【西暦2021年2月19日新統合軍クラビウス基地機種転換センター】
戦闘シュミレータにおける戦闘訓練は順調に進んでいた。
ラウラ達ゼントラーディ人の候補生達はデワントンのアドバイスを受けて・・
かつての感覚を取り戻すかのように、バトロイドによるバトルスーツの動きを再現し
他の形態による戦術を組み合わせて、自分独自の操縦スタイルを確立し始めた。
そろそろ一定の成果が出始めたので・・・
そろそろベテランパイロットによる直接的指導を行ってもいいだろうと
茂人ら教官陣達は考え始めた。
そんな中
桐原少佐「俺達が着任した頃に若干育て卒業したヒョッコは元気かな?」
バルリング中尉「あいつらですか?」
桐原少佐「ケツの青い新人しかいない、ヒョッコ達だよ」
先に卒業して言った候補生達が今どうしているか話し合っていた。
機種転換センターは機種転換した候補生や新人候補生が多数教育を受けており・・・
茂人達は別機種から転向した候補生達の指導を行っており・・・・
着任時、半年間の訓練を受けていた新人候補生の指導を少しやっていた。
既に彼ら彼女らは卒業し各地の実戦部隊に配属されている
カゴメ「ライナス君元気かしら?」
桐原少佐「ライナス・・・・・フィルダー少尉か、あいつはベルタリア候補生並に癖のある奴だったな。」
カゴメはライナスと言う1人の若い可変戦闘機パイロットの話をし始めた。
ライナス・・・ライナス・フィルダー
つい最近までいた可変戦闘機パイロットの候補生であり・・・
新人であり、茂人やカゴメが担当する候補生ではなかったが・・・
カゴメと仲良かった関係で、顔見知りであった。
女好きで有名でもあった。
桐原少佐「あいつは今頃何をやっているのかね?」
カゴメ「ライナス君の琴だから、部隊の女の子に手を出しているでしょうね。」
桐原少佐「ありえそうだな」
バルリング中尉「反面、セクハラで訴えれそうだな」
女であり、よく他の女性候補生に手を出しており
よくカゴメの尻を触るなど、スケベで手を焼いていた。
その一方で思いやりもあり、人柄も良く・・・
可変戦闘機パイロットとして軍人としても人としても優れており
今後の将来が楽しみな軍人であった
そんな会話をしていると
「失礼します」
桐原少佐「君は?」
「新統合宇宙軍郵便管理局クラビウス支部の岡野であります。」
桐原少佐「用は・・・」
「つい最近、卒業した候補生の戦死通知を届けに参りました」
桐原少佐「何!?」
新統合宇宙軍郵便管理局の局員がやってきた。
郵便管理局は新統合宇宙軍内の郵便関係を取り扱う機関であり・・・
所属軍人が戦死や負傷した場合の通知などを行っている。
その郵便管理局が機種転換センターに卒業生の戦死通知を届けにきた
卒業生の戦士通知に茂人は局員から奪うように取ると
名前を見て絶句した
桐原少佐「ライナスが・・・・死んだ」
カゴメ「えっ・・・・・」
今話題にしていたライナスが戦死した。
死因は配属先の基地に反統合ゲリラの強襲を受け・・・
出撃準備中に格納庫にミサイルを打ち込まれ呆気なく戦死したと・・・・
あまりにも突然な教え子の戦死に茂人達はショックを受けた
特にショックを受けたのはカゴメだった。
教官の中でライナスと一番仲が良かったが故に言葉に出来ないくらいショックを受けていた
【2月19日、新統合宇宙軍クラビウス基地、ファンム食堂】
今日の訓練生らの戦闘シュミレータ最終授業を終え、カゴメはファンム食堂を訪れていた
ファンム食堂は機種センターと他の施設の共用区間にある食堂であり・・・
多くの将兵は勿論、機種転換センターに通う職員や訓練生に人気があった。
ラウラ「今日のご飯は和食だね・・・・」
メリル「・・・嬉しそうじゃないね」
ラウラ「和食はそこまで好きじゃないんだ、美味しいけどさ」
当然、ラウラもこの食堂に通っており・・・・・
今日出てきた和食に不満を言いつつも美味しく食べていた
美味しそうに食事をしているラウラを横目にカゴメがトレーを持ちながら出てきた
表情は暗そうであり、まるでお通夜だ
ラウラ「カゴメ!!」
カゴメ「何?ラウラ?」
ラウラ「良かったら、一緒にご飯食べない?」
カゴメ「あ・・・・うん、いいわ」
ラウラ「!?」
そんなカゴメを心配したラウラは食事に誘い了承を得るも・・・
暗い雰囲気が変わっておらず、余計に空気が悪くなる結果になった。
笑顔で食事をしていたメリルですら、空気の悪さを悟り急いでその場を去り・・・・
そのままずっと終始無言で食事を続ける結果になってしまった。
昼休憩を終えると、無言で解散し午後の授業は後味の悪いまま受ける事になった
【2月19日 機種転換センター.射撃場】
カゴメは業務終了後、機種転換センター内の射撃場に来ていた。
戦死したライナスの事が頭から離れる事ができず・・・・
気分晴らしのため、射撃場で銃の腕を磨く事にした
が・・・・・・・
カゴメ「ふぅ」
集中できず上手く的に命中する事が出来なかった。
やはり仲の良かった教え子の死は大きい
歌手の道を断念して軍人への道へ進んで今に至るけど・・・
覚悟はしていたとは言え、教え子の死は堪える・・・・・
ラウラ「あれは?」
ラウラはやはり今日のカゴメの事が気になり・・・・・
眠れないので射撃場で一汗かこうと来たが・・・・
射撃場で射撃訓練をしているカゴメを見かけた・・・・
邪魔をして悪いと思い、物陰からカゴメの練習の様子を見ていたが・・・
カゴメは集中できず、真ん中に当てる事ができずにいた・・・・
ーやはり何かある・・・・・・
ラウラは一歩前に出てカゴメを問いただす事にした。
カゴメ「やっぱり集中できてないわ、これじゃ教え子達に笑われて・・・」
ラウラ「カゴメ」
カゴメ「ラウラ・・」
射撃に集中できず、このまま自室に戻ろうとしようとカゴメにラウラは声をかけた
普段この時間に会う事のないラウラの姿を見たカゴメは驚いた顔をしたが・・・
さっきまでの元気のない姿から、普段教官として接する姿でラウラを迎えようとした
ーラウラに私自身の悩みを見せるわけにはいかない・・・
ーそうじゃないとラウラをまともに見れなくなる・・・
カゴメはラウラに今自分自身の不安と弱さを見せるわけにはいかない
何事もなく接しようとした
カゴメ「珍しいわね、こんな時間にあなたも練習?」
ラウラ「いや、今日1日中元気ないように見えたから・・何かあったのか?」
カゴメ「いいえ、何でも・・・」
ラウラ「嘘だね・・・」
カゴメ「うっ・・・・」
が・・・・・・・ラウラからしたらカゴメの不安と弱さは見抜かれていた。
今日1日のカゴメの態度を見れば何でもないと言う方がおかしい・・・・
むしろ誰が見たってカゴメの様子がおかしい事は明らかだ。
ラウラに指摘されたカゴメはこの時、心臓をナイフで突き刺されたような感覚に襲われ
もう嘘や偽りの姿を見せる事ができないと悟った。
ラウラ「隠し事なんてらしくないぞ、カゴメが良ければ話してくれないか?」
動揺するカゴメの姿を見たラウラは落ち着いた口調で何があったのか質問した。
正直、不安そうな姿のカゴメを見て何か力になれないかと思っていた。
むしろ、カゴメが不安そうな姿を見ていると、こっちまで不安になってしまう
だからカゴメには元気な姿でいてほしい・・・・・
ラウラはそう思っていた。
そんなラウラからの質問を聞いたカゴメは少し安心して・・・・
カゴメ「その教え子がこの間の戦闘でね、よくある話よ」
ラウラ「そう・・・だったのか・・・・・」
教え子であったライナスが戦死した事を打ち明けた・・・・
名前こそ打ち明けなかったが、ラウラはそれを聞いてそうなるのも当然かと思った
ゼントラーディ軍出身であるラウラからすれば同僚の戦死は日常茶飯事だ
明日、いや一時間いや数分後、ついさっきまで話していた戦友が死んでいった。
それが当たり前だと思っていた・・・
戦死した戦友に関しても運がなかった、弱くて死んだそれが当然
と考えており、自身が敵よりも弱かったら死んで当然
人の死はそこまで深く考える事ではないラウラはそう考えていた
が地球の風俗を知り、地球の戦争の歴史を知ってからは・・・・
考えが変わった
戦闘で戦死し戦友を悲しむ・・・・・・・
自身が戦死したら誰かが悲しむ・・・・
そんな地球の文化にラウラは衝撃を受けた・・・・・
カゴメの言う教え子の戦死を悲しむ・・・・
それは当然の話か・・・・・
ーよくある事
ー口では言えても
ー割り切れないんだな・・カゴメは・・・
ーそういう奴だ・・・・
ラウラは記憶の中で笑顔で若き地球人女性候補生2人と接するカゴメを思い出しながら
今のカゴメの様子を察した・・・・・・・
カゴメ「ねぇラウラ」
ラウラ「?」
カゴメ「これをあげるわ」
ラウラ「ヘアピン?」
突然カゴメがラウラにヘアピンを渡してきた
ヘアピンはごく普通の紫色をした綺麗なヘアピンであり・・・
ごく普通の女の子が使うような物であった
ヘアピンを見たラウラは不思議そうに見つめ・・・・
ラウラ「こんな可愛らしいの私に似合うのか?しかし急だな」
ゼントラーディ人の自分に似合うかどうか疑問に思った
急にヘアピンをあげてきたカゴメには感謝しているしうれしかったが・・・・
普通の地球人の女の子ではなく戦いばかりやってきたゼントラーディ人である自分が
可愛いヘアピンつけて似合うかどうか不安であり、自信がない
戸惑うラウラの姿を見たカゴメは・・・・・
カゴメ「私がつけてあげるわ!貸して♫」
ラウラ「えっいや・・・いいよ別に」
カゴメ「まぁまぁ遠慮しない!」
ヘアピンが似合うかどうか不安なラウラにつけてあげると言った。
当然ラウラはどうせ似合わないと思ってたのか丁重に断るが・・・・・
カゴメは強引に押し切るようにラウラに迫ったため・・・・
とうとうラウラはカゴメに身を委ねてしまった。
カゴメ「よいしょ」
ラウラ「ど・・・どうだ?」
カゴメ「やっぱりよく似合っているわ」
ラウラ「そ・・そうか」
ラウラはカゴメがプレゼントしてくれたヘアピンをつけた
カゴメはさっきと違って明るく元気な笑顔を浮かべており・・・・
その顔で似合っているわと言われると思わずラウラは顔を赤くした
とは言えカゴメが明るくなってくれたのは嬉しいが・・・
ー何故、カゴメは私にヘアピンをくれたのか
そんな疑問が浮かび
ラウラ「どうしてこれを?」
カゴメ「うーん?なんとなくね〜☆」
カゴメに質問してみると、何となくねと言われて
答えらしい答えは返って来なかった
だけど
ー少しは元気になったみたいだな
カゴメはいつもの普段調子に戻ってくれた
ラウラは普段のカゴメの姿に戻った事を安心した。
ラウラ「大切にするよ、ありがとう」
カゴメ「どういたしまして」
ヘアピンをもらったラウラはカゴメにありがとうと言った。
さっきまで暗い表情だったカゴメがプレゼントしてくれたヘアピンを
つけたらいつものカゴメに戻ってくれた・・・・
何か特別な意味があるのだろう
それに人生で初めて誰かにもらったプレゼント・・・・
カゴメからもらったプレゼントは大事にしたいとラウラは思った
ラウラ「もう遅いし戻るよおやすみ」
カゴメ「おやすみなさい」
ラウラはもう夜遅いのでカゴメに別れを告げ自室に戻った。
自室に戻るラウラの後ろ姿を見ながらカゴメは・・・・
心の中で決して表に口を出さない事を呟いた・・・・・
ーあのヘアピンは貴女を喪わないための『お守り』だなんて
ー私も随分臆病になったものね
ラウラが喪わないためのお守りである事
カゴメとしてはラウラがライナスのような最期を遂げるのが恐れていた。
戦死するか事故死するか・・・・・・
そのような懸念がこれから同じ艦で働くカゴメとしては不安で一杯だった。
だから、ラウラには死んで欲しくない・・・・・・
死んで欲しくないからヘアピンをお守りとしてあげたのだ。
そうした事からカゴメは自分自身が臆病な性格になったと悟り・・・・・
クラビウス基地から見える宇宙を見続けていた
【西暦2021年2月20日午前7時.新統合宇宙軍クラビウス基地.廊下】
翌朝早く茂人はクラビウス基地に出勤していた
機種転換センターに赴く前に白川提督との打ち合わせしに来ており
白川提督がいるであろう司令官室に向かって歩いていた。
途中、母艦である艦長ジェイル・ベレスフォード大佐と会い挨拶し終えると・・・・
前方に秘書のメロディーと副官2人を引き連れ歩いている白川提督を見かけた。
桐原少佐「おはようございます提督」
白川提督「おはよう、桐原くん」
二人は会うとすぐに挨拶をした。
挨拶を終えると茂人は白川提督一行と共に司令官室に向かい・・・
司令官室に入るとそれぞれの席に座った。
メロディーがテーブルの上にクラビウス産の緑茶を出し
いつでも打ち合わせが出来る状態になった。
桐原少佐「提督・・・・機種転換センターの実機訓練の実働部隊による演習部隊の目処はたったのですか?」
白川提督「勿論、それに伴い連れてきている。ラーナス大尉、入りたまへ」
『ハッ』
茂人は白川提督に訓練生らと演習する実戦部隊の目途がたったのかを聞いた。
そろそろ実機による訓練と実戦部隊と演習を行いたい・・・・
その為には実戦部隊を参加させないといけない・・・・
実戦部隊の目途に関する質問に白川提督は眼鏡を直すと、既に準備してあると答え
受話器を取りラーナス大尉なる人物を呼び出した。
それから数分後、誰かが司令室のドアを叩き、白川提督の了承を得ると・・・
秘書士官のメロディーに案内されるように入室し茂人の席の隣に座った。
脚を見てどうやら女性のようだ。
茂人は隣の方を向き呼ばれてきたラーナス大尉の姿を確認しようとした
確認した茂人はその姿を見て驚いた
桐原少佐「ベ・・・・ベルタリア曹長?」
白川提督「姿は似てるが、別人だ。マーシャル大尉、自己紹介を」
ラミル「ハッ、私はメサーラ・ラミル・マーシャル大尉であります」
新統合宇宙軍ケルベロス中隊隊長.メサーラ・ラミル・マーシャル大尉
ラウラに瓜二つのゼントラーディ人・・・・・・・
最初はラウラと同一人物かと思ったが性格も真面目であり、大人っぽい・・・
大人っぽいラウラと瓜二つのゼントラーディ人はメサーラ・ラミル・マーシャルと名乗った
ラウラと瓜二つではあるが、理性的であり畏怖を覚えるようなオーラがある・・・・
敵として出てきたら厄介な相手だと思った
茂人は咳払いを一回するとラウラと瓜二つのメサーラ、そして白川提督との話し合いに臨んだ
戦闘シュミレータにおける戦闘訓練は順調に進んでいた。
ラウラ達ゼントラーディ人の候補生達はデワントンのアドバイスを受けて・・
かつての感覚を取り戻すかのように、バトロイドによるバトルスーツの動きを再現し
他の形態による戦術を組み合わせて、自分独自の操縦スタイルを確立し始めた。
そろそろ一定の成果が出始めたので・・・
そろそろベテランパイロットによる直接的指導を行ってもいいだろうと
茂人ら教官陣達は考え始めた。
そんな中
桐原少佐「俺達が着任した頃に若干育て卒業したヒョッコは元気かな?」
バルリング中尉「あいつらですか?」
桐原少佐「ケツの青い新人しかいない、ヒョッコ達だよ」
先に卒業して言った候補生達が今どうしているか話し合っていた。
機種転換センターは機種転換した候補生や新人候補生が多数教育を受けており・・・
茂人達は別機種から転向した候補生達の指導を行っており・・・・
着任時、半年間の訓練を受けていた新人候補生の指導を少しやっていた。
既に彼ら彼女らは卒業し各地の実戦部隊に配属されている
カゴメ「ライナス君元気かしら?」
桐原少佐「ライナス・・・・・フィルダー少尉か、あいつはベルタリア候補生並に癖のある奴だったな。」
カゴメはライナスと言う1人の若い可変戦闘機パイロットの話をし始めた。
ライナス・・・ライナス・フィルダー
つい最近までいた可変戦闘機パイロットの候補生であり・・・
新人であり、茂人やカゴメが担当する候補生ではなかったが・・・
カゴメと仲良かった関係で、顔見知りであった。
女好きで有名でもあった。
桐原少佐「あいつは今頃何をやっているのかね?」
カゴメ「ライナス君の琴だから、部隊の女の子に手を出しているでしょうね。」
桐原少佐「ありえそうだな」
バルリング中尉「反面、セクハラで訴えれそうだな」
女であり、よく他の女性候補生に手を出しており
よくカゴメの尻を触るなど、スケベで手を焼いていた。
その一方で思いやりもあり、人柄も良く・・・
可変戦闘機パイロットとして軍人としても人としても優れており
今後の将来が楽しみな軍人であった
そんな会話をしていると
「失礼します」
桐原少佐「君は?」
「新統合宇宙軍郵便管理局クラビウス支部の岡野であります。」
桐原少佐「用は・・・」
「つい最近、卒業した候補生の戦死通知を届けに参りました」
桐原少佐「何!?」
新統合宇宙軍郵便管理局の局員がやってきた。
郵便管理局は新統合宇宙軍内の郵便関係を取り扱う機関であり・・・
所属軍人が戦死や負傷した場合の通知などを行っている。
その郵便管理局が機種転換センターに卒業生の戦死通知を届けにきた
卒業生の戦士通知に茂人は局員から奪うように取ると
名前を見て絶句した
桐原少佐「ライナスが・・・・死んだ」
カゴメ「えっ・・・・・」
今話題にしていたライナスが戦死した。
死因は配属先の基地に反統合ゲリラの強襲を受け・・・
出撃準備中に格納庫にミサイルを打ち込まれ呆気なく戦死したと・・・・
あまりにも突然な教え子の戦死に茂人達はショックを受けた
特にショックを受けたのはカゴメだった。
教官の中でライナスと一番仲が良かったが故に言葉に出来ないくらいショックを受けていた
【2月19日、新統合宇宙軍クラビウス基地、ファンム食堂】
今日の訓練生らの戦闘シュミレータ最終授業を終え、カゴメはファンム食堂を訪れていた
ファンム食堂は機種センターと他の施設の共用区間にある食堂であり・・・
多くの将兵は勿論、機種転換センターに通う職員や訓練生に人気があった。
ラウラ「今日のご飯は和食だね・・・・」
メリル「・・・嬉しそうじゃないね」
ラウラ「和食はそこまで好きじゃないんだ、美味しいけどさ」
当然、ラウラもこの食堂に通っており・・・・・
今日出てきた和食に不満を言いつつも美味しく食べていた
美味しそうに食事をしているラウラを横目にカゴメがトレーを持ちながら出てきた
表情は暗そうであり、まるでお通夜だ
ラウラ「カゴメ!!」
カゴメ「何?ラウラ?」
ラウラ「良かったら、一緒にご飯食べない?」
カゴメ「あ・・・・うん、いいわ」
ラウラ「!?」
そんなカゴメを心配したラウラは食事に誘い了承を得るも・・・
暗い雰囲気が変わっておらず、余計に空気が悪くなる結果になった。
笑顔で食事をしていたメリルですら、空気の悪さを悟り急いでその場を去り・・・・
そのままずっと終始無言で食事を続ける結果になってしまった。
昼休憩を終えると、無言で解散し午後の授業は後味の悪いまま受ける事になった
【2月19日 機種転換センター.射撃場】
カゴメは業務終了後、機種転換センター内の射撃場に来ていた。
戦死したライナスの事が頭から離れる事ができず・・・・
気分晴らしのため、射撃場で銃の腕を磨く事にした
が・・・・・・・
カゴメ「ふぅ」
集中できず上手く的に命中する事が出来なかった。
やはり仲の良かった教え子の死は大きい
歌手の道を断念して軍人への道へ進んで今に至るけど・・・
覚悟はしていたとは言え、教え子の死は堪える・・・・・
ラウラ「あれは?」
ラウラはやはり今日のカゴメの事が気になり・・・・・
眠れないので射撃場で一汗かこうと来たが・・・・
射撃場で射撃訓練をしているカゴメを見かけた・・・・
邪魔をして悪いと思い、物陰からカゴメの練習の様子を見ていたが・・・
カゴメは集中できず、真ん中に当てる事ができずにいた・・・・
ーやはり何かある・・・・・・
ラウラは一歩前に出てカゴメを問いただす事にした。
カゴメ「やっぱり集中できてないわ、これじゃ教え子達に笑われて・・・」
ラウラ「カゴメ」
カゴメ「ラウラ・・」
射撃に集中できず、このまま自室に戻ろうとしようとカゴメにラウラは声をかけた
普段この時間に会う事のないラウラの姿を見たカゴメは驚いた顔をしたが・・・
さっきまでの元気のない姿から、普段教官として接する姿でラウラを迎えようとした
ーラウラに私自身の悩みを見せるわけにはいかない・・・
ーそうじゃないとラウラをまともに見れなくなる・・・
カゴメはラウラに今自分自身の不安と弱さを見せるわけにはいかない
何事もなく接しようとした
カゴメ「珍しいわね、こんな時間にあなたも練習?」
ラウラ「いや、今日1日中元気ないように見えたから・・何かあったのか?」
カゴメ「いいえ、何でも・・・」
ラウラ「嘘だね・・・」
カゴメ「うっ・・・・」
が・・・・・・・ラウラからしたらカゴメの不安と弱さは見抜かれていた。
今日1日のカゴメの態度を見れば何でもないと言う方がおかしい・・・・
むしろ誰が見たってカゴメの様子がおかしい事は明らかだ。
ラウラに指摘されたカゴメはこの時、心臓をナイフで突き刺されたような感覚に襲われ
もう嘘や偽りの姿を見せる事ができないと悟った。
ラウラ「隠し事なんてらしくないぞ、カゴメが良ければ話してくれないか?」
動揺するカゴメの姿を見たラウラは落ち着いた口調で何があったのか質問した。
正直、不安そうな姿のカゴメを見て何か力になれないかと思っていた。
むしろ、カゴメが不安そうな姿を見ていると、こっちまで不安になってしまう
だからカゴメには元気な姿でいてほしい・・・・・
ラウラはそう思っていた。
そんなラウラからの質問を聞いたカゴメは少し安心して・・・・
カゴメ「その教え子がこの間の戦闘でね、よくある話よ」
ラウラ「そう・・・だったのか・・・・・」
教え子であったライナスが戦死した事を打ち明けた・・・・
名前こそ打ち明けなかったが、ラウラはそれを聞いてそうなるのも当然かと思った
ゼントラーディ軍出身であるラウラからすれば同僚の戦死は日常茶飯事だ
明日、いや一時間いや数分後、ついさっきまで話していた戦友が死んでいった。
それが当たり前だと思っていた・・・
戦死した戦友に関しても運がなかった、弱くて死んだそれが当然
と考えており、自身が敵よりも弱かったら死んで当然
人の死はそこまで深く考える事ではないラウラはそう考えていた
が地球の風俗を知り、地球の戦争の歴史を知ってからは・・・・
考えが変わった
戦闘で戦死し戦友を悲しむ・・・・・・・
自身が戦死したら誰かが悲しむ・・・・
そんな地球の文化にラウラは衝撃を受けた・・・・・
カゴメの言う教え子の戦死を悲しむ・・・・
それは当然の話か・・・・・
ーよくある事
ー口では言えても
ー割り切れないんだな・・カゴメは・・・
ーそういう奴だ・・・・
ラウラは記憶の中で笑顔で若き地球人女性候補生2人と接するカゴメを思い出しながら
今のカゴメの様子を察した・・・・・・・
カゴメ「ねぇラウラ」
ラウラ「?」
カゴメ「これをあげるわ」
ラウラ「ヘアピン?」
突然カゴメがラウラにヘアピンを渡してきた
ヘアピンはごく普通の紫色をした綺麗なヘアピンであり・・・
ごく普通の女の子が使うような物であった
ヘアピンを見たラウラは不思議そうに見つめ・・・・
ラウラ「こんな可愛らしいの私に似合うのか?しかし急だな」
ゼントラーディ人の自分に似合うかどうか疑問に思った
急にヘアピンをあげてきたカゴメには感謝しているしうれしかったが・・・・
普通の地球人の女の子ではなく戦いばかりやってきたゼントラーディ人である自分が
可愛いヘアピンつけて似合うかどうか不安であり、自信がない
戸惑うラウラの姿を見たカゴメは・・・・・
カゴメ「私がつけてあげるわ!貸して♫」
ラウラ「えっいや・・・いいよ別に」
カゴメ「まぁまぁ遠慮しない!」
ヘアピンが似合うかどうか不安なラウラにつけてあげると言った。
当然ラウラはどうせ似合わないと思ってたのか丁重に断るが・・・・・
カゴメは強引に押し切るようにラウラに迫ったため・・・・
とうとうラウラはカゴメに身を委ねてしまった。
カゴメ「よいしょ」
ラウラ「ど・・・どうだ?」
カゴメ「やっぱりよく似合っているわ」
ラウラ「そ・・そうか」
ラウラはカゴメがプレゼントしてくれたヘアピンをつけた
カゴメはさっきと違って明るく元気な笑顔を浮かべており・・・・
その顔で似合っているわと言われると思わずラウラは顔を赤くした
とは言えカゴメが明るくなってくれたのは嬉しいが・・・
ー何故、カゴメは私にヘアピンをくれたのか
そんな疑問が浮かび
ラウラ「どうしてこれを?」
カゴメ「うーん?なんとなくね〜☆」
カゴメに質問してみると、何となくねと言われて
答えらしい答えは返って来なかった
だけど
ー少しは元気になったみたいだな
カゴメはいつもの普段調子に戻ってくれた
ラウラは普段のカゴメの姿に戻った事を安心した。
ラウラ「大切にするよ、ありがとう」
カゴメ「どういたしまして」
ヘアピンをもらったラウラはカゴメにありがとうと言った。
さっきまで暗い表情だったカゴメがプレゼントしてくれたヘアピンを
つけたらいつものカゴメに戻ってくれた・・・・
何か特別な意味があるのだろう
それに人生で初めて誰かにもらったプレゼント・・・・
カゴメからもらったプレゼントは大事にしたいとラウラは思った
ラウラ「もう遅いし戻るよおやすみ」
カゴメ「おやすみなさい」
ラウラはもう夜遅いのでカゴメに別れを告げ自室に戻った。
自室に戻るラウラの後ろ姿を見ながらカゴメは・・・・
心の中で決して表に口を出さない事を呟いた・・・・・
ーあのヘアピンは貴女を喪わないための『お守り』だなんて
ー私も随分臆病になったものね
ラウラが喪わないためのお守りである事
カゴメとしてはラウラがライナスのような最期を遂げるのが恐れていた。
戦死するか事故死するか・・・・・・
そのような懸念がこれから同じ艦で働くカゴメとしては不安で一杯だった。
だから、ラウラには死んで欲しくない・・・・・・
死んで欲しくないからヘアピンをお守りとしてあげたのだ。
そうした事からカゴメは自分自身が臆病な性格になったと悟り・・・・・
クラビウス基地から見える宇宙を見続けていた
【西暦2021年2月20日午前7時.新統合宇宙軍クラビウス基地.廊下】
翌朝早く茂人はクラビウス基地に出勤していた
機種転換センターに赴く前に白川提督との打ち合わせしに来ており
白川提督がいるであろう司令官室に向かって歩いていた。
途中、母艦である艦長ジェイル・ベレスフォード大佐と会い挨拶し終えると・・・・
前方に秘書のメロディーと副官2人を引き連れ歩いている白川提督を見かけた。
桐原少佐「おはようございます提督」
白川提督「おはよう、桐原くん」
二人は会うとすぐに挨拶をした。
挨拶を終えると茂人は白川提督一行と共に司令官室に向かい・・・
司令官室に入るとそれぞれの席に座った。
メロディーがテーブルの上にクラビウス産の緑茶を出し
いつでも打ち合わせが出来る状態になった。
桐原少佐「提督・・・・機種転換センターの実機訓練の実働部隊による演習部隊の目処はたったのですか?」
白川提督「勿論、それに伴い連れてきている。ラーナス大尉、入りたまへ」
『ハッ』
茂人は白川提督に訓練生らと演習する実戦部隊の目途がたったのかを聞いた。
そろそろ実機による訓練と実戦部隊と演習を行いたい・・・・
その為には実戦部隊を参加させないといけない・・・・
実戦部隊の目途に関する質問に白川提督は眼鏡を直すと、既に準備してあると答え
受話器を取りラーナス大尉なる人物を呼び出した。
それから数分後、誰かが司令室のドアを叩き、白川提督の了承を得ると・・・
秘書士官のメロディーに案内されるように入室し茂人の席の隣に座った。
脚を見てどうやら女性のようだ。
茂人は隣の方を向き呼ばれてきたラーナス大尉の姿を確認しようとした
確認した茂人はその姿を見て驚いた
桐原少佐「ベ・・・・ベルタリア曹長?」
白川提督「姿は似てるが、別人だ。マーシャル大尉、自己紹介を」
ラミル「ハッ、私はメサーラ・ラミル・マーシャル大尉であります」
新統合宇宙軍ケルベロス中隊隊長.メサーラ・ラミル・マーシャル大尉
ラウラに瓜二つのゼントラーディ人・・・・・・・
最初はラウラと同一人物かと思ったが性格も真面目であり、大人っぽい・・・
大人っぽいラウラと瓜二つのゼントラーディ人はメサーラ・ラミル・マーシャルと名乗った
ラウラと瓜二つではあるが、理性的であり畏怖を覚えるようなオーラがある・・・・
敵として出てきたら厄介な相手だと思った
茂人は咳払いを一回するとラウラと瓜二つのメサーラ、そして白川提督との話し合いに臨んだ
続きを読むのが楽しみです!!!