目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

栗城史多 オン・ステージ

2011-02-13 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

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本人書いてるのか?と冒頭の「はじめに」を読んで感じた。ブログの文章となにかトーンが違うような気がした。編集者がちょこっとリライトしてるんだろうか。まあ、そんことはどうでもいいか。本文に入ると、その違和感が吹き飛ぶし。

この本、改行が多く、行間が空きまくっていて情報量が少ないけど、彼の人となり、なぜ彼の今があるのかが読むと透けてみえてくる。高校時代に演劇にのめりこんだというのは、端的に、もう彼のバックボーンを示している。脚本を自分で書いて、自分で主演するというのは、今の彼がやっている登山のインターネット生中継の原型じゃないか。まさに彼独自の登山スタイルのプロトタイプは高校時代の演劇にあったのだ。リアルタイムで客席に向かって自分をさらけ出す。物語を客と共有するのだ。

泣いたり、笑ったり、弱音を吐いたり、強がってみたり、その時々の感情をストレートにさらけ出す。それが皆をひきつける。やらせじゃない。ちょっとした演出はあるものの演技じゃない(!?)。彼を身近に感じるのだ。まるで友達のように。また彼の生き様を自分に投影して、自分と比較することで、同情したり、勇気をもらったり、感動をもらったりして、さらにのめりこんでいく。その循環が彼の魅力にどんどん吸い寄せられていく素になっている。

彼のエベレストへの挑戦は2度目も失敗してしまったけれど、間違いなくまた挑戦するだろう。彼の実行力、ひたすら前向きな姿勢には脱帽だ。次は成功してほしいけれど、エベレストの無酸素単独登頂はあの鳥人といわれたメスナーだけだ(たしか)。冷静に客観的にみれば、達成はかなり困難だ。でも、本当に達成してしまったら、それはある種奇跡だし、偉業だし、感動の嵐となるだろう。

いずれにしても、まだまだ彼には注目だね。

そういえば、彼の本はもう一冊出ている。『NO LIMIT』。安易なつくりの本で、栗ちゃんの大ファンには申し訳ないが、自分にとってはまったく価値がない。彼を偶像化している人には、どんな本でも手にとってしまうのだろうけど……。パラパラページを繰ってみると、彼のHPからの抜粋と写真で構成されているようで、粗製濫造のアイドル本みたいだ。これって、出版社の人がほとんどつくったのかね。これだと興味は半減する、というか失われる。何か新しい情報がそこにないかぎりは、読むに値しない。

『一歩を越える勇気』を読んだ読者の立場からいわせてもらえれば、『一歩』出版後の彼が何を考え、何にトライしたのかがきちんと整理されているとか、『一歩』をもっと詳細に補足するとか、彼の周りを固めている栗城チームの面々やシェルパたちはどういう人たちなのかとか、書くべき、そして読者に伝えるべきネタは豊富にあると思うのだが。加えて、彼にまつわる面白いエピソードは山ほどあると思うから、それもまとめれば面白いと思うんだがね。本を出すのなら、せめて上述の内容の一部でも盛り込んで、読ませる内容の本にしてほしいものだ。

「1122メートル」の栗ちゃん記事バックナンバー
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(文庫)一歩を越える勇気 (サンマーク文庫)
クリエーター情報なし
サンマーク出版

 

コメント
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