【気まま連載】帰ってきたミーハー婆③
快適自転車にも落とし穴が
岩崎邦子
晴れた空の下、自転車に乗って爽やかな風を感じて走るのは快適だ。
長い間、自転車に乗る機会もないまま日々を過ごしてきていたが、脚の筋肉の疲労度は、歩く時と自転車のペダルを漕ぐ時とは全く違うのかも。
それはともかく、高齢者の運転ミスによる交通事故のニュースを見聞きするたびにゾッとしてしまう。そんなに遠くない時期に、私も車の免許を返納する時が来る。そんなこんなで、早速自転車を購入した。安全を考えサドルに腰かけてしっかり両足が地面につくものに。
千葉ニュータウンに住み、良かったなと思うのは、北総鉄道を挟み両側に2車線の国道464号線があり、その車道脇の歩道も幅が広い。それに道路標識に自転車も可とあることだ。市内には旧街道の木下線があるが、車の往来の数の多さに比べると、片側1車線で歩道も狭い。だから、自転車で走行するには、恐怖心が先立つ。当初、近くの買い物や市役所や公民館に行く時に、自転車を利用していた。気が向けば、我が家のある白井から西白井へ464号線沿いの歩道を気の向くままに走ることも。
最近になって耳にしたのだが、白井健康元気村村長の玉井秀幸さんも、体力アップのために、自転車で走っているらしい。我が家では「玉井コース」と名付けた。その自転車走行コースは、我が家の周りを取り巻く比較的安全な道程である。
週に何回か、私もこのコースを走るようになった。南山公園の一角にある広場では、いつも7、8人がベンチに座って駄弁りを楽しんでいる。傍らには犬がいるので、犬好きの人たちだろう。その広場に面した交差点の角に、昼食も提供する居酒屋「高橋水産」がある。
それらを横目にして南へと進む。集合住宅の脇を通って左折すると、南山中学、小学校、保育園が続く。ペダルを漕ぎながら、校庭に植えられている花も横目で眺める。音楽の授業と思われる声などが聞こえることも。幼稚園の園児たちが校庭に出て楽し気に遊んでいる姿にも癒される。
時折、犬を散歩させている人やウォーキングをする人とすれ違う。多少の坂道らしきものがあるが、自転車のペダルを漕ぐことも難儀ではない。小さい公園や大きめの集合住宅があって、右手には民家が立ち並ぶ。やがてコンビニのある角地に出ると、そこは国道464号線だ。
ここの歩道幅も広い。車も通れるくらいだ。脇の車道では、時折、大型の車が通ることがあっても、その脅威に曝されることはない。我が家のマンション脇を通って白井駅前通りに出て1周を終える。所要時間は12分前後。このコースをルンルン気分で2周から3周して「玉井コース」の走行を終えることに。
でも、この道程には何も問題がないのだろうか。というのは、ヒヤッとした体験があるからだ。
集合住宅の駐車場や、施設などから出てくる車の運転手は、歩道に出る手前のミラーを見ることもない。だから、一旦停止線で止まることもなく、車道近くまでスーッと出てくる。それが分かっているので、要注意だ。
先日、運の悪かったのか、1周するごとに、3回もヒヤリとすることとなった。
1周目、集合住宅から出てきた車に、私は急ブレーキをかけて止まることに。この時の運転手は何回も手を挙げて、「ごめん!」の合図をしてから、通り過ぎて行った。
2周目、違う集合住宅から出てきた2人乗りの車は、私を睨みつけて、車道へと走り去った。腹が立つ。
3周目、施設から出てきたバイクが、私の「キャア~」と驚く声をしり目に、脇をすり抜けて行った。
幸いにも、いずれも何事もなく済んだのであるが、車の出入りする所は、よくよくの注意が必要である。同時に、自分が運転する時には、まずは歩道に気を配ってから車道に出ることも肝に銘じた。
その昔、車を運転しているときに高齢者の「我が道を行く」とばかりに、左右前後も確認しないで、道を横切られたことが、度々あった。これで、もし事故になれば、車、つまり、私が悪いことになる。
最近は、自転車に乗る人のマナー違反もニュースになることが多い。繁華街や駅周辺の駐輪禁止の場所に平気で停めている人たちがいる。右側通行で、しかもスマホを見ながらの自転車走行も。小回りが利いて便利とでも思っているのだろうか。
今、コロナ禍にあって、外遊びの一環だろうか、「スポーツサイクル」が流行っているとか。カラフルなヘルメットとお洒落なウェアで、颯爽と走る姿をテレビが放映していた。
安価なシティサイクル(ママチャリ)と違って、クロスバイクやロードバイクなど、かなり高価なものがある。自転車のパーツに使われる素材も炭素素材、アルミ、チタン合金など軽量で強いらしい。きっと、サイクルロードで楽しむようになっているのだろう。あぁあ、私も若かったら、挑戦してみたいものだ。
つい最近、自転車と車の事故で、心の痛むニュースが流れた。
「俺様のベンツが目に入らぬか! そこどけ、そこどけ!」
とばかりに、前を行く車を煽り、猛スピードで追い越して行った車は、自転車に乗っていた中学生をはねた。可哀そうに、中学生は死亡するという最悪な事態をひき起こしたのである。
その事故現場の模様をカメラが捉えていた。このカメラ映像を見ると自転車2台が、横断歩道でない所を横切っていた。一台は車に気付き、間一髪で止まって、災難から逃れられたが、もう1台の自転車に乗っていた中学生が犠牲となってしまった。もちろんベンツを運転していた男が悪い。多少は自転車にも非があったとしてもだが、大怪我や、命を落としては元も子もない。加害者にも犠牲者にもならないように、日々を過ごしたいものだ。
【岩崎邦子さんのプロフィール】
昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。