日本の夏~秋の野山を彩る草花「アザミ(薊)(アザミ属)」
棘があり近寄りがたい存在ですが、花は大変美しい紅紫色の植物。
日本では古くから親しまれてきた花です。
日本全土、低地~高地まで、ありとあらゆるところに生えています。
国立科学博物館植物研究部(アザミ図鑑)によると、
日本列島には、150種以上の「アザミ(薊)」が分布。
うち、「タカアザミ(高薊)(最下段参照)」など5種はアジア大陸と共通した種類。
残りの145種以上が日本の特産種(固有種)というから驚きです。
アザミは見た目が似ていて種類が多いので見分けが難しく私は殆ど同定できません。
しかし、この「フジアザミ(富士薊)」は、なんとか見分けがつきます。
’060915 山中湖テディベアワールドミュージアム(山中湖村)
根生葉が花期にも残り、花は日本最大(直径5~10cm)であり、花を下向きに咲かせるアザミだからです。
キク科の多年草で富士山周辺の砂礫地に多いことから名付けられました。分布は本州(東北~中部、北陸地方)
白山山系とその周辺(富山・石川・岐阜)に分布し、「フジアザミ」に似て大型の頭花をつけ、
総苞が手毬状になる「テマリフジアザミ」という新称もあるそうですが、総苞片は反曲し、
総苞全体は球形となるそうなのでたぶん見分けがつくと思います。
花期は8~10月。草丈は20~100cm、葉の長さは30~70cmと大型。
小花は細い筒状花で紅紫色(稀に白花)をしており、総苞片は紫色で、先端は鋭く尖っている。
因みに「アーティチョーク」(別名:朝鮮薊)は「アザミ」とは別属。
花色は紫色で「アザミ」とそっくりで大きくしたような形。
蕾は8~15cmと「フジアザミ」よりも大きいが、花は上向きで開花時期が6〜8月。
「カールドン」(アーティチョークの原種)もほぼ同様です。
「タカアザミ(高薊)」(別名:エゾノタカアザミ)
こちらは比較的判別がつきやすいアザミの一種です。花期:8~11月。
白花の「シロバナタカアザミ」という品種もあるそうです。
’060916 山中湖交流プラザきらら(山中湖村)
高さ3 mにもなり、多数の頭花を下向きに懸垂させて咲かせます。
分布は本州(長野県以北)とのことですが、神奈川や静岡にも生えていました。
花が下垂する「マアザミ(キセルアザミ)」に似ていますが、草姿がかなり違います。