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CES2025に注目! 【連載】頑張れ!ニッポン⑱

2025-01-16 05:30:41 | 【連載】頑張れ!ニッポン

【連載】頑張れ!ニッポン⑱

CES2025に注目!

 

釜原紘一(日本電子デバイス産業協会監事)

 

 

今年1月にラスベガスで開催された

 毎年この時期になるとCES(セス)のことが話題になる。CESはConsumer Electronics Showの略。文字通り「消費者向け電子機器すなわち家電機器」の展示会だが、今では世界最大級のIT(Information Technology)関連の展示会となっている。家電と言えば、テレビ、ビデオ、オーディオ製品などをイメージしがちだ。しかし、近年はパソコン、携帯電話、スマホ、タブレットなど情報家電と呼ばれるものが主流になっている。
 ところで、1990年代はCOMDEX(コムデックス)ショーの方が注目されていた。コムデックスショーはコンピューターを中心とする展示会で、コンピューター業界のトレンドを確認する場として2000年代初頭までラスベガスなどで開催されていた。半導体業界にとっても将来動向を知るために注目すべき展示会であった。
 私も一度だけ行く機会があったが、各ブースで若者たちが来場者に対し熱心に説明したり、名刺交換したりして会場が熱気にあふれていたことを覚えている。  
 だが、2000年前後にはCESの方に皆の関心が移るようになり、コンピューターを中心とするコムデックスショーは下火になって行きついには開催されなくなった。

 

▲今年の来場者は14万人を以上

 

 さて、今年のCESは1月7日から10日までラスベガスで開催され、世界中から14万1000人以上が来場し、1400のスタートアップを含む4500以上の企業・団体が出展した。来場者数出展者数は昨年を上回る実績となったという。
 CESは近年、家電の展示会の域を超えて自動車やソフト関係の企業も出展するようになっている。各種報道によれば、今年のCESは、AIをはじめ、ヘルスケア、エイジテック、モビリティー、サステナビリティ―(持続可能性)、スマートホームなどの分野で最新技術・製品などが展示された。
 そして来場者の4割は海外からで、150以上の国・地域から参加したとのことである。会場ではデジタル技術を核に、これからの社会を変革する技術や製品、ソリューションが揃って紹介された。
 
注目を浴びたトヨタのWoven City
 
 日本からはトヨタの豊田章男会長が自社の展開する「Woven City」についてプレゼンしたが、その様子はユーチューブで見ることができる。「Woven City」は同社が富士山の山麓にある裾野市に展開する実験都市で、2021年に着工し2024年10月に1期目の工事を終えている。

 

▲トヨタが展開するWoven City(トヨタ車PR資料より)

 

 そして、一部のエリアでは2025年の秋以降トヨタ関係者とその家族100人程度が入居を開始する計画との事である。入居者は今後360人まで増える予定であり、将来的には全エリアで2000人程度が入居すると豊田会長は表明した。この実験都市では、自動運転は勿論のこと、先端技術を盛り込んだ種々のシステムの有効性を実証するもので、トヨタが単なる車メーカーから脱皮しようとする意欲を感じさせるものだ。

今年は日本人来場者が目立った

 また、ソニーとホンダが共同で開発した次世代のEV(電気自動車)アフィーラも発表され注目を浴びていた。ソニーが得意とするエンターテイメント性を盛り込んだ自動運転車であり、1400万円で今年中に先ず米国で発売されるとのことだ。
 何でも新しいものに飛びつく私だが、この車を買うには予算が1100万円ほど不足するので諦めた。CESからの要請があったとの事で、開幕初日の基調講演に登壇したパナソニックホールディングの楠見雄規CEOも、生成AI「クロード」を手掛ける米アンソロピック社との提携を発表、日本もそれなりに存在感を示していたようだ。

 

▲ソニー・ホンダが試作した次世代EV(NHKのニュースより)


 とはいえ、別の報道によれば基調講演のトップバッターは韓国のLG電子であり、また、開幕前のメディアを対象としたイベントで基調講演を行ったのは、生成AIに不可欠となったGPU(画像処理プロセッサー)を手掛ける米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEOだった。
 こちらの方が今をトキメク会社のトップの講演であり、多くの聴衆が詰めかけた事は想像できる。日本での報道は日本メーカーの動向が中心になることは避けられず、実態以上に日本がCESで大きな存在感を示しているように感じられ勝ちだが、そこは割り引いて見る必要があるだろう。

 現地からのレポートでは「今年は来場者数が少なく感じる」という声もあったようだが、世界中のハイテク企業が一堂に会する場であることに変わりはなく、グローバル展開を目指すスタートアップにとっては貴重な場であるとの声もあるようだ。
 多くのスタートアップがCESに参加するのも、海外展開の足掛かりにできる場として評価されているからだろう。
「今年は外国からの来場者が増え、特に日本人の来場者が目立った」
 そんな現地在住日本人の声が伝えられているが、もしそうなら日本人もやっと海外に目を向けるようになったかと歓迎したい気持ちである。
 もっともこの一例だけで判断するのは早計だとは思うが、海外に打って出る日本人がどんどん増えて行って欲しい。そうする事によって少しずつ日本が元気になる事を願いたい。

 

 

【釜原紘一(かまはら こういち)さんのプロフィール】

昭和15(1940)年12月、高知県室戸市に生まれる。父親の仕事の関係で幼少期に福岡(博多)、東京(世田谷上馬)、埼玉(浦和)、新京(旧満洲国の首都、現在の中国吉林省・長春)などを転々とし、昭和19(1944)年に帰国、室戸市で終戦を迎える。小学2年の時に上京し、少年期から大学卒業までを東京で過ごす。昭和39(1964)年3月、早稲田大学理工学部応用物理学科を卒業。同年4月、三菱電機(株)に入社後、兵庫県伊丹市の半導体工場に配属され、電力用半導体の開発・設計・製造に携わる。昭和57(1982)年3月、福岡市に電力半導体工場が移転したことで福岡へ。昭和60(1985)年10月、電力半導体製造課長を最後に本社に移り、半導体マーケティング部長として半導体全般のグローバルな調査・分析に従事。同時に業界活動にも携わり、EIAJ(社団法人日本電子機械工業会)の調査統計委員長、中国半導体調査団団長、WSTS(世界半導体市場統計)日本協議会会長などを務めた。平成13(2001)年3月に定年退職後、社団法人日本半導体ベンチャー協会常務理事・事務局長に就任。平成25(2013)年10月、同協会が発展的解消となり、(一社)日本電子デバイス産業協会が発足すると同時に監事を拝命し今日に至る。白井市では白井稲門会副会長、白井シニアライオンズクラブ会長などを務めた。本ブログには、平成6年5月23日~8月31日まで「【連載】半導体一筋60年」(平成6年5月23日~8月31日)を15回にわたって執筆し好評を博す。趣味は、音楽鑑賞(クラシックから演歌まで)、旅行(国内、海外)。好きな食べ物は、麺類(蕎麦、ラーメン、うどん、そうめん、パスタなど長いもの全般)とカツオのたたき(但しスーパーで売っているものは食べない)


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