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『蛍の光』④ 【連載】腹ふくるるわざ㉟

2022-11-30 05:33:15 | 【連載】腹ふくるるわざ

【連載】腹ふくるるわざ㉟

『蛍の光』④

桑原玉樹(まちづくり家) 

 

 

「蛍雪時代」

『蛍の光』の歌いだしの「蛍の光 窓の雪」が中国の故事にちなんでいることは先刻ご存じだろう。
 時代は4世紀半ば頃の中国・東晋でのこと。車胤(しゃいん)という若者が勉学に励んでいたが、家は貧しく、夜に明かりをつけるための灯火の油を買うことが出来なかった。暗い夜でも勉強が出来るように、車胤は夏に絹の袋に数十匹の蛍を集め、その光で書物を照らして書物を読むことが出来た。
 また車胤と同じ頃の東晋には、同じく貧しい家庭で勉学に励む孫康(そんこう)という青年がいた。冬は陽が落ちるのが早く、夜が長い。そんな冬の夜長にも勉強を続けるため、孫康はあえて寒い窓際に机を置き、月明かりが積もった雪に反射する光を利用して、書物を読み進めたという。
 こうした努力が実を結び、車胤は征西長吏となり、孫康は官僚の監察を行う御史台の長官職である御史大夫(ぎょしたいふ)に任じられた。(なお車胤は、酒席での盛り上げが上手だったので上司の覚えが良く出世したとの説もある。)
 これが「蛍の光 窓の雪」の逸話だ。大学受験雑誌「蛍雪時代」を思い出す方も多いだろう。調べたら今も「蛍雪時代」は発行されているというから驚いた。

▲受験雑誌「蛍雪時代」の変遷 

 

母校の蛍光灯

 私の出身高校は東京都立戸山高校だが、入学した当時は教室に照明がなかった。戦前は府立四中といって、質実剛健を売りにしていたせいか、あるいは戦後の当校には日教組の先生が多かったので教育委員会からの予算がまわってこなかったせいかは、知らない。
 とにかく雨の日は暗かった。校長が雨の日に教室を視察して、「確かに教科書が見えない」ことを確認して教育委員会に掛け合って、私が2年生になった昭和38(1963)年に蛍光灯が設置された。
 ちなみにストーブが設置されたのも同年だった。寒くて暗い教室から解放される喜びを訴える当時の高校新聞の記事を紹介しよう。私はどういうわけか新聞部員だった。

 

▲戸山高校新聞と教室


蛍の光で本が読めるのか

 蛍の光で本が読めるか実験した人がいるらしい。公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会が平成(2003)年に発行した「研究ジャーナル26巻3号」にこんな記事が載っている。

〈日本にはホタルの仲間が45種ほどいて、光らない種類が大部分だが、光る種類ではゲンジボタルがもっとも明るい。そこでこれを用いて実際に読書を試みた人がいる。 雑貨商を営むかたわらホタルの本まで出している南喜市郎さんがその人で、その実験によると、千匹ずつカゴに入れて新聞紙の両側に置いたらよく読めたという。 が、合計2千匹という数はあまりにも多過ぎる。その上、短命でのべつ補充が必要になり、光も点滅して連続的な一定の照度を保証してくれない。まずホタルを使った実用的な読書はとうてい無理筋と思われる。

 反論もある。車胤の故郷の福建省には大型で光の強いタイワンマドボタルがいて、これならば20匹ほどで何とか本が読めるという。だからこの故事もあながちウソとは言い切れない。しかし、ぼくは別の視点からこれを作り話と断定している。これだけのホタルを集める労力を使えば灯油代くらい楽に稼げるだろうと思うからである。〉

 なるほど、蛍の光で読書ができることは分かった。しかし、窓の雪で読書ができるのだろうか。東普は中国でも南部の地域。そもそも雪が降るのだろうか。
 ところで台湾では1年中蛍見学ができるそうで、ツアーが多数企画されているようだ。日本ではほのかな光が好まれるが、台湾では明るく光る蛍も多いのだろう。写真を見ると確かに明るい。台湾で発行されたマドホタルの切手もいくつかあった。

 蛍の光にまつわる逸話はまだまだ沢山ありそうだが、「別れのワルツ」が流れてきたようだ。今回はこの辺で〜終わり〜としておこう。(おわり)

▲マドホタル(左)と台湾の切手

 

【桑原玉樹(くわはら たまき)さんのプロフィール】

昭和21(1946)年、熊本県生まれ。父親の転勤に伴って小学校7校、中学校3校を転々。東京大学工学部都市工学科卒業。日本住宅公団(現(独)UR都市機構)入社、都市開発やニュータウン開発に携わり、途中2年間JICA専門家としてマレーシアのクランバレー計画事務局に派遣される。関西学研都市事業本部長を最後に公団を退職後、㈱千葉ニュータウンセンターに。常務取締役・専務取締役・熱事業本部長などを歴任し、平成24(2012)年に退職。現在、印西市まちづくりファンド運営委員、社会福祉法人皐仁会評議員。


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