妙心寺展に行ってきました。
正式には、『開山無相大師650年遠諱記念 特別展「妙心寺」』と言うのです。
正直言って、禅宗系の催しは高僧の絵とか文字がやたら多く、
ビジュアル的ではないので関心が薄かったのです。
その中で興味を引いた展示作品をひとつ。
国宝 梵鐘(ぼんしょう)
今はひびが入っているため突かれる事はないが、
飛鳥時代の文武天皇の御世に作られたものである。
鐘の音は低く寂しいが、京都で一番音色が好いと言われている。
それは黄鐘調(おうしきちょう)の音色と言うのだそうだ。
そもそもは檀林寺というお寺に在ったそうであるが、
檀林寺が廃れるとともに妙心寺に来たそうである。
檀林寺は、平安の昔、橘氏出身の女性に縁起するお寺である。
当時は藤原氏が大いに勢力を誇っていたが、
嵯峨天皇にみそめられ皇后となった。
しかし、皇族の出ではなかったため、かなりご苦労をされたようである。
平安中期の歌人赤染衛門の歌集に、
檀林寺の鐘の、つちのしたにきこゆるを、いかなるぞととへば、
鐘堂はなくなりてみだうのすみにかけられたればかうきこゆるぞといひしに、
きさきのおぼしをきあはれにて、
『ありしにもあらずなりゆく鐘のおと つきはてんよぞ哀なるべき』
この歌を聴くにつけ、きっと物悲しい音色だったんでしょうね。
妙心寺展ホームページ
http://www.myoshinji2009.jp/
http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=5930