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ケヤキの嘆き 【連載】腹ふくるるわざ⑦

2021-05-30 11:45:07 | 【連載】腹ふくるるわざ

【連載】腹ふくるるわざ⑦

ケヤキの嘆き

桑原玉樹(まちづくり家) 

 

 私が住む北総線・白井駅の周りにはケヤキがたくさん植えられている。駅前広場、白井中央郵便局前、そしてアーバンエクセル白井の前。まだまだある。ケヤキ並木は美しい景観だ。

▲涼しいケヤキ並木(白井中央郵便局前)

▲黄色い絨毯(アーバンエクセル白井前) 

▲雪の朝(アーバンエクセル白井前) 

 

 しかし、そのケヤキ達から嘆きも聞こえてくる。根元が狭くて窮屈だったり、枝が伸びるとバッサリと強剪定される。幽霊たちが手を下げて「恨めしやー」と言っているようだ。そこでケヤキ達の嘆きを聞いてみた。

▲「恨めしや―」(アーバンエクセル白井前) 

 

「境界ギリギリに植えないで!」

 道路と私有地の境界近くに植えられたケヤキは、横に伸びる枝が境界の塀を越えないように剪定されてヒョロっと立っている。戸建て住宅地なら、私有地に枝が張り出して、日当たりを悪くしたり、枯れ葉が私有地に吹き溜まって、市民からの苦情が市役所に殺到もするだろう。しかし、集合住宅地ならもう少しおおらかに考えられないだろうか。こうならないように住宅街の植栽計画では官民境界ギリギリには植えないことが肝要ではないだろうか。

▲境界ギリギリのケヤキ (アーバンエクセル白井前)

「狭い場所に植えないで!」

 歩道の並木として植えられているケヤキも多い。しかし歩道幅員が3メートル程度だと、植栽帯や植栽桝は幅1メートル程度。狭くて、大きく育ったケヤキにとっては窮屈になっている。狭い植栽帯では根が植栽帯に沿って横に伸びている。ツリーサークルが窮屈だと、きつくなったスカートを無理やり穿いているようだ。たるんだ下腹がベルトの上からはみ出たように見えるケヤキもある。

▲横に長―く根を張ったり…(中銀マンシオン前) 

▲スカートがきつい!(白井駅前広場) 

▲ベルトから腹の肉がはみ出た!(アーバンエクセル白井前)

 

 舗装ブロックを持ち上げたり、縁石を横に押し拡げてしまったり、ガードパイプを持ち上げてしまうケヤキも。

▲舗石を持ち上げ…(郵便局通り)

▲縁石を押し曲げ…(「福太郎」前)

▲ガードパイプを持ち上げ(千葉興銀前) 

 

 こんないたずらのお仕置きか。根の周りをコンクリートで固められてしまった例もある。かわいそうに。植栽計画ではケヤキの根、幹、枝が育った後でも空間に余裕があるように植栽帯、桝などの寸法を決めることが肝要かと思う。

 

▲コンクリートで固められちゃった(白井駅前広場)

 

「電線があるところに植えないで!」

 電線があると、それを避けるように剪定される。「そこのけそこのけ電線が通る」と言っているようだ。電線や電柱を避けるために大胆にY字型に剪定している例もある。ハートのようにも見えるが、「電柱でござる!」と威張り散らしているようで、ケヤキに優しいとは思えない。中には電柱や電線をパズルのように巧みにくぐり抜けて枝を伸ばしている例もある。しかし断線が懸念される。
 電線を保護するためにはある程度の剪定は必要なのだろう。しかし、そもそも植栽計画を立案するにあたっては、電線が架設される個所ではケヤキのような高木ではなく、中木や灌木とする工夫が肝要ではないか。


▲そこのけそこのけ電線が通る(中銀マンシオン前)

▲あのー、ここは電柱の場所なんですけど…(ケーズデンキ前)

▲パズルのように枝、電柱、電線が絡みあう(ホーマック前)

 

「きれいな姿のままでいたい!」

 一律に丸太のような剪定が多い。しかし剪定に際しては、本来の樹形を保つような工夫があるとうれしい。
 千葉興銀前のケヤキ並木は、かつては美しい緑のトンネルだった。今はみじめだ。ケヤキは丸坊主に強剪定されても、生命を保つために光合成をしなければならない。そのために自然の摂理で葉が通常より大きいのだ。だから、枝全体が重くなり、まるで柳のように垂れ下がる。まるで「恨めしやー」と嘆いているようではないか。
 しかしケヤキは、たとえ丸太のように強剪定しても、その後数年間工夫して剪定を続ければ、本来の樹形に戻すこともできる。造園業者の腕の見せ所だろう。南山第一住宅では、かつて強剪定したが、その後巧みに剪定することで元の樹形に戻った。

無残な強剪定(アーバンエクセル白井前)

▲強剪定でも樹形は戻る(南山第1住宅)

 

「のびのび枝を伸ばしたい!」

 側方空間に余裕があると、美しい樹形に育つ。かつては広い場所に植えられてのびのび育ったケヤキ。そんな過去をうらやましく思う嘆き節があちこちのケヤキから聞こえてくるようだ。

▲側方空間に余裕があると、樹形が美しい(白井駅前広場)

▲のびのび育ったケヤキ(南山公園野球場)

 

 

【桑原玉樹(くわはら たまき)さんのプロフィール】

昭和21(1946)年、熊本県生まれ。父親の転勤に伴って小学校7校、中学校3校を転々。東京大学工学部都市工学科卒業。日本住宅公団(現(独)UR都市機構)入社、都市開発やニュータウン開発に携わり、途中2年間JICA専門家としてマレーシアのクランバレー計画事務局に派遣される。関西学研都市事業本部長を最後に公団を退職後、㈱千葉ニュータウンセンターに。常務取締役・専務取締役・熱事業本部長などを歴任し、平成24(2012)年に退職。現在、印西市まちづくりファンド運営委員、社会福祉法人皐仁会評議員。

 


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