楽しいブログ生活

日々感じた心の軌跡と手作りの品々のコレクション

宮部みゆきの「おそろし」

2013-02-11 22:10:49 | 日記

余事だが、実は今、手元不如意である。
ここにきてバイトを止めた末っ子に毎月の仕送りが必要になってきてたのと、アパートの敷金やらまとまった金額を言われるままほいほい振り込んでいたら、(ちょっちょっと待って?通帳の残高、今月の生活費ギリギリじゃね?)というところまで来てしまった。もちろん、敷金なんか夫に出してもらったら良かったのだが、涼しい顔してコチラが出してしまったもの、今更夫に穴埋めしてくれとは言いにくい。(変?)
普段使わない通帳の少額の預金あるだけ下ろして、今度振込みのある日まで、マジで持つか戦々恐々の日々を送っている。
専業主婦として子育てしていたうん十年前以来のセコイ感覚がよみがえりました。
多分今月だけで危機を脱することは出来ると思っているのだが、無駄な買い物一切出来ない切羽詰った状況である。
で、余裕があればこの連休に「脳男」観に行きたかったのだが、ひたすら蟄居。
で、前置きが長くなりましたが、まとまった時間のとれたこの休みに、買ってあった宮部みゆきの「おそろし」読むことにしたのでした。
おもしろかったです。
この人はいつも構成力が素晴らしいと感心させられます。
物語に膨らみがあります。
本の後ろにあらすじの紹介があるので、これをそのまま引用しますと・・・。
17歳のおちかは、ある事件を境に、ぴたりと他人に心を閉ざした。ふさぎこむ日々を、叔父夫婦が江戸で営む袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と働くことでやり過ごしている。
ある日叔父の伊兵衛はおちかに、これから訪ねてくるという客の応対を任せると告げ、出かけてしまう。
客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていき、いつしか次々に訪れる客のふしぎ話は、おちかの心を溶かし始める。
三島屋百物語、ここに開幕!

とあります。
時代が江戸時代ときたら、その時代考証を楽しむこともできるし、物語は人情話と怪奇小説と推理小説を同時進行で読んでるような贅沢な娯楽性を味わうこともできるのですが、芯にあるのは人間の本質を見つめた冷徹だけれども暖かいまなざしで、おちかと一緒に自分を責めたり、そして自分を許したりと作者の揺さぶりに翻弄されます。
現代に置き換えるとホラーと分類されてしまうようなシチュエイションも、江戸時代にはめ込むことでしっくりと情緒的な趣が醸されて、映画で観てみたいものだとその映像をたくましゅうしました。
一点、おちかを「おちっゃぴい」と表現していたのに違和感を覚えたのですが、江戸言葉なんですね?
主人公のおちかが賢く存在感のある人物なので、物語が引き締まってます。
最後が何だか物足りない気がするのは、人間の業を描いたふしぎ話が濃すぎたせいですかねえ。
もっと手に汗握るような心の葛藤の大団円があってもと思いましたが、割と穏やかにエンディングを迎えたなあという印象でした。でも後味のいい終わり方だった気はします。
「映画」より収穫は多かったかも。
コメント
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