テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

山スキー

2013-01-27 19:50:31 | Outdoor
私が取り残されてしまったものであります。

雪中登山を絶え間なく行っていた頃、登りは仕方ないとしても、下りのラッセル(雪をかき分けて進むこと)はとてつもなく体力を消耗するため、登山靴で登り、下りは緩斜面を滑り降りてくるという意味での山スキーで、現在のテレマークスキーに少しだけ近い行為です。

実際にやっていたのは、積雪の少ない急斜面を登り、下りの緩斜面のみ、登山靴のつま先を固定できるビンディングをつけたごく短いスキー板で降りる、時にはその繰り返しで縦走する移動方法で、アルペンスキーの優雅さとはほど遠い方法でした。なにより、ストックを持つことが稀で、曲がることすらままならない(重い荷物を背負って、ポール無しでのテレマークターンは、高等技術)ので、腰を低くして、スキーの上でうずくまるかのような姿勢で、一直線に降り、停まるときや曲がるときは一旦こけて停まり、向きを変えて再下降します。稀にゲレンデの近くを降りることもあったのですが、荷物と一体化したせむし男達が、ズドーーと降りてくる様はさぞ異様だったように思います。

ところが、今、登山靴用のビンディングは商品として無くなってしまい、クロカンスキーやバックカントリースキー用の、歩いて急斜面を登るには適さないシューズ用のビンディングや板しか売ってないのです。
今では雪中を歩いて登り、下る場合、スノーシューを使って、というか、スノーシューで行動できる範囲がお気楽雪中登山の対象なようで、それ以上の険しい地形では、しんどい思いをするのが当然だよという風潮らしいのです。
私がやっていたような上り下りは、限られた山でしかできないことではあったとは思うのですが、何より優雅でなく格好悪いのがいけなかったのかとも思います。クロカンやバックカントリーの道具は、スマートで格好いいのが沢山売ってます、ただ、道具によって楽しみ方を限定されてしまっている様な気がするのは否めません。