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日本は感染爆発か? 【連載】腹ふくるるわざ⑰

2021-08-22 21:26:07 | 【連載】腹ふくるるわざ

【連載】腹ふくるるわざ⑰

日本は感染爆発か?

桑原玉樹(まちづくり家) 

 


 オリンピックが終わっても、テレビニュースは連日の記録更新で沸き立っている。もちろん新型コロナ感染症新規感染者数だ。東京をはじめ日本は感染爆発するのだろうか。世界各国ではどうなっているのだろう。俯瞰的に見てみたい。
 まず札幌医大フロンティア研ゲノム医科学のサイトを見てみた。人口100万人あたりで比較しているのが特徴のサイトだ。詳しく知りたいとき、あるいはこのブログのグラフが見ずらいときは、ぜひこのサイトを直接ご覧いただきたい。
 なおこのサイトのグラフは、縦軸が対数のグラフなので、見るときに留意が必要だろう。 

*人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【世界・国別】 (sapmed.ac.jp)
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/index.html

第5波はコロナ対策と無関係にやって来る?

 図1は人口100万人当たりの新規感染者数(過去7日間の増加)を時系列で表したものである。多くの国の線が重なっているのでちょっと見づらいが、日本はやや太い赤線だ。

 

▼図1

 1~2月の第3波、5~6月の第4波の数字を超えて過去最高水準になっている。しかも8月上旬には世界平均をも超え、欧米に並ぶほどの普通の国になってきた。「さざ波」とは言えなくなったのかもしれない。
 ところで、この図はいくつかのことを示唆している。まず第1に世界中どの国も第5波に入っているのがわかるだろう。
 ワクチン接種が進んだ国も進んでいない国も、都市封鎖している国も、していない国も、都市封鎖を解除した国も、緊急事態宣言をしてもしなくても。そんなことにあまり関係なく、ほとんどの国で第5波に入っているのだ。
 次に東アジア地域やオーストラリアなどこれまで感染者数が桁違いに少なかった国でも、新規感染者数は他の地域とあまり変わらないレベルに増加してきたこことがわかる。
 ファクターXという説もあったし、東アジア地域に常駐する古来からのコロナワクチンで免疫ができているという説もあった。このところの「デルタ株」ではこの地域的な免疫が効かないのだろうか。あるいは外出規制でウィルスに暴露される機会が少なくなったために免疫が切れてきたのだろうか。
 一方、「デルタ株」の発祥地インドではピークを過ぎて収束を迎えていることもわかる。いずれにせよマスメディアがいうように、日本にも危機的な状況が訪れるのだろうか。

日本の新規死亡者は依然として低水準

 人口100万人当たりの新規死者数(過去7日間の増加)を表したグラフが図2だ。さらに見づらいが、我慢して見てもらいたい。

▼図2

 同じように日本は太い赤線だ。第5波になって増加している国が多い中で、日本は低い水準にとどまっており、依然として「さざ波」状態のように見える。
 ちなみにインドは「デルタ株」でさぞひどい状況かと思ったが、5~6月こそ増加して世界平均を上回ったものの、その頃でさえ南米よりは少なかったし、今では比較的少ない部類に入っている。
 人口が日本の10倍、13億人を超えるインド。感染者数や死者数は人口当たりで判断しないと比較できない。
 さて第5波では多くの国も今後インドと同じパターンを描くのだろうか。それとももっとひどい状況が訪れるのだろうか。

ワクチン効果がグラフでは見えないが

 世界各国でワクチン接種が進んでいる。ワクチン効果がグラフでは見えないが、実際はどうなのだろう。図3はワクチン接種率(部分接種)と新規感染者数の関係を表したグラフだ。

▼図3


 

 あれーっ? 接種率50%まではゆっくりと新規感染者数は減少しているが、50%を超えると再び増加しているようだ。優等生だったイスラエルは 60%を超えた途端、感染者数が極端に少なくなったと思ったら再度急増しているではないか。これでは「3度目のワクチン接種を」となるのも頷ける。
 日本も20%までは徐々に減少してきたが、その後は増加に向かっている。いずれも「デルタ株」の影響で増加しているようだ。アメリカには健康保険制度がないので、病院に行かない貧困層の感染者数が相変わらず多い。だから感染者数が増加しているという話もある。少なくともワクチン接種の効果は、このグラフでは見られない。
 ワクチンの効果が減衰しないためにブースター効果として再度のワクチン接種をという意見がある。これでは永遠にワクチンを打ち続けることになりかねない。ワクチン製造会社にとってはおいしい話だ 。
 新型コロナ騒ぎが出る直前の2019年10月18日、パンデミックに備えてシミュレーションを行うためのフォーラム「イベント201」がニューヨークで開催された。このフォーラムでもワクチンを打ち続ける事態を想定していたのだろうか。

英米と比較した

 図4は米国、英国、日本の新規感染者数と新規死者数を同じグラフ上に表したものだ。実線が新規感染者数、破線が新規死者数を示している。

▼図4

 英国では今年1~2月に多かった新規死者数が、5~6月に激減したものの、再び増加した。現在はまだ増加途上ではある。しかし、ピーク時の10分の1程度だから、致死率は大幅に下がっている。つまり、危機的状況とは言えないので、英国ではコロナ規制を撤廃したのだろう。
 ちなみに英国は規制撤廃した7月19日の直後から新規感染者数は減少している。また、このグラフを見ると、新規感染者数がピークになると、その2週間から1カ月後に新規死者数のピークが来るというパターンが繰り返されてきたことがわかる。米英は第5波でも従来と同じパターンを描いているようだ。
 ところが、日本では第5波の新規死者数はまだ増加傾向が見られない。第5波でも何らかのファクターXが働いているのだろうか。それとも高齢者のワクチン接種が進んでいるために、現時点での新規感染者は非高齢者が中心になる(図5)。その非高齢者の死亡率は高齢者に比べて極端に低い(図6)のは、その結果かもしれない。

▼図5(出典/厚労省)

▼図6(出典/厚労省)


 今後も低水準のまま推移するのか、それとも米英のようにやがて増加に向かうのか予断を許さないが、低いままに推移してもらいたいものだ。

東京の新規感染者数を「増加率」で予測してみた

 筆者は5月初め、このブログで大阪府の新規感染者数の予測をした。京都大学の藤井聡教授が「大阪は新規感染者数は増加しているが、増加率を見ると既に収束期に入っている!」と熱弁をふるうのをユーチューブで見たのが、自分で計算して予測したきっかけである。今回は東京都で予測してみた。計算の前提等は次のようにした。

●新規感染者数の実績はNHKの特設サイト「新型コロナウィルス」(8月19日分)から引用する。
●計算は過去7日間平均数で行う。
●今後の増加率は現在の推移から推測する。具体的には、8月19日現在で1.03 だが、8月22日から毎日0.002ずつ、0.960になるまで減少し、その後しばらくは0.960 で一定に推移すると仮定した。
(注:8月19日の新規感染者の報告数は5534人だが、計算では過去7日間平均をとって4774 人とした)

 結果は図7だ。

▼図7

 次のことがグラフから読み取れる。
●増加率は、6月初旬から増加を続け、6月中旬には1を超え、7月 31日にピークの1.17 を迎えた。その後は減少に向かっている。
●新規感染者数は、今後も増加を続け、9月初旬に新規感染者数は 6000人を超えると予測される。
●新規感染者数は9月上旬に増加率が1.00になったときにピークを迎えるが、その後減少し、10月下旬には1000 人を下回るようになると予測される。
●つまり、新規感染者数こそ増加しているものの、すでに収束に向かっている。
 前回の大阪府の予測はほぼ当たったが、今回の東京都の予測はどうだろう。図1のインドの実績グラフのように収束にむかって徐々に減少することを期待したい。

 

《お詫びと訂正》8月23日に本記事をブログに掲載しましたが、図の入れ間違いや図そのものが鮮明ではなかったりしました。著者の桑原さんには大変ご迷惑をおかけし、また読者の皆様にも申し訳なく思っております。大変失礼しました。今後はこのようなことのないよう、充分注意しますので、どうかお許しください。(本ブログ編集人・山本徳造)

 

【桑原玉樹(くわはら たまき)さんのプロフィール】

昭和21(1946)年、熊本県生まれ。父親の転勤に伴って小学校7校、中学校3校を転々。東京大学工学部都市工学科卒業。日本住宅公団(現(独)UR都市機構)入社、都市開発やニュータウン開発に携わり、途中2年間JICA専門家としてマレーシアのクランバレー計画事務局に派遣される。関西学研都市事業本部長を最後に公団を退職後、㈱千葉ニュータウンセンターに。常務取締役・専務取締役・熱事業本部長などを歴任し、平成24(2012)年に退職。現在、印西市まちづくりファンド運営委員、社会福祉法人皐仁会評議員。


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