【連載】腹ふくるるわざ(58)
ダイヤモンド富士
桑原玉樹(まちづくり家)
最近、「ダイヤモンド富士」という言葉をよく聞く。「ダイヤモンド富士」とは何だろう。
ウィキペディアでは「富士山の山頂部と太陽が重なって生じる光学現象である」と定義している。太陽の日の出・日の入りは毎日少しずつ南北に場所がずれるから、富士山が見える場所ならどこでも年に2回の機会があるわけだ。
山中湖はその聖地と言われているようで、秋冬には湖畔の場所を毎日変えながら撮影できるらしい。放射状に光を放つさまは確かにダイヤモンドのようだ。
▲山中湖からのダイヤモンド富士(山中湖観光協会のHPより)
千葉県になると、富士山が離れているので望遠カメラで撮影するため太陽が相対的に大きくなる。見た感じはダイヤモンドとはいいがたいが、オレンジ色に輝くさまは魅力的で、世間的にはダイヤモンド富士と呼ばれているようだ。
近くの鎌ヶ谷市役所屋上はその撮影のためにその時期には開放しているという。なんでも、スカイツリーとダイヤモンド富士が同じ画面に写るのが絶好の撮影ポイントらしい。
▲鎌ヶ谷市役所屋上からのダイヤモンド富士(takahitoyagami氏のインスタグラム2024.11.7より)
ところで白井市は鎌ヶ谷市の近くだ。ダイヤモンド富士とスカイツリーの写真を撮るにはいいロケーションに違いない。グーグルマップの距離測定で試してみると富士山頂と白井市笹塚にあるセブンイレブンを結ぶ線がちょうどスカイツリーを通ることが分かった。
つまり白井駅圏の高層住宅だと富士山の右にスカイツリーが来る写真が取れるに違いない。検索したらど真ん中に来る写真もあった。
▲太陽-富士山-スカイツリーのトリプルクロス(shunshirai@いちかわの魅力新発見。インスタグラム2024.11.7より)
前回でも利用した「日の出・日の入り方角」や鎌ヶ谷市HPで検索すると、白井駅周辺での次のダイヤモンド富士は2月2日(日)前後になりそうだ(なお鎌ヶ谷市役所は土日祝には閉庁で屋上を開放していない)。
残念ながら我が家からは途中の高層住宅に遮られて富士山やスカイツリーも見えないので撮影は叶わない。どなたか、自宅から眺める素敵なダイヤモンド富士の撮影に挑戦していただけないだろうか。
▲2月2日の日の入りの方角(「日の出・日の入りマップ」を元に作成)
やっぱり白井は住みやすい
古代の遺跡や宗教施設などが直線的に並ぶことを「レイライン(Ley-Line)」と言われている。この現象については、偶然だとか必然だとか諸説あるようだ。よく引き合いに出されるのが、鹿島神宮と高千穂神社を結ぶ鹿島霧島レイライン。
しかもこのラインは、夏至、冬至の日の出、日の入りの方角に一致するという。つまり夏至の日に高千穂神社で日が昇る方角に鹿島神宮があるということだ。
▲鹿島-霧島レイライン
さて鹿島神宮と富士山を結んでみた。鹿島神宮~習志野カントリー~白井駅~スカイツリー~皇居~明治神宮~富士山が一直線上にある。さらにこの線をずーっと延長すると、伊勢神宮、吉野山、剣山を経て、高千穂神社に到る。
ただし先述の日の出・日の入りマップで調べてみたが、夏至・冬至ではなかった。一致するのは立冬(11月7日前後)と立春(2月3日前後)の日の出・日の入りの方角だった。そう、まさに上のダイヤモンド富士の撮影日だ。
立冬と立春の朝、高千穂の峰に立って昇る朝日を拝むとする。その方角に伊勢神宮、富士山、明治神宮、皇居、鹿島神宮があり、その途中に白井があるわけだ。やっぱり白井は住みやすくていい場所だ。
▲富士山‐鹿島神宮レイライン。白井はパワースポット?
【桑原玉樹(くわはら たまき)さんのプロフィール】
昭和21(1946)年、熊本県生まれ。父親の転勤に伴って小学校7校、中学校3校を転々。東京大学工学部都市工学科卒業。日本住宅公団(現(独)UR都市機構)入社、都市開発やニュータウン開発に携わり、途中2年間JICA専門家としてマレーシア総理府のクランバレー計画事務局に派遣される。関西学研都市事業本部長を最後に公団を退職後、㈱千葉ニュータウンセンターに。常務取締役・専務取締役・熱事業本部長などを歴任し、平成24(2012)年に退職。現在、南山小学校区まちづくり協議会会長、印西市まちづくりファンド運営委員、社会福祉法人皐仁会評議員、「ダーツの会」会長。