・いいかな?」
吉野祐未『フランス料理ね・・・・・・分かったわ、真剣に考えてあげるわ・・・・楽しみにしてね♪』
吉野朝灯「うん・・・・楽しみにしているわ。」
私はそろそろ研修と士官学校の卒業を控えている。
お袋は私の卒業祝いなのか、美味しい物を食べようと言ってきた。
私はフランス料理が食べたかったので、フランス料理食べたいと言った・・・
フランス料理が食べたいと言う私の申し出に、お袋は了承してくれた。
帰ってから楽しみにしている事だけど、何処か後ろめたさがある。
今回の事件が頭の中から離れられず、私の要望が通っても・・・素直に喜べない・・¨
吉野朝灯「ただいま・・・・親父・・・お袋・・・・」
吉野祐未「お帰り・・・・・・朝灯・・・・」
それなら暫くして私は月面に戻ることができた。
戻ってすぐ士官学校の卒業式を行わないといけない・・・・
既に惑星エデンの新統合軍ニューヒッカム航空統合基地に勤務する事が決まってる。
私はそろそろ別のステージに歩まないといけない・・・・・・
そこから衛生兵としての基礎を実戦的に学ばないといけない・・・・
基礎を学んであの時の無念を晴らす為の行動ができる。
私はそう思った・・・・
基礎を学んでCBRNEテロにも備えられるような軍医になる。
あの事件を通じて改めてそう決心させた。
二度とあの悔しい気持ちを味わいたくないためにも・・・・
生物兵器テロで苦しんでいる人を助けるためにめ・・・・
私はまだこれからも進み続けなくてはならない。