大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆時間外労働の限度時間と特別条項付き協定

2014年12月24日 16時27分19秒 | 労働基準
法定時間外労働させるには届出が必要
1日8時間、1週間40(特例事業場は44)時間を超えて労働させる、いわゆる
残業(「時間外労働」)は、何の届出もなしに自由にさせることはできない。

どんな小規模な事業場であろうと、時間外労働させることができる限度時間等
について労使協定を結び、それを所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
「時間外労働・休日労働に関する協定届」(いわゆる「36協定届」)がそれだ。

届出が必要な時間外労働は「法定労働時間」を超えて労働させる場合だ。
1日所定労働時間が7時間の会社が1日7時間45分労働させるからといって、法定労働時間
(1日8時間)を超えていないので届出は必要ない。

時間外労働の限度時間とは
天井知らずで時間外労働させることはできない。
時間外労働をさせることができる時間外労働の限度時間が決められている。
例えば、
・1週間15(14)時間
・1箇月45(42)時間
・1年間360(350)時間
※カッコ内は3箇月を超える1年単位の変形労働時間制の場合
※ただし、次の業種には限度時間は適用されない。
①工作物の建設等の事業
②自動車の運転の業務
③新技術・新商品の研究開発の業務
④厚生労働省労働基準局長が指定する事業又は業務(ただし、1年間の限度時間を除く。)

特別条項付36協定とは
以上のように時間外労働の限度時間が定められているといっても、
取引先の事情や事故等臨時的に限度時間を超えて労働させる必要があるかもしれない。
そこで、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情が
予想される場合は、「特別条項付の労使協定」を結んで36協定として届け出なければ
ならない。
この届出がないと、36協定の時間や限度時間を超えて時間外労働させることができない。

特別条項付36協定の内容
特別条項付の労使協定書には次のこと等を定めなければならない。
・限度時間を超えて労働させることができる時間を定めること。
・限度時間を超えて労働させる場合の「特別の事情」を具体的に定めること。
・特別の事情は、一時的突発的であり、1年の半分を超えないこと(年6回まで)。
・特別の事情が生じたときに、労使が取る手続や協議、通告等を具体的に定めること。
・限度時間を超えることができる回数を定めること。
・限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金の率を定めること。
など。

なお、36協定届の様式の中に、特別条項付協定で定められた内容を記載することも可能だ。
当事務所では、36協定届の中に記載する方法よりも、36協定届に特別条項付労使協定書
の写しを添付して届け出ることが多い。

限度時間を超えそうな事業場は、
最初から、特別条項付労使協定書を結び、届出をされることをお勧めする。


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